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十章
28、お仕置きを選んでしまったので【2】
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これはいけません。
わたくし、なぜか先生のサディストの部分の蓋を開けてしまったようです。
「は、離してください。誤解が解けたなら、もういいですよね」
「いいかどうか決めるのは、俺だよ」
「せ、先生……」
「旦那さま、だろう?」
旦那さまの大きな手が、わたくしの袴の裾をたくし上げます。脛を、そして膝を撫でられて、わたくしはきつく瞼を閉じました。
「ここは学校です。こんなところで抱かないで」
「そうだな。まだ他の先生もいるし、この部屋は明日からも翠子さんは使うだろうからな。それはやめておこう」
その言葉に、少しほっとしました。ですけど、ゆめゆめ忘れてはなりません。サディストの旦那さまが、このままわたくしを解放なさるわけがないのです。
ちりん、と耳元で涼しげな音が聞こえました。
「これ、なんだか分かるかい?」
「鈴です。水筒につければ可愛いと思って……」
「そう。翠子さんが自分で選んだ鈴だ。ちょうど二つ鈴がついていて、澄んだ音もいい」
あの、何を仰っているのか分かりません。
「江戸時代には、鈴を使っていたそうだよ。この間読んだ小説に書いてあった。あの時代は本当に奔放だな。ああ、大丈夫。ちゃんと洗ってあるから」
旦那さまが紐をつまんだ鈴を、わたくしの顔の前で揺らします。
わたくしはまだ理解ができずに、旦那さまに足を撫でられたままです。
「まぁ、分からないよな。あなたの中には俺以外、入ったことがないのだから。たとえ道具でさえ、あなたの中には入れたくない。でもこれは翠子さん自身が選んだ鈴だから。ぎりぎり許せるかな」
ようやく、その鈴を何のためにわたくしに見せているのか、分かりました。
同時に、羞恥で顔も首も耳も、すべてが熱くなります。
「い、入れるのですか? わたくしの中に……」
問いかける声は、かすれていました。旦那さまは、静かにうなずきます。ですから、冗談でも脅しでもないことが伝わってくるのです。
「約束通り、あなたを抱くのは家に帰ってからだ。だが、お仕置きは続行するよ」
わたくしは、旦那さまの胸に顔を埋めました。
抗うことなんてできません。だって、そう躾けられているんですもの。
「だ……旦那さまの、お望みの……まま、に」
「いい子だ。大丈夫、ただ歩いて帰るだけのことだから」
わたくしの髪を撫でながら、旦那さまが耳元で囁きます。恐ろしいことを命令されているのに、褒められて。思考力が奪われていきます。
「ん……っ、きつ……い、です」
「そうだな。慣らしていないから。だが、あなたに触れてしまうと、家まで歩くことができないだろう?」
これまで旦那さまに触れられる時は、必ずわたくしの感じる部分を優しく、焦らすように何度も触れて、撫でて……我を忘れるほどの心地にさせてくださいました。
けれど今日は、狭いその部分に鈴を押し込まれます。
無理に押し入って来るその二つの鈴は、ひんやりとして。まさに異物を押し込まれているようです。
「力を抜きなさい。あなたがこれを受け入れなければ、余計に時間がかかるだけだ」
「でも……」
「早く家に帰って、俺に抱かれた方が楽だぞ」
知りません、そんなの。分かりません。
なのに腰は勝手に動いて、旦那さまの指が押し込む鈴を飲み込もうとします。
「ああ、ぞくりとするな。翠子さん、ほら鏡を見てみなさい」
促されて、わたくしお裁縫室に置かれた鏡に目を向けました。それは、仮縫いをするときに使用する鏡です。
そこには旦那さまの膝にまたがりつつ、その背に腕をまわして、しがみついているわたくしの姿が映っています。
そして旦那さまの手は、わたくしの袴の中に入って……ええ、鏡には映っておりませんけど、その指はわたくしの中に入れられているのです。
「まったく、あなたへのお仕置きのつもりだったに。俺にとっても仕置きなってしまうとはな」
旦那さまは吐息交じりに、仰いました。
わたくし、なぜか先生のサディストの部分の蓋を開けてしまったようです。
「は、離してください。誤解が解けたなら、もういいですよね」
「いいかどうか決めるのは、俺だよ」
「せ、先生……」
「旦那さま、だろう?」
旦那さまの大きな手が、わたくしの袴の裾をたくし上げます。脛を、そして膝を撫でられて、わたくしはきつく瞼を閉じました。
「ここは学校です。こんなところで抱かないで」
「そうだな。まだ他の先生もいるし、この部屋は明日からも翠子さんは使うだろうからな。それはやめておこう」
その言葉に、少しほっとしました。ですけど、ゆめゆめ忘れてはなりません。サディストの旦那さまが、このままわたくしを解放なさるわけがないのです。
ちりん、と耳元で涼しげな音が聞こえました。
「これ、なんだか分かるかい?」
「鈴です。水筒につければ可愛いと思って……」
「そう。翠子さんが自分で選んだ鈴だ。ちょうど二つ鈴がついていて、澄んだ音もいい」
あの、何を仰っているのか分かりません。
「江戸時代には、鈴を使っていたそうだよ。この間読んだ小説に書いてあった。あの時代は本当に奔放だな。ああ、大丈夫。ちゃんと洗ってあるから」
旦那さまが紐をつまんだ鈴を、わたくしの顔の前で揺らします。
わたくしはまだ理解ができずに、旦那さまに足を撫でられたままです。
「まぁ、分からないよな。あなたの中には俺以外、入ったことがないのだから。たとえ道具でさえ、あなたの中には入れたくない。でもこれは翠子さん自身が選んだ鈴だから。ぎりぎり許せるかな」
ようやく、その鈴を何のためにわたくしに見せているのか、分かりました。
同時に、羞恥で顔も首も耳も、すべてが熱くなります。
「い、入れるのですか? わたくしの中に……」
問いかける声は、かすれていました。旦那さまは、静かにうなずきます。ですから、冗談でも脅しでもないことが伝わってくるのです。
「約束通り、あなたを抱くのは家に帰ってからだ。だが、お仕置きは続行するよ」
わたくしは、旦那さまの胸に顔を埋めました。
抗うことなんてできません。だって、そう躾けられているんですもの。
「だ……旦那さまの、お望みの……まま、に」
「いい子だ。大丈夫、ただ歩いて帰るだけのことだから」
わたくしの髪を撫でながら、旦那さまが耳元で囁きます。恐ろしいことを命令されているのに、褒められて。思考力が奪われていきます。
「ん……っ、きつ……い、です」
「そうだな。慣らしていないから。だが、あなたに触れてしまうと、家まで歩くことができないだろう?」
これまで旦那さまに触れられる時は、必ずわたくしの感じる部分を優しく、焦らすように何度も触れて、撫でて……我を忘れるほどの心地にさせてくださいました。
けれど今日は、狭いその部分に鈴を押し込まれます。
無理に押し入って来るその二つの鈴は、ひんやりとして。まさに異物を押し込まれているようです。
「力を抜きなさい。あなたがこれを受け入れなければ、余計に時間がかかるだけだ」
「でも……」
「早く家に帰って、俺に抱かれた方が楽だぞ」
知りません、そんなの。分かりません。
なのに腰は勝手に動いて、旦那さまの指が押し込む鈴を飲み込もうとします。
「ああ、ぞくりとするな。翠子さん、ほら鏡を見てみなさい」
促されて、わたくしお裁縫室に置かれた鏡に目を向けました。それは、仮縫いをするときに使用する鏡です。
そこには旦那さまの膝にまたがりつつ、その背に腕をまわして、しがみついているわたくしの姿が映っています。
そして旦那さまの手は、わたくしの袴の中に入って……ええ、鏡には映っておりませんけど、その指はわたくしの中に入れられているのです。
「まったく、あなたへのお仕置きのつもりだったに。俺にとっても仕置きなってしまうとはな」
旦那さまは吐息交じりに、仰いました。
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