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四章
88 恐怖のミントテロ③
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ミントは恐ろしい繁殖力でひたすら増殖する。
抜いても抜いても勢いで繁殖し、果てには匂いまでなくなり雑草と化すのだ。
その威力は、庭師でさえ制御不能。
庭に植えてはいけない植物ランキングがあったら、間違いなく上位入賞である。
ペリーウィンクルはローズマリーに一株のミントを渡し、わざわざみんなの前でヒロインの箱庭に植えてやるという意地悪を行った。
その結果ときたら。
もともとろくに手入れされていなかったヒロインの箱庭には虫が大量に発生していたらしく、ミントのおかげでそれが鎮まってしまったのだ。
一面の緑に覆われた箱庭を見て、ヒロインは涙目で「ローズマリー様のせいでわたしの箱庭が……」とソレルに泣きついたらしい。
ソレルは「どうしてそんな意地悪をするのか」とローズマリーに注意したらしいが、残念王子は騙せても周囲までは騙せない。
現在、ソレルの周囲は『リコリスを支援して馬鹿王子を傀儡に』派と『ローズマリーを支援して馬鹿王子の代わりに執政してもらう』派に分かれているのだとか。
妖精たちのうわさや庭師仲間、それからセリやサントリナから聞いた話のほとんどがそんな感じで、ローズマリーの意地悪の成果は芳しくない。
とはいえ、ソレルはヒロインの言い分だけを聞いてローズマリーを注意してきたあたり、徐々にヒロインエンド──つまり婚約破棄へのカウントダウンは始まっていると言える。
「う~ん……でも、ローズマリーお嬢様。先日、ソレル殿下からミントテロについて注意されたではありませんか。少なくとも、ソレル殿下の中では、お嬢様よりヒロインの信頼度の方が高まっているはずですよ」
「……それもそうね」
言いながらも、ローズマリーは納得がいっていない様子である。
これは、もう一つくらい一計を案じなければならないだろうか。
ペリーウィンクルは、物憂げなため息を吐いた。
抜いても抜いても勢いで繁殖し、果てには匂いまでなくなり雑草と化すのだ。
その威力は、庭師でさえ制御不能。
庭に植えてはいけない植物ランキングがあったら、間違いなく上位入賞である。
ペリーウィンクルはローズマリーに一株のミントを渡し、わざわざみんなの前でヒロインの箱庭に植えてやるという意地悪を行った。
その結果ときたら。
もともとろくに手入れされていなかったヒロインの箱庭には虫が大量に発生していたらしく、ミントのおかげでそれが鎮まってしまったのだ。
一面の緑に覆われた箱庭を見て、ヒロインは涙目で「ローズマリー様のせいでわたしの箱庭が……」とソレルに泣きついたらしい。
ソレルは「どうしてそんな意地悪をするのか」とローズマリーに注意したらしいが、残念王子は騙せても周囲までは騙せない。
現在、ソレルの周囲は『リコリスを支援して馬鹿王子を傀儡に』派と『ローズマリーを支援して馬鹿王子の代わりに執政してもらう』派に分かれているのだとか。
妖精たちのうわさや庭師仲間、それからセリやサントリナから聞いた話のほとんどがそんな感じで、ローズマリーの意地悪の成果は芳しくない。
とはいえ、ソレルはヒロインの言い分だけを聞いてローズマリーを注意してきたあたり、徐々にヒロインエンド──つまり婚約破棄へのカウントダウンは始まっていると言える。
「う~ん……でも、ローズマリーお嬢様。先日、ソレル殿下からミントテロについて注意されたではありませんか。少なくとも、ソレル殿下の中では、お嬢様よりヒロインの信頼度の方が高まっているはずですよ」
「……それもそうね」
言いながらも、ローズマリーは納得がいっていない様子である。
これは、もう一つくらい一計を案じなければならないだろうか。
ペリーウィンクルは、物憂げなため息を吐いた。
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