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第8章 のろのろ帰還と運命の再会?
第014話 それ言っちゃう!?
しおりを挟む「ギュアアアーー!!」
「「「「――――っ!!!?」」」何だ!? リザードマンかっ!!?」
白銀騎士隊の少女達が最後の別れを惜しんでいると、遠くの方で魔物の叫び声が聞こえて来た。未だ遠い所からの叫び声だったのだが一応警戒だけはしておこうと言う事になった。
「グルアアアーーッ!」
「また!? 近付いてないか?」
「「「ギャッギャッーー!」」」
「ちっ、リザードマンか! 戦闘音よ! 皆んな、戦闘態勢!!」
「「「はっ!!」」」
岩影からそっと外を見ると十数体のリザードマンやその上位種のハイリザードマンが現れていた。更に麻痺蛙も遠巻きに多数見えている。白銀騎士隊の少女達は思わず息を飲んだ。
――だが白銀騎士隊の少女達が息を飲んだ光景は多数の魔物に怯えたからではなかった。
自分達では万全の状態でも倒し切るのは難しい数を相手に、男1人と角の生えた白い子馬によって次々と屠られていたのだ。
レイクによってリザードマン達は軽々と両断され、麻痺蛙はユニコーンのキーちゃんが角から聖素の光線を放ち瞬殺していくと言う異様な光景がソコにはあった。
邪素を多く含む魔物にとって聖素による攻撃は猛毒だ。ユニコーンにとっては逆に邪素による攻撃が猛毒になりうるのだが、アイリスやリリィ達に高濃度の聖素を補給され続けているので問題にならない。
それどころか聖素の光線が撃ち放題になり次々と敵を撃っていった。
「ヒヒーン!『たのしーい! でもリリちゃんに見て欲しかったぁ!!』」
『(寝てるのは)レイクの所為なのー』
『その内チャンスはあるじゃろ(やれやれなのじゃ)』
「ふう、――本当に居たな」
「プルルゥ!『当たり前だよ、この方向音痴めー!』」
実は度々レイクは道を外れそうになっていた。それをリリィ達がキーちゃんに教えてレイクを呼び戻したのだ。道を外れる度に足下に光線を放つと言うスパルタではあったが。
「なっ、何だお前達は!!」
「ん? ああ、俺は傭兵のレイクだ。そっちは第3王女と白銀騎士隊で間違い無いか?」
岩場から出て来た若い女達。揃いの白い防具に武器を装備している事からお探しの遭難者達で間違い無いだろう。
剣を向けられ警戒されているが、事情を考えれば仕方がないとは思う。
まあ剣は俺に向けられているが視線の多くはユニコーンに向けられているのもまた仕方がないだろう。――俺でもそうなるだろうしな。
「アイリスさん着きましたよ。起きて下さい」
「……んゅ、……着いた~??」
警戒を解くには俺よりもアイリスさんの方が対応するのは良いだろうと思いアイリスさんを呼び起こす事にした。アイリスさんは寝惚けて混乱している様だったが、まあこれもまた仕方がない。
寧ろ俺に抱っこされながら全力疾走されて眠りこける豪胆さは流石としか言い様がない。
『リリィ達が寝かせたのじゃがの』
『しなかったら主は気絶してたなのー』
「クルルー『リリちゃんをあんな怖がらせてー、コイツやっつけてやろうかー?』」
『やめとくのじゃ』
『一応味方なのー』
「……先程から、貴様は何をしている?」
「いや、この抱っこ紐とやらなのだが、どう解けば良いのか、分からないんだよ」
レイクはアイリスを抱っこしたまま抱っこ紐を解こうと悪戦苦闘していた。訝しがっていた副隊長のデイジーだが、危機的状況に似つかわしくない行動をするレイクに堪らず声を掛けたのだった。
「いや、そもそもお前は何故そんな子供を連れて来ているのだ!?」
「ああ、……このお方は、回復魔法を使えるからな」
「何だと!? それじゃお前は単独で此処まで救援に来たと言うのか!?」
「いや、見ての通り単独じゃないぞ? それに俺達が先行したけどまだ後続が居る。まあまだ暫く掛かるだろうけどな」
おかしな子馬は戦ってる姿を見てるから分かるが、子供の方は抱っこされて寝ていただけだろう。実質1人と子馬? の1頭だけでこんな深い階層まで来た事になる。
(とんでもない実力者だな。それが抱っこ紐に悪戦苦闘とは、呆れれば良いのか恐れれば良いのか分からん)
「取り敢えず、怪我人が居る様だし、今のうちに治療してしまおう」
「いや、それは有り難いのだが、……隊員達は魔物の麻痺に掛かってしまっているのだ……」
魔物による毒や麻痺などの状態異常を引き起こす攻撃は、その多くが邪素の影響を持っている。その為、回復魔法は体に残る邪素が邪魔をして掛かり辛いと言うのが通説である。
本来なら薬と併用して治療するのが普通で、回復魔法だけでは大抵の場合は後遺症が残ってしまうのだ。半数以上が麻痺毒で動けない状況では怪我が治っても地上まで戻るのは難しいだろうとデイジーは考えたのだ。
――しかしそれをレイクは一蹴する。
「アイリスさんなら問題無い。何の為に連れて来たと思っているんだ」
デイジーはそんな疑問を持つ事すら不愉快だと言わんばかりのレイクの反応にもしかすると、と僅かながらも光明を感じていた。
しかし不器用なのかレイクが抱っこ紐とやらを解けている様には全く見えず、イライラしたデイジーが手伝う事になった。
(この男の強さも異常だが頭に角の生えた美しい子馬? やこの華奢で儚げな美少女の方が遥かに異常なのが分かる)
近くに寄ればおかしな子馬と少女(?)双方から出る高濃度の聖素が近寄りがたい程の神聖さを醸し出していたのだ。
しかしデイジーはユニコーンよりアイリスの方にこそ、より異常さを感じていた。
見た事も無い綺麗な子馬? が超常の存在なのは何とか理解出来る。しかし同じ人間がその超常の存在と同じ様な神聖さを醸し出していると言うのは理解の範疇を超えていたのだ。
漸く抱っこ紐をほどいて地に足を着けたアイリスだが、開口一番口にした言葉が周囲を氷漬かせた。
エミリアーナ姫一行は10階層の拠点から10日程遭難していたのだ。その間満足に体を洗えなかったのだから無理も無い。
しかも普通に汚れているだけではない。幾ら体を拭こうとも、服にも魔物の体液等も掛かっているのだ。
しかし寝惚けているのもあったのだろうが、女性に対して口にしてはイケない言葉をアイリスは口にした。
「んゆぅ……くしゃい」
「「「「「………………」」」」
忖度しない子供の言葉と言うのは時に悪意ある大人の言葉よりも相手を傷付ける事がある。アイリスの言葉によって白銀騎士隊の年若い女達はいたく傷付いてしまっていた。
一緒に居たレイクが高身長のイケメンで更にシャルロッテ監修の下、魔剣レーティシュを初めそれに負けない装備をさせられていたのも大きい。
王族と言われれば納得してしまう程の出で立ちである。物語で言えば窮地に駆け付けてくれた白馬の王子様と言う所だ。
それがアイリスの一言により一層彼女達の羞恥心を掻き立てていたのだ。
(……気まずい)
流石のレイクも地獄の空気の中、只々何も言えなくなっていた。
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