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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第109話 康太君の無茶振り (3)

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「はい、ワン、ツー、ワン、ツー、そこでポーズ。はい動かない!背筋、指先、爪先迄しっかり意識してー!
はいターン!」
我々、只今現役トップモデルの方のレッスンを受けてる真っ最中。
えっ、凄い格好よくモデルの話しを受けてなかったかって?そうだよ、受けたよ。
それなら次はビシッとざまぁ決めるんじゃないのか?
馬鹿野郎!素人がそんな事出来るわけないだろうが、モデル舐めるな!!
そんなの出来るのは物語の人物か、ひろし様くらいだ!
うん、ひろし様、何か出来そうで怖いわ。

無才の俺たちはもう必死、駄菓子屋のおばちゃんに頼み込んで探してもらいましたよ、講師が出来る方。まさか世界でも有数のトップモデルが現れるとは思わなかったけどね!?おばちゃんの人脈、本当どうなってんの?マイマザーと言いおばちゃんと言い、俺の周りの大人凄過ぎなんですけど。
そんで講師の方のレッスン料金は、鬼ごっこ同好会特別訓練の名目で例のヨウツーベ収益から捻出致しました。
お金は幾ら有っても困らないとは名言ですな~、あははははっ。(ゲス顔)
俺たちその他大勢に出来る事はただ一つ、"ぶっ倒れるまでやる、難しい事は倒れてから考えろ"、これだけだ!

「はい、そこののっぺり、ちゃんと顎引いて、胸張って!」
はい、スミマセン!!


(side:大崎啓子)

「お疲れ様です。」
「はいお疲れ様、今度のレッスンは来週の水曜日だから間違えないでね。」
「はい、失礼します。ありがとうございました。」
今日のレッスンはこれで終了。
この後はガキんちょどもの特別講習か。

「大崎さんなんかこの所機嫌いいんじゃない、何かいい事でもあったの?」
「あ、ジェシー先生。お疲れ様です。」
「もう先生は止めてって言ってるじゃない。今じゃあなたの方がモデルとしてはずっと上なんですから。」
「いえ、私の今があるのは全てジェシー先生の教えのお陰です。今だって体調を崩して休業している私を、こうして講師として迎えてくれているじゃないですか。
本当に頭が上がりません。」
「ふふ、意地悪言っちゃってごめんなさい。でも私があなたを尊敬しているのも本当よ。あなたの先生になれた事は私の誇りだわ。」
「いえ、私なんてそんな…。」
「でもそんなあなたにいくら旧友からの頼みだからって、子どもの世話みたいな事させちゃってごめんなさいね。」
「あぁ、あの中学生の男の子たちですか。あれ、凄く楽しいんですよ?男の子とは思えないほど素直だし、ガッツがあるし、ビックリするくらい体力があるんです。
下手したら女性の現役トップモデルといい勝負ができるくらい。」
「そんなに?それは凄いけど、モデルは幾ら体力が有ってもそれだけじゃね。」
「まあ、確かに素人ですからまだまだ拙いですが、今どき珍しく服を見せる事を意識した動きを心掛けてるんですよ。びっくりしました。」
「あら、それは凄いわね。近頃の男性モデルは自分が見られることばかり意識して、服を見せることを忘れがちだから。」
「えぇ、しかも若いからなのか、こちらの言う事をグングン吸収して。会うたびに確実に成長してるんですよ。今日を含めて残り後三回のレッスンでどこまで伸びるのか、とても楽しみです。」
「世界の舞台に立つあなたがそこまで言うのなら相当ね。確か桜泉学園の文化祭で”Sin"の新作発表会に出るのかしら?」
「はい。私もチケットを頂いたんで、良かったら先生もご一緒にいかがですか?」
「そうね、ぜひご一緒させてちょうだい。今から楽しみだわ。」

そう、今から楽しみだ。
周りの子もそうだけど、一人だけ、見せる事だけじゃなくことを意識するあの子がどこまで行くのか。
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