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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第126話 我が名は”Noir(ノワール)”

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”ちょっと照明当ててみて”
”背景の布、もう少し左に寄せてくれる?”
”なんか影入ってるんだけど、そこの脚立どけてよね~!”

「ねえ親友、俺たち何でこんな所にいるんだろうね。」

「そうだね。多分全部横田先輩が悪いと思うよ。」

「だよね~。」

「「はぁ~。」」

俺たちは今、スタジオGreenの撮影スタジオに来ています。
いや~、プロの現場って感じ。やっぱ働く女性はかっこいいですね。
これが社会科見学や職業体験だったらどんなによかったか…。

事の起こりは横田先輩からの一本の電話でした。

「スマン、どうしても断り切れなかった。」

私立桜泉学園での”Sin”新作発表会、その後の”hiroshi"単独ライブ。
二つの衝撃は学園を混乱の渦に叩き込みました。
これが学園関係者のみに対して行われたのであればまだ良かったのですが、選りに選って多くの報道関係者、経済界政界の大物の前でのこの騒ぎ。
その反響たるやもうね。
私立桜泉学園、いまだに立ち直っておりません。(冷や汗)
それでも”hiroshi”の方はまだ良かったと言えます。本人目の前にいますから。
問題は”Sin”のモデル、チーム黒子。中でもトリを務めた通称”漆黒の王”の行方。
学園に問い合わせるも一切の情報は無し。”Sin”のデザイナー横田真一君に尋ねようにも”ファッションショーの見返りに学園側から紹介された”の一点張り。
横田君の証言は学園側も認める所だった為、彼と学園のコーディネートをした者へと話が行くところですが、康太君その頃療養でお休み。
結局分からず仕舞いになっておりました。

でもそれで済まないのが大人の世界。
デザイナーブランド”Sin”の製造販売を手掛ける大手企業から”横田先生Help”って泣き付かれたんだって。
いや~、影響力が強すぎるのも考え物ですな~。(遠い目)

それでどうしてもあの時のモデルでポスターを作れないかって話が出たんだそうですよ。まぁ、俺なんですけどね。
洋一君やほかの桜町っ子を巻き込む訳にはいかないしね。
木村君はどうしたのかって?
俺を殺す気かい?って真顔で凄まれましたです、はい。
ワンパン事件から一年半、完治はまだまだの様です。

まぁ、俺の存在が分からなければどうってことないかって事で、撮影自体はOKしたんだけど、肝心の秘密を守れるカメラマンがいない。やたらな人には頼めない。
ダメ元でスタジオGreenの三田先生にお願いしたら、あっさりOK出ちゃいました。
その交換条件が、康太君もモデルとして参加する事だったんですね。(今ここ)

「でもさ、親友のお母さんが三田先生とお知り合いだとは思わなかったよ。
なんか今日のメイクも全部お母さんが主体でやるんだってね。凄いよね。」

俺もびっくりした。世界の三田よし子だよ?
そんなお人を相手にマイマザー”よっちゃんお久~”ってありえないでしょ。
しかも”えっ、さっちゃん?もしかして今日のモデルってさっちゃんの息子さん?”って世界狭すぎでしょ。いや言ってたよ、以前ファッションショーのバイトしてたとか。でも思わんやん?相手は世界のファッション業界トップよ、トップオブカメラマンよ。
しかも”さっちゃん息子さんに仕事の話ししてないの?””いや~、私色々やり過ぎて本業はっきりしてないし?面倒だし?”って意味深すぎるでしょう~!
もうこれからお母様の仕事は、職業”マイマザー“にしておきます。
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