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第二章 中二病には罹りません ー中学校ー

第129話 我が名は"Noir(ノワール)" (4)

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おはよーっす、みんなお元気?
最近寒くなって来たからね、風邪引かない様にしっかりご飯食べようね♪
って朝から何んぞ騒がしい様ですが、どうか致しましたかな?
くみちゃん、おはよ~。
僕ちんにも教えてくれめんす?
何よ、その情報弱者を憐れむ視線、逆にゾクゾクしちゃうじゃない。
ほうほう、この広告が凄い話題になってると。
"ブフォッ"
ご、ごめんごめん。いや、本当に申し訳ない、ちょっとびっくりしちゃって。

「おい、佐々木。今いいか?」
お?桜町っ子の皆さん。くみちゃん、ありがとうね、なんか呼び出しみたい。
今行く~。

さてと、で、例の広告の話だろ、俺も今知った。

「あぁ、かなりヤバい事になってる。今朝の芸能ニュースで取り上げられてたほどだ。お前どうするつもりだ?」

はぁ?全国区だと。それはヤバ過ぎだな。
仕方がない、ここはひとつ我らが守護神様におすがりするとしよう。

「お前って奴は…。」

だってさぁ、あっちは遅かれ早かれだし?ちょっとくらい予定が繰り上がっただけって言うか、ねぇ。(ゲス顔)


(side:鬼龍院静香)

「本日は急な会談申し込みに答えていただきありがとうございます、鬼龍院校長。
こうしてお会いするのは初めてになりますね、”SASAKI&Bamboo”が所属いたしますスタジオS&B代表マザー佐々木と申します。そちらの方がレコードレーベルの交渉担当の方でよろしいのでしょうか?」

「ご丁寧な挨拶、ありがとうございます。はじめまして、私立桜泉学園中等部校長を務めています鬼龍院静香です。そしてこちらがレコードレーベル営業企画部部長、長谷川朋美さんです。
本日は”SASAKI&Bamboo”先生の楽曲提供と当学園在籍の”hiroshi"についてのご提案とお聞きしておりますが?」

今、目の前にいる女性は”hiroshi”の楽曲を手掛けたアーティスト”SASAKI&Bamboo”が所属するアーティストスタジオの代表。シャープな面立ち、全身から漂うオーラ、決して油断の出来ない相手の様です。

「はい、私どもS&Bといたしましては、現在の”hiroshi”を取り巻く状況をあまり良いものとは考えていません。過去においても周りの環境に潰された期待の新人アーティストがどれほどいた事か。
”hiroshi”はこれまでの新人とは比べ物にならないポテンシャルを秘めていると考えています。なればこそ今のこの状況は非常に不味い。
そこで提案です。私立桜泉学園、レコードレーベル、S&Bの三者が出資する形で”hiroshi”の為の芸能事務所を開設すると言うのはいかがでしょうか?」

この女はいったい何を言っているのでしょうか、”hiroshi”の為の事務所?我々が出資して?それに何のメリットがあると?

「詳細につきましては当社の者に説明させましょう。おい、入って来てくれ。」

「はい失礼いたします。スタジオS&B交渉担当北川良子と申します。長谷川部長、お久しぶりでございます。」

「えっ、北川さん?西京芸能事務所で今大人気の男性アイドルグループ”ジャイアント”のチーフマネージャーをしている北川さんですよね?
えっ、今確かスタジオS&Bの交渉担当って、西京芸能事務所は退職されたのですか?
いやでも、ジャイアントは北川さんが一から作り上げた男性アイドルグループじゃないですか、あなた無しで成り立つんですか?」

「過分の評価、大変ありがとうございます。前職の西京芸能事務所は優秀な人間が大変多く、残念ながら私など頭の古いものはもはやいらない様です。
今はこちらの事務所に拾っていただきましたので、佐々木代表のもと一からやり直している所です。」

「まあ、顔見知りなら話は早い。今回の”hiroshi”芸能事務所計画では、ウチからこの北川を出向させる予定だ。桜泉学園からはマネジメント部のひろし君担当の者がいただろう、美穂先生と呼ばれていたかな?彼女が適任だろう。
北川には彼女を徹底的に鍛え上げ、いっぱしの芸能事務所社長にするように命じている。そのほかのスタッフ役員に関してはレコードレーベルさんにお任せしたい。
ウチとしては事務所が軌道に乗った段階で相談役程の立場に身を引き、実務等は美穂先生を中心にそちらで話し合って決めてほしいと思っている。
基本楽曲提供者と言った所だな。
レーベル側は期待の新人”hiroshi”を囲い込みたいところだろうが、ひろし君がこれまで起こした数々の惨劇は聞き及んでいるだろう?
学園としてもアーティスト"hiroshi"の側面を学園から分離し、本来の男子生徒ひろし君の部分だけを取り入れた方がメリットは大きいはずだ。
おたくには確か”Sin”のデザイナー横田君がいたはずだが、要は彼の扱いと同じと考えてくれればいい。
その上で"hiroshi"としての旨味も享受できるんだ言う事ないだろう。
ウチとしても有望なアーティストが潰れず伸びて行く事はメリットでしかないからな。」

何と言う大胆な思考、混乱し停滞し始めた現状を打破しかつ新たな道を想像する。
これがマザー佐々木。
私は改めて交渉相手の大きさに身を震わせました。

「それともう一つ、今の学園の混乱を解決できる手がある。」

彼女は懐から一通の封筒を取り出しました。

「これを前回の”Sin”新作発表会に参加したすべての人間に配布して欲しい。観客スタッフ問わず全てにだ。その上で学園体育館をお借りしたい。
問題はその原因に解決させるとしよう。」

封筒の中を開くと一枚のポスターチラシ。
背中越しに振り向く男性の写真。
そして一言文字が刻まれていた。

”Noir”と
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