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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第341話 おこってもいいよね (5)

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お~い、起きろ~。

”ポコッ”
「痛い!」
頭を押さえのた打ち回る吉川。お~、元気元気。

「痛いです~、一体何が・・・ってヒ~ッ佐々木さん!」
”ポコッ”

「@ぽいううyyttr!?」
頭部を抑え悶絶する吉川、本当にこいつは残念だ。

少しうるさい、黙らないともう一発お見舞いするぞ。お返事は?

”コクコクコク“
首振り人形のように首を振っている。理解したようだ。

で、状況は分かってるのかな吉川君。私は非常に怒っているのだが?

”コクコクコク”
再び首振り人形になる吉川。

大体なんださっきの対応は、ここの人間は馬鹿なのか?本当に業務停止にしてやろうかこら?大体この鬼龍院政子って奴は何なんだ、説明しろ。

「は、はい。鬼龍院校長は当学園の創立者であり学園の理事長でもある鬼龍院一華様のお孫様にあたります。中等部の鬼龍院静香校長は政子校長の妹にあたります。」

はぁ~、なんだこのダメダメ姉妹、妹は康太君に迷惑かけて姉は選民主義と、これじゃその創立者や一族全体がダメダメって事かいな。やってられるかこんなもん。

「いえ、その中等部は佐々木さんの提案やDVD、Noir様の再降臨のお陰ですっかり変わりましたので、静香校長も今や素晴らしい校長をしておられます。ですが桜泉学園自体は理事長である一華様の文句があるなら実力を示せを体現していますから、時にこう言った他者を見下す様な事が起こりうるのではないかと・・・。」

なんだかな~。お前らはラノベの勘違い貴族か、貴族したいなら”高貴なるものの義務”でも果たしたらどうだ、本来のプライドってのはそう言うものじゃないんかい!

「お話し中の所すみません、佐々木さん、救急車の手配終わりました。正門には連絡済みです。」

あ、警備主任ご苦労さん。
じゃ、まずは二人ともここに正座。早くする。

”ザザッ”
急ぎ正座をするマネジメント部吉川と警備主任。

まず今回の件、大本の原因はこのイケメン至上主義の学園にのっぺり佐々木をスカウトした点にある。これによる混乱はスカウトの話が来た時点でよくよく伝えておいたよな、吉川。

「は、はい。ですがこれは理事会の”ポコッ”痛い。」

話しはちゃんと最後まで聞く。問題が予想されるなら少なくとも経営側、職員や教師陣には事の経緯を説明し、納得理解してもらう必要があるだろうが、女子生徒に対する対応はあくまでそう言った基本的な対策が終わった上での話だ。土台が全くできてないなどと言う事は論外だろうが馬鹿者!
”ポコッ”
「痛い」

次に警備主任!
「は、はい。」
今回の事態は二度目だぞ二度目、なぜ前回の反省が生かされていない!前回警備にあたっていた者は何と言っていた、俺の顔を見て新入学生徒とだとは思わなかった的な事は言っていなかったのか?

「は、はい。そのような事を言っておりました。ですので今回は例年のごとくパンフレットでの写真照合と佐々木さんについては配信動画での顔写真の確認をさせておりました。」

で、その結果はどうよ、動画の確認までしていてこの始末、どう説明してくれるっての、ん?

「本当に申し訳ございませんでした、この責任は私が全面的に取らせていただきます。」

はぁ~、そんな事言ってんじゃないでしょうが。今回反省すべきは人間の思い込みを甘く見てたんじゃないかって点だって言うの。動画を見せた後警備担当者に聞き取りとかしたの?前回の反省生かしたの?信じられなかったんだよね、前回は。だったら今回だって信じて貰えてるか確認する必要は無かったの?
二人とも自分がその立場になって考えてみようね、イケメン揃いの男子生徒の中に行き成りのっぺりが入学しますと知らされて信じられますか?
その経緯やのっぺりの存在をよく知っているなら別ですけど、まったく知らずに納得できますか?
二人はこの点を著しく軽視していたというのが今回の問題をここまで大きくした原因です。
ただ唯々諾々と仕事してんじゃねえぞこら、返事は!

「「はい、申し訳ありませんでした。」」


「あ、あの~。質問してもよろしいでしょうか?」

あん?吉川何、言ってみ。

「佐々木さんの持ってるソレ、ただノートを丸めてるだけですよね?軽く叩かれているだけなのに、なんでこんなに痛いんですか?」
その目は先ほどからボコボコ叩いていたノートを見詰めていた。

あ、これ?叩く時に一緒に気配をぶち込んでるから。テレビとかでやってるじゃん、武術家がなんか瓦割る時にやってるとか言ってる奴。さっきお前たちがぶっ倒れた奴もその応用。そこの警備員や鬼龍院校長は一週間くらい後遺症が残るんじゃない?
結構ぶち込んでおいたから。お前たちは起こすとき抜いといたから大丈夫だよ。やってもらう後始末がいっぱいあるからね。
そんじゃ俺は今日の所は帰ります、救急隊も到着したようですし。
後の事よろしく~♪
飄々とした口調で去っていく佐々木さん。

”救急患者はどちらでしょうか”
廊下から聞こえる救急隊の声、室内には白目を剥き泡を噴く二人の警備員とだらしなく涎を垂らし気絶する鬼龍院校長。残された二人はこれからの後始末にげんなりとするのでした。
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