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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第360話 キャンプに行こう (4)
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澄み渡る青空、吹き抜ける山の風、聴こえるのは川のせせらぎ。
木々の合間に響く鳥たちの歌声が、春から夏へと移り行く季節の変化を教えてくれる。
山キャンプ、それは都会の喧騒を離れ大自然に包まれる心の旅路。
"ガッチャガッチャガッチャ"
"ちょっとこっちの荷物運んでくれる~。"
"食材の準備は足りてるかしら?"
"薪持ってきてよ、火の着け方ってどうやるの~?"
ごめんなさい、嘘言いました、めっちゃうるさい。
大体一学年二百八十二人でキャンプってもう軍隊の演習じゃん、大規模一個中隊じゃん。大自然の中で男女の交流?無理無理無理、あっちこっちで大騒ぎだし、この企画出した奴キャンプに夢見過ぎ。
それに普通薪に火なんて着けられないから。
着火剤があったって失敗する奴は失敗するから。
男の子の格好いい所が見てみたい?小山君頑張ってるけど、さっきから煙しか上がってないからね?
うちのクラスの他の連中は・・・はぁ~。それはそうだよね、ここのスポーツ特待生になるほど部活に打ち込めばキャンプなんかしてる暇はないよね。
へいへい、そう言った雑事はおっちゃんがパパッとやりますんで、お料理の方をお願い出来ますか?
あ、私サバイバルは慣れてますので。
持参のコンバットナイフでサクサク薪を加工しササッと釜に火を焚くのっぺり。
あまりのあっさり振りに誰もが"なんだ、実は簡単だったんじゃん"と勘違いしてしまう程。
一応作業中に火付けのレクチャーもしたのだが、聞いていたのかどうか。
ま、今後火付けの機会なんて滅多にないだろうから良いんですけどね。
「お~い、のっぺり。肉は何処よ肉は?」
ん?肉ならそこに出てるじゃないですか、どれがウチのクラスの分ですが?
「はぁ~?何言ってるのよ、私たち食べ盛り女子がこれっぽっちの肉で足りるはずが無いじゃないの、もっと肉を寄越しなさいよ肉を!!」
えぇ~、そんな事を私に言われましてもですね~。え、他の皆さんも何故に私の顔を見る。
お前学園にコネがあるんだろうから何とかして来い?
イヤイヤイヤ、無いからね?本当にコネなんか有ったらもっと待遇良くなってると思わない?この学園にいる事自体がおかしい?今更それ言う?
分かりましたから、何とかしますから。
それじゃ、那須さんと沢田、そこのバケツ持ってついて来て。
俺は仕方が無く川を目指し歩いて行った。
「ねぇ、佐々木。バケツ持ってこんな所に来たけどどうするのよ?まさか水汲んで行くなんて言わないでしょうね。」
後ろからついて来る沢田が疑問を口にする。俺はここに来る途中で拾った手ごろな木の棒をコンバットナイフで加工しながら答えた。
山のキャンプで川があったらやる事は一つでしょ?
”ブンッ“
「「えっ?」」
”ピチャピチャピチャ“
俺が川に投げた木の枝の先には二十センチクラスの川魚が身体を跳ねさせていた。
那須さんって魚とか捌けたりする?
「は、はい。内臓を抜くくらいでしたら。」
それじゃ、そこに平たい岩をまな板代わりにして捌いちゃってくれる?沢田は俺が投げた魚を回収して那須さんに渡す係ね、数が多いからどんどん行くよ。
俺は事も無げに答えると次々と魚を仕留めて行った。
ほい、これで八十匹目と。
那須さんに加工された魚はある程度のが頭数が揃った段階で次々と沢田に運ばせた。その帰りに沢田が援軍を連れてきたため、魚の加工、キャンプ地への搬送、生ごみの処理は滞りなく済ます事が出来た。
どうだお前らこれで文句はあるまい、後は粗塩でも振って焼いて食え!
キャンプ地に戻ればすでにそこは楽しい昼食タイムに入っていた。
「佐々木~、飯盒のご飯が芯があって固いんだけど、どうすればいい?」
「のっぺり~、こっちはびちゃびちゃなんだけど~。」
え~い、俺はお前らのお袋さんか!そんなもん他の鍋に移して水入れて煮返してコンソメか麵つゆぶち込めばそれなりに美味しくなるだろうが。少しは工夫しろ、工夫。
「「「は~い、わかりました。パパ~。」」」
だー!パパは止めろパパは!今の世の中それシャレにならないから、精子提供義務超恐い、マジ勘弁して。
知らない女子から行き成り”父親”と呼ばれる、俺はありうるかもしれない未来に戦慄するのでした。
木々の合間に響く鳥たちの歌声が、春から夏へと移り行く季節の変化を教えてくれる。
山キャンプ、それは都会の喧騒を離れ大自然に包まれる心の旅路。
"ガッチャガッチャガッチャ"
"ちょっとこっちの荷物運んでくれる~。"
"食材の準備は足りてるかしら?"
"薪持ってきてよ、火の着け方ってどうやるの~?"
ごめんなさい、嘘言いました、めっちゃうるさい。
大体一学年二百八十二人でキャンプってもう軍隊の演習じゃん、大規模一個中隊じゃん。大自然の中で男女の交流?無理無理無理、あっちこっちで大騒ぎだし、この企画出した奴キャンプに夢見過ぎ。
それに普通薪に火なんて着けられないから。
着火剤があったって失敗する奴は失敗するから。
男の子の格好いい所が見てみたい?小山君頑張ってるけど、さっきから煙しか上がってないからね?
うちのクラスの他の連中は・・・はぁ~。それはそうだよね、ここのスポーツ特待生になるほど部活に打ち込めばキャンプなんかしてる暇はないよね。
へいへい、そう言った雑事はおっちゃんがパパッとやりますんで、お料理の方をお願い出来ますか?
あ、私サバイバルは慣れてますので。
持参のコンバットナイフでサクサク薪を加工しササッと釜に火を焚くのっぺり。
あまりのあっさり振りに誰もが"なんだ、実は簡単だったんじゃん"と勘違いしてしまう程。
一応作業中に火付けのレクチャーもしたのだが、聞いていたのかどうか。
ま、今後火付けの機会なんて滅多にないだろうから良いんですけどね。
「お~い、のっぺり。肉は何処よ肉は?」
ん?肉ならそこに出てるじゃないですか、どれがウチのクラスの分ですが?
「はぁ~?何言ってるのよ、私たち食べ盛り女子がこれっぽっちの肉で足りるはずが無いじゃないの、もっと肉を寄越しなさいよ肉を!!」
えぇ~、そんな事を私に言われましてもですね~。え、他の皆さんも何故に私の顔を見る。
お前学園にコネがあるんだろうから何とかして来い?
イヤイヤイヤ、無いからね?本当にコネなんか有ったらもっと待遇良くなってると思わない?この学園にいる事自体がおかしい?今更それ言う?
分かりましたから、何とかしますから。
それじゃ、那須さんと沢田、そこのバケツ持ってついて来て。
俺は仕方が無く川を目指し歩いて行った。
「ねぇ、佐々木。バケツ持ってこんな所に来たけどどうするのよ?まさか水汲んで行くなんて言わないでしょうね。」
後ろからついて来る沢田が疑問を口にする。俺はここに来る途中で拾った手ごろな木の棒をコンバットナイフで加工しながら答えた。
山のキャンプで川があったらやる事は一つでしょ?
”ブンッ“
「「えっ?」」
”ピチャピチャピチャ“
俺が川に投げた木の枝の先には二十センチクラスの川魚が身体を跳ねさせていた。
那須さんって魚とか捌けたりする?
「は、はい。内臓を抜くくらいでしたら。」
それじゃ、そこに平たい岩をまな板代わりにして捌いちゃってくれる?沢田は俺が投げた魚を回収して那須さんに渡す係ね、数が多いからどんどん行くよ。
俺は事も無げに答えると次々と魚を仕留めて行った。
ほい、これで八十匹目と。
那須さんに加工された魚はある程度のが頭数が揃った段階で次々と沢田に運ばせた。その帰りに沢田が援軍を連れてきたため、魚の加工、キャンプ地への搬送、生ごみの処理は滞りなく済ます事が出来た。
どうだお前らこれで文句はあるまい、後は粗塩でも振って焼いて食え!
キャンプ地に戻ればすでにそこは楽しい昼食タイムに入っていた。
「佐々木~、飯盒のご飯が芯があって固いんだけど、どうすればいい?」
「のっぺり~、こっちはびちゃびちゃなんだけど~。」
え~い、俺はお前らのお袋さんか!そんなもん他の鍋に移して水入れて煮返してコンソメか麵つゆぶち込めばそれなりに美味しくなるだろうが。少しは工夫しろ、工夫。
「「「は~い、わかりました。パパ~。」」」
だー!パパは止めろパパは!今の世の中それシャレにならないから、精子提供義務超恐い、マジ勘弁して。
知らない女子から行き成り”父親”と呼ばれる、俺はありうるかもしれない未来に戦慄するのでした。
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