上 下
391 / 525
第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第385話 蠢く小物 (5)

しおりを挟む
駅から向かう朝の通学路、商店街の各お店もまだシャッターは締まり、これから支度を始めると言う所がちらほら。そんな街並みを多くの学生が楽しげに笑い登校していく。
見ると幾つかの集団が見える、それは男子生徒を中心としたハーレムかと思えばさにあらず、彼らは共に楽しげに談笑しているだけであり学友と言った関係性が見て取れる。そして一人で登校する男子生徒の姿も、その容姿は決して悪いものではなく世間でいう所のイケメンと言った部類。
だがこんな扱いに不平を持っているかと言えばいたって普通の様子であった。
そんな一人で通学する者の一人がこちらに気が付き手を上げ声を掛けて来た。

「おはよう佐々木君、昨夜はどうもありがとう。俺たちはどうやら学園と言う枠組みに囚われて世間と言ったものを知らなかった様だよ。」
するとその声に気が付いた他の男子生徒が次々と集まって来た。

「佐々木君、いや佐々木様、マジ最高です。俺らに足りなかったのは癒しだったんですね、腐っていた自分が恥ずかしい。次回もぜひお供させてください。」

「アハハハ、喜んでいただけたなら何よりです。次はまた違った趣向の場所にご案内いたします、ですので例の件よろしくお願いしますね?」

「「「勿論です、佐々木さん!」」」

笑顔で登校していく彼らを見送りほっと胸を撫で下ろす、おはようございます、どうも、俺です。

今のは誰かって?あぁ、例の喫煙男子どもですよ。
あのまま放置って訳にもいかないし下手に問題を起こされても面倒なんで、ガッツリ懐柔しておきました。
何、難しい事は一切しておりません。例の喫煙の話しと言って彼らを呼び出してマイクロバスで中央都に移動、マブダチの浅田プロダクション社長浅田美和子さん、関東テレビ社長さんと合流の後、超高級クラブでホステスさん方にイイコイイコして貰っただけですから~♪
いや、凄かった。前世では行った事ないんで比べようも無いですが、男少女多のこの世界で生き残ってきた高級クラブのホステスさんたちの色気って傾国レベルだからね。女性も惚れる真の女性、聖女?女神?表現のしようがございません。
そんなん高が有名私立のスカウトイケメンごときが敵うはずないじゃございませんか、研鑽の日々が違いすぎますから。
奴ら一発アウトです。
関東テレビさんの番組出演依頼もあっさり承諾、両社長ニコニコでございます。
佐々木君、お主も悪よの~ってお二方には敵いませんから~、アハハハハ。
所詮男なんざ女性の前には無力なのよ、これ前世からの持論です。
あ、増山のおっちゃん運転ありがとうね、今日は飲めなくってごめんね雰囲気だけでも楽しんで行って。順子ちゃんには黙っててあげるから。
えっ、お前やり方がゲスイぞ?うん、それって俺にとっては誉め言葉かな、みんながハッピーならそれでいいんじゃね?
それじゃお二方、依頼の方は桜泉学園高等部の方を通していただければすんなり通る様にしておきますんで。こちらが今回の生徒のプロフィールになります、なにとぞよろしくお願いいたします。

ってな感じに話しをまとめて来ただけなんですけどね。
今の様子だと彼らもすっかりトゲが抜けたようだし、下手に問題を起こす事も無いでしょ。
って康太君どうしたの、何か説明聞きたそうな顔でこっち見てたから独り言風に解説してみたんだけど。分かり易かったでしょ?
例の喫煙男子ってなに?ってそこからか。あいつら授業さぼって部室棟でタバコ吸ってた馬鹿ども、その件は俺が隠蔽しといたから問題なし。
懐柔って何?あぁ、アイツら上級生の学園外部進学生徒の中でも不平不満を爆発させようとしていた問題児だったんで、事件を未然に防いで二度と問題を起こさないように誘導してみました。事件?強姦未遂かな?マジタイミング次第のヤバさだったんよ?
テレビ局って?あぁ、中等部の俺様馬鹿と一緒、自己顕示欲を満たしてやってイイコイイコしてやる作戦。かなり拗らせてたから大人の色気でガッツリWA・KA・RA・SEしてやりました。すっかり骨抜きになってやんの、ケッケッケ。

”やっぱりこいつ放し飼いにしちゃだめだ”って、康太君酷くない?
俺めちゃくちゃ頑張ったんよ。(ぷんすか)
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

太后

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:10

孤独の恩送り

ミステリー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

事故物件の入居者が恋したのは、自殺した女性・・・

ホラー / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:3

コオロギを水洗いしてはいけない

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

処理中です...