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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…

第470話 お仕事のお時間です。

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「おはようございます。」

時刻はお昼過ぎ、真夏の日差しをかいくぐりすぐ近所の芸能事務所スタジオS&Bへ訪れた俺。いつも不思議に思うのだが芸能業界って何で挨拶がおはようございます一択なんだろう?朝昼晩何時でもおはようございます。撮影とか時間がまちまちだからいつの間にか統一されたとか?楽っちゃ楽なんですけどね、無難だし。

「若、わざわざお越しいただいてすみません。こちらも色々立て込んでいまして、下手に事務所を抜けられないんですよ。」

今回はマネジメント統括の町田さんからのお呼び出しです。というか統括って北川さんじゃなかった?いつの間に出世したのさ。

「いや~、北川さん副代表になっちゃったんで統括任務を行う人間が必要になったんですよ。警備部は増山さんが仕切ってくれるんでいいんですが芸能部の方は人が増えちゃったんで。今うちには七名の所属タレントがいますんでそれなりに忙しいんですよ。」

へ~、元々ただの税金対策の事務所だったのにいつの間にか立派になっちゃって。でもそれにしても人多くない?芸能事務所の裏方ってこんなに人がいるもんなの?

「あぁ、それはうち独特の問題ですかね。うちって自分の所以外にも色々手を出してるじゃないですか?スタジオCherryだったり鬼龍院家だったり桜泉学園だったり。その関係でどうしても人手が。鬼龍院家や桜泉学園の方はそろそろ片が付きそうなんでようやく本来の仕事に戻れるんですけどね。後は後任の鬼龍院広美理事長に引き継いで終了ですかね。彼女元々企業の立て直しの仕事をしていただけあって話しがスムースに進んで助かりますよ。」

そう、それは良かった。あとうちに移籍してきた三人はどうなってるの?前に屋台村に行ってから詳しく聞いてないんだけど。

「彼女達は元々第一線にいましたからね、SASAKI&Bambooの楽曲で人気が再燃したようです。アイドル路線からシンガーへと一皮剥けたって言うのが周りからの評価ですかね。ファンクラブも順調に加入者数が増えてる様ですよ。特に夏川きららの人気が高いですかね。」

へ~、やるな~。絡み酒のただの酔っぱらいじゃなかったって事なのね。そのうち三人で歌える曲も考えておくね。そうそう、そう言えば吉村君ってその後どうしてるの?学園に入ってから全然会ってないんだよね。

「あぁ、吉村健司君ですね、彼今やドラマで大活躍ですよ。若はそれこそ大忙しでしたから気が付かなかったかもしれませんが若手注目俳優として石川洋一君に次いでの人気です。それでですね、”学園探偵ゼット”ファイナルミッションがいよいよ最後を迎えるにあたり”支配者”役のN・Sに出演依頼が来ていまして。」

げ、ついに来たか。で、今回はどうするの?支配者仮面脱いじゃったけど。

「はい、ですので今回は初めは冴えないサラリーマンとして登場し、ラストでドカンとひっくり返す役柄になるそうです。」

おう、潜入捜査ですか、そう言うのは得意です。これで前よりセリフが貰えるとか?

「それが~、こちらが台本になります、ご覧になってください。」

どれどれ~。・・・少な!木村君や吉村君が事件を調べて俺は端役っすか。まぁ元々端役ですし、ファイナルなんでスポット的な感じ?スープの上のクルトンなのね、芸能の道は厳しいっす。

「ハハハ、まぁお気を悪くしないでください。それと植松ディレクターよりの話しなんですが、フロンティア連合のテレビ局から”逃走王”のゲストとして出てくれないかとの話しが来ているそうです。」

えっ、マジで?あの番組海外でも制作してたの?

「はい、第二回第三回逃走王の映像がかなり反響を呼んだようでして。スタジオCherryにも”hiroshi”宛にその話は行った様ですが、彼は現在全国ツアーの真っ最中ですから。」

ん?って事はこの話しって割とすぐって事?

「はい、明日の飛行機で向かっていただきます。代表からは警護にブリジットさんを付けるとの事ですが、代表からは聞いていらっしゃらなかったんですか?」

またかよマミー、いつも突然すぎるんだよ。でも前日に聞かされるのは今までよりまし?キャリーケース持って来て行ってこいじゃないし、行き先も仕事内容も分かってるし。うん、全然待遇上がってたわ。
了解だよ町田さん、今日の話しはそれがメインって事かな?

「そうですね、ドラマの話しは撮影スケジュール的に帰国されてからになりますので気に留めておいてください。」

”OK、それじゃ帰って準備しておくね。チケットの手配とかは大丈夫なんでしょ?諸々よろしくお願いね。”
そう言い手を振って帰って行く若。
えっ、普通前日に行き成り海外に行って来いって言われたら怒らない?キャリーケース持って来て行ってこいってなんの拷問?行き先と仕事の内容を聞かされるだけで待遇が上がってるの?
今まで若はどんな境遇だったのだろうか。
町田雪子はのっぺりの余りの不憫さにそっと涙するのでした。
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