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第四章 ラブコメって言ったら学園じゃね…
第497話 モデルの仕事とは
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”パンッ、パンッ、パンッ、パンッ”
「はい、ちゃんと指先まで意識を持って行って、そんなんじゃ誰も服を見てくれないでしょうが、あなた達はモデルなのよ!」
「「「はい!ジェシー先生。」」」
ジェシー先生、すみませんこんな事お願いして。それで彼らの出来はいかがですかね。
俺は無茶振りを押し付けたジェシー萩原先生に申し訳なさそうな顔をしながら、スタジオCherryのアイドルグループCボーイズの出来を窺ってみる。
「そうね、流石に身体が出来上がってないからモデルとしては何とも言えないかしら。でも期限までには見れるようにしておくから安心してちょうだい。横田君も彼らに関してはそこまで難しい事は求めていないって言っていたし問題ないんじゃないかしら?」
その言葉を聞いてほっと一安心。流石のジェシー先生でも全くの素人をファッションショーの舞台に上げるのは無茶が過ぎるとは思ったんだけど、そこは大崎先生の師匠、半端ないです。
それと一緒に見て貰ったひろし君なんですが、彼の方はどうですかね?
「あぁ、あの才能の塊ね、私の言う事をすぐに吸収する理解力と観察力、正直化け物ね。初日に少し指導しただけで国内のどのショーに出しても恥ずかしくないランウェイをして見せるなんて正直考えもしなかったわ。話しを聞いたら昔からずっと演技の練習をして来たって言うじゃない、それが土台になって観察眼と表現力が磨かれて来たんじゃないかしら。
年明けにはユーロッパのショーに出るんでしょ?それまでには世界のランウェイでも通用するレベルにして見せるわよ。」
ジェシー先生にここまで言わせるなんてやっぱひろし君はひろし君だわ。なんでも出来るなひろし君。
事の起こりは横田先輩からの無茶振りからであった。
「今度のSinの新作発表会、テレビ番組とのコラボ企画でスタジオCherryのCボーイズとひろし君をモデルとして起用する事になった。これはウチの制作企業からの頼みでもあってね、どうやら彼らをCMキャラクターとして使いたいらしい。俺としても前にNoirの件でゴタゴタしただろう?あまり強く言えないところもあるんだ 。
そこで佐々木に相談なんだが、Cボーイズの奴らをいっぱしのモデルにしてやってくれないか?」
いや何言ってるんです?俺に言われても無理ですから、前にモデルに指導を行ったのだって相手がプロのモデルだから通用したんであって、まったくの素人をショーの舞台に上げるほどの指導力は無いですから。
「いや、無茶言ってるのは分かってるんだよ、本当お願い。もう頼めるのはお前しかいないの、助けると思って。」
え~、まぁ先輩にはいろいろとお世話になってますんで伝手を当たっては見ますけど、あまり期待しないでくださいね。
こんなやり取りがあったのが七月の事、それからジェシー先生に連絡をして関係者を集めての詳しい打ち合わせ、八月いっぱいを掛けてのレッスンの末今に至るって訳です。
俺としては全て丸投げしちゃった形なんで申し訳ないことこの上なしなんですけどね。
Cボーイズのレッスン風景とかジェシー先生の叱責やコメントなんかも番組の一部として組み込んでるんで彼らの仕事には繋がってるんですけど、なんかこんなの前世のテレビ番組でも見た事あるよな~。
「それよりSakiはレッスンしないの?あなたもショーに出るんでしょう?」
いや~、それが俺が映り込んじゃうとギャラが発生しちゃってですね、モデルSakiのギャラって結構高いんですよ。そんでのっぺりで参加すると絵面的によろしくないって言う問題がですね~。
何で見て貰えるのは全体合わせの時くらいになってしまいますかね。スタジオでのレッスンは自分の所でやってはいますけど。
”あぁ~、いわゆる大人の事情ね~。”と呆れ顔のジェシー先生。
俺ってその辺立場弱いんですよ、申し訳ない。
(side:Cボーイズ)
「はい、お疲れ様。休憩に入ります、しっかり水分は摂る様に。」
「「「はい、ジェシー先生。」」」
はぁ~、きつい。モデルのレッスンってこんなにキツイもんなのかよ、シャレにならない。あんなの綺麗に着飾ってただみんなの前を歩くだけじゃないのかよ。
指先、姿勢、踏み出しの一歩一歩。歩きで魅せるってこんなにもきついもんだなんて知らなかった。
「市ヶ谷~、生きてるか~。」
レッスンスタジオで汗だくで倒れているメンバーに話し掛ける。
「東野か、なんとかな~。でも死にそう、モデルの仕事がこんなに過酷だとは想像もしてなかった。俺、世の中舐めてたわ。」
「だよな~、他の連中は大丈夫か~。」
「北島がヤバそう、あいつ一番体力無いから。今は気力で頑張ってる感じ。」
「そうか、でももうすぐ本番だからな、根性で乗り切るぞ!」
「「「おう!」」」
俺たちが何でこんなに頑張れるか、それはSakiさんのウォークを見たからに他ならない。レッスン初日、俺たちの前で魅せてくれた見事なランウェイ。俺たちはその姿に魅せられ憧れた。そして掛けられた一言。
”君たちにはこの私になって貰います。ショーの主役はあなた方です、全力でレッスンに挑んでください。”
あれだけの人物にここまで言われたら引き下がれない、引き下がりたくない。
ここは俺たちの分岐点、このままただ流されるのかそれとも。
俺たちはこのままじゃ終わらない、終われない。
今度のSinのファッションショー、最高の舞台にしてやる。
「はい、休憩終了。時間はないわ、キリキリ行くわよ!」
「「「はい、ジェシー先生!!」」」
「はい、ちゃんと指先まで意識を持って行って、そんなんじゃ誰も服を見てくれないでしょうが、あなた達はモデルなのよ!」
「「「はい!ジェシー先生。」」」
ジェシー先生、すみませんこんな事お願いして。それで彼らの出来はいかがですかね。
俺は無茶振りを押し付けたジェシー萩原先生に申し訳なさそうな顔をしながら、スタジオCherryのアイドルグループCボーイズの出来を窺ってみる。
「そうね、流石に身体が出来上がってないからモデルとしては何とも言えないかしら。でも期限までには見れるようにしておくから安心してちょうだい。横田君も彼らに関してはそこまで難しい事は求めていないって言っていたし問題ないんじゃないかしら?」
その言葉を聞いてほっと一安心。流石のジェシー先生でも全くの素人をファッションショーの舞台に上げるのは無茶が過ぎるとは思ったんだけど、そこは大崎先生の師匠、半端ないです。
それと一緒に見て貰ったひろし君なんですが、彼の方はどうですかね?
「あぁ、あの才能の塊ね、私の言う事をすぐに吸収する理解力と観察力、正直化け物ね。初日に少し指導しただけで国内のどのショーに出しても恥ずかしくないランウェイをして見せるなんて正直考えもしなかったわ。話しを聞いたら昔からずっと演技の練習をして来たって言うじゃない、それが土台になって観察眼と表現力が磨かれて来たんじゃないかしら。
年明けにはユーロッパのショーに出るんでしょ?それまでには世界のランウェイでも通用するレベルにして見せるわよ。」
ジェシー先生にここまで言わせるなんてやっぱひろし君はひろし君だわ。なんでも出来るなひろし君。
事の起こりは横田先輩からの無茶振りからであった。
「今度のSinの新作発表会、テレビ番組とのコラボ企画でスタジオCherryのCボーイズとひろし君をモデルとして起用する事になった。これはウチの制作企業からの頼みでもあってね、どうやら彼らをCMキャラクターとして使いたいらしい。俺としても前にNoirの件でゴタゴタしただろう?あまり強く言えないところもあるんだ 。
そこで佐々木に相談なんだが、Cボーイズの奴らをいっぱしのモデルにしてやってくれないか?」
いや何言ってるんです?俺に言われても無理ですから、前にモデルに指導を行ったのだって相手がプロのモデルだから通用したんであって、まったくの素人をショーの舞台に上げるほどの指導力は無いですから。
「いや、無茶言ってるのは分かってるんだよ、本当お願い。もう頼めるのはお前しかいないの、助けると思って。」
え~、まぁ先輩にはいろいろとお世話になってますんで伝手を当たっては見ますけど、あまり期待しないでくださいね。
こんなやり取りがあったのが七月の事、それからジェシー先生に連絡をして関係者を集めての詳しい打ち合わせ、八月いっぱいを掛けてのレッスンの末今に至るって訳です。
俺としては全て丸投げしちゃった形なんで申し訳ないことこの上なしなんですけどね。
Cボーイズのレッスン風景とかジェシー先生の叱責やコメントなんかも番組の一部として組み込んでるんで彼らの仕事には繋がってるんですけど、なんかこんなの前世のテレビ番組でも見た事あるよな~。
「それよりSakiはレッスンしないの?あなたもショーに出るんでしょう?」
いや~、それが俺が映り込んじゃうとギャラが発生しちゃってですね、モデルSakiのギャラって結構高いんですよ。そんでのっぺりで参加すると絵面的によろしくないって言う問題がですね~。
何で見て貰えるのは全体合わせの時くらいになってしまいますかね。スタジオでのレッスンは自分の所でやってはいますけど。
”あぁ~、いわゆる大人の事情ね~。”と呆れ顔のジェシー先生。
俺ってその辺立場弱いんですよ、申し訳ない。
(side:Cボーイズ)
「はい、お疲れ様。休憩に入ります、しっかり水分は摂る様に。」
「「「はい、ジェシー先生。」」」
はぁ~、きつい。モデルのレッスンってこんなにキツイもんなのかよ、シャレにならない。あんなの綺麗に着飾ってただみんなの前を歩くだけじゃないのかよ。
指先、姿勢、踏み出しの一歩一歩。歩きで魅せるってこんなにもきついもんだなんて知らなかった。
「市ヶ谷~、生きてるか~。」
レッスンスタジオで汗だくで倒れているメンバーに話し掛ける。
「東野か、なんとかな~。でも死にそう、モデルの仕事がこんなに過酷だとは想像もしてなかった。俺、世の中舐めてたわ。」
「だよな~、他の連中は大丈夫か~。」
「北島がヤバそう、あいつ一番体力無いから。今は気力で頑張ってる感じ。」
「そうか、でももうすぐ本番だからな、根性で乗り切るぞ!」
「「「おう!」」」
俺たちが何でこんなに頑張れるか、それはSakiさんのウォークを見たからに他ならない。レッスン初日、俺たちの前で魅せてくれた見事なランウェイ。俺たちはその姿に魅せられ憧れた。そして掛けられた一言。
”君たちにはこの私になって貰います。ショーの主役はあなた方です、全力でレッスンに挑んでください。”
あれだけの人物にここまで言われたら引き下がれない、引き下がりたくない。
ここは俺たちの分岐点、このままただ流されるのかそれとも。
俺たちはこのままじゃ終わらない、終われない。
今度のSinのファッションショー、最高の舞台にしてやる。
「はい、休憩終了。時間はないわ、キリキリ行くわよ!」
「「「はい、ジェシー先生!!」」」
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