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19話
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襲撃当日の日。暗くなった空には雲一つなく、大きな満月が3つ輝いている。
リーダーの予想が当たっているならば、今日シルバーウルフたちはこの村に攻めくる。予想が間違っていたり、別の所という可能性もあるが警戒しない訳にはいかない。いつ来ても問題ないように戦いの準備についた。
迎撃の準備は残ってくれたゴブリン達が不眠不休で働いてくれたため想定以上に出来ていた。洞窟の入り口には太い枝で作られた柵が新しく作られている。切り倒すのにとてつもなく時間がかかる太い枝を何本も取ってきて、作ったものだ。これならシルバーウルフたちも突破することは難しいだろう。
また柵にはゴブリンは通れるけれどシルバーウルフは通れない大きさの隙間があり、そこから中の人は柵に攻撃している奴らを一方的に攻撃することが出来る。
攻撃に使うのは木の先端を削って毒を塗った簡易的な槍だ。あまり強くはないが、あくまで私達の目的は生き延びる事であるため、これでも十分なはずだ。
動けるゴブリン達が柵の近くで待機して、ケガ人や動けないゴブリン、子どもは洞窟の奥で待機する。朝が来るまで耐えれれば私達の一応の勝ちだ。
洞窟の中ははりつめた空気であふれている。みんなやることはやったから大丈夫だとこころで唱えて必死に冷静でいようと頑張っているようだった。
「ねえ、ほんとうに外にいっちゃうの?」
そんな状況を横目に私は弓と矢で一杯の矢筒を持って外に出る準備をしていたら、ゴブリンAちゃんが心配そうに声をかけてきた。彼女の手には木の槍が握られている。どうやら彼女は前衛をやるつもりのようだ。それに槍を持つ手が少し震えている。彼女も怖いようだ。
「うん。ここだと私、役にたてないからね」
今回の戦い、私は柵の内側からではなくて、外からオオカミたちを攻撃しようと考えていた。弓矢ならば外でも比較的安全な木の上からでも十分攻撃することができるからだ。
シルバーウルフたちが柵に向かって群れている状況なら、その後ろから攻撃するのは絶好のチャンスになるし、柵と私の方と戦力が二分されてくれる可能性もあるから、やるだけ得なのだ。
それに私は槍をもってつくより弓矢を使う方がなれているからね。柵の内側からだと弓矢は使えないので外の方が都合がいい。
「気をつけてね。君がいなくなるのは嫌だよ」
ゴブリンAちゃんは私のことをギュウーと抱きしめながら、すこし涙声でいった。当然、私も死ぬつもりなどはない。大丈夫だよ、とだけ声をかけて少しだけ彼女の自由にさせた。少し立つと落ち着いたのかゴブリンAちゃんは抱きしめるのをやめて、頑張ってねと手を振ってくる。私は手を振り返しながら、急いで洞窟から抜け出して、木の上に陣取った。
幸い、月明かりのおかげで周辺はよく見えている。外に火などと行った光源は一切ないためシルバーウルフを狙えるかどうかが不安だったが問題はなさそうだ。
私が陣取った木の上からは、洞窟の入り口まで何の障害物もない。絶好の攻撃スポットだ。私はいつでも攻撃できるように弓を構えて、耳を澄ませる。
・・・どのくらい時間がたっただろうか。
しばらくすると、木々が揺れる音が聞こえてくる。その音はだんだんと大きくなっていき、そして地面を蹴る音や獣のハアハアという吐息が混ざってきた。
どうやらリーダーの予想は大当たりだったようだ。シルバーウルフの群れが一直線に村に向かって進んできている。
私は首元に掛けていた、木で作った笛を咥えて、思いっきり息を吹き込む。笛からはピーと甲高い音が鳴った。襲撃を伝える合図だ。今日はこっちの世界に来てから一番長い夜になりそうだ。
リーダーの予想が当たっているならば、今日シルバーウルフたちはこの村に攻めくる。予想が間違っていたり、別の所という可能性もあるが警戒しない訳にはいかない。いつ来ても問題ないように戦いの準備についた。
迎撃の準備は残ってくれたゴブリン達が不眠不休で働いてくれたため想定以上に出来ていた。洞窟の入り口には太い枝で作られた柵が新しく作られている。切り倒すのにとてつもなく時間がかかる太い枝を何本も取ってきて、作ったものだ。これならシルバーウルフたちも突破することは難しいだろう。
また柵にはゴブリンは通れるけれどシルバーウルフは通れない大きさの隙間があり、そこから中の人は柵に攻撃している奴らを一方的に攻撃することが出来る。
攻撃に使うのは木の先端を削って毒を塗った簡易的な槍だ。あまり強くはないが、あくまで私達の目的は生き延びる事であるため、これでも十分なはずだ。
動けるゴブリン達が柵の近くで待機して、ケガ人や動けないゴブリン、子どもは洞窟の奥で待機する。朝が来るまで耐えれれば私達の一応の勝ちだ。
洞窟の中ははりつめた空気であふれている。みんなやることはやったから大丈夫だとこころで唱えて必死に冷静でいようと頑張っているようだった。
「ねえ、ほんとうに外にいっちゃうの?」
そんな状況を横目に私は弓と矢で一杯の矢筒を持って外に出る準備をしていたら、ゴブリンAちゃんが心配そうに声をかけてきた。彼女の手には木の槍が握られている。どうやら彼女は前衛をやるつもりのようだ。それに槍を持つ手が少し震えている。彼女も怖いようだ。
「うん。ここだと私、役にたてないからね」
今回の戦い、私は柵の内側からではなくて、外からオオカミたちを攻撃しようと考えていた。弓矢ならば外でも比較的安全な木の上からでも十分攻撃することができるからだ。
シルバーウルフたちが柵に向かって群れている状況なら、その後ろから攻撃するのは絶好のチャンスになるし、柵と私の方と戦力が二分されてくれる可能性もあるから、やるだけ得なのだ。
それに私は槍をもってつくより弓矢を使う方がなれているからね。柵の内側からだと弓矢は使えないので外の方が都合がいい。
「気をつけてね。君がいなくなるのは嫌だよ」
ゴブリンAちゃんは私のことをギュウーと抱きしめながら、すこし涙声でいった。当然、私も死ぬつもりなどはない。大丈夫だよ、とだけ声をかけて少しだけ彼女の自由にさせた。少し立つと落ち着いたのかゴブリンAちゃんは抱きしめるのをやめて、頑張ってねと手を振ってくる。私は手を振り返しながら、急いで洞窟から抜け出して、木の上に陣取った。
幸い、月明かりのおかげで周辺はよく見えている。外に火などと行った光源は一切ないためシルバーウルフを狙えるかどうかが不安だったが問題はなさそうだ。
私が陣取った木の上からは、洞窟の入り口まで何の障害物もない。絶好の攻撃スポットだ。私はいつでも攻撃できるように弓を構えて、耳を澄ませる。
・・・どのくらい時間がたっただろうか。
しばらくすると、木々が揺れる音が聞こえてくる。その音はだんだんと大きくなっていき、そして地面を蹴る音や獣のハアハアという吐息が混ざってきた。
どうやらリーダーの予想は大当たりだったようだ。シルバーウルフの群れが一直線に村に向かって進んできている。
私は首元に掛けていた、木で作った笛を咥えて、思いっきり息を吹き込む。笛からはピーと甲高い音が鳴った。襲撃を伝える合図だ。今日はこっちの世界に来てから一番長い夜になりそうだ。
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