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一章 ゲームスタート
第一話 半年ぶりにゲームをすることにした
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今日は新たな学園生活が始まる入学式。多くの新入生がこれからの学園生活に期待で胸を膨ませ、顔を輝かせている。
そんな中、彼らと同じ新入生である僕だけが顔を顰めていた。
誤解して欲しくないのだけど、僕は普通にこれからの高校生活が楽しみで、彼らと同じように期待で胸を躍らせている。
なのに、何故僕が顔を顰めているかというとそれは今もなお、僕の脳内に響き渡る悪魔の声が原因だ。
『なぁ、いい加減ゲームしてくれよ』
「…イヤだ。面倒くさい」
『そこを何とか!』
「…睡眠時間が削れるから却下」
悪魔の誘いを僕はいつもより雑に切り捨てた。
だが、この程度で止める悪魔ではない。断られてもなお、しつこく語りかけ『ゲームをしろ』と語りかけてくる。
これが鬱陶しくて僕は顔を顰めているのだ。
『前から言ってるけど、俺は悪魔じゃねぇ!異世界のお前だ!異世界の自分が困ってるんだぞ、助けろよ!』
「……あっ、声に出してた?…前から思ってるけど、同じ声だからってそれは無理があるよ」
『何回も何回も言ってんのに、何で信じてくれないんだよ~~~~!』
「……うるさい、いい加減黙れ」
自称異世界の僕と宣うコイツの声が聞こえるようになったのは、高校受験のために猛勉強をしていた時のこと。勉強に疲れ、気分転換にゲームを起動した時コイツの声が聞こえるようになったのだ。
そのタイミングでゲームをするよう語りかけてきたから、僕にゲームをさせて堕落させ受験を失敗させようとする悪魔にしか思えない。
僕はそんな悪魔の誘惑を乗り切り、毎日勉強をしたおかげで志望校に合格した。
これで、コイツともおさらばだと思っていたのだけど、何故か未だに消えず語りかけてくる。
コイツは一体何なんだろう?
そんな疑問が頭に過る。
しかし、それはすぐに校門の前でクラス表を見て、一喜一憂している生徒達の声が聞こえたことで頭の隅に追いやられた。
それから、僕は脳内に響く声を無視し入学式に参加した。
◆
入学式が終わり、配布された大量の教科書や教材が詰まったクソ重リュックを背負い、エッチラオイチラ亀のような足取りで歩くこと数十分。
何とか、家に辿り着いた僕は玄関にリュック投げ捨て、その場に倒れ込んだ。
「……教科書重すぎでしょ」
中学校時代、部活をしておらず置き勉に頼り切っていた僕にとって、一年間全ての教科書が入ったリュックは潰されるのではないかと思うほどに重たかった。
出来ることなら二度と持ちたくない。
『学校ってやつが終わったんならゲームしてくれよ』
ゼェ、ハァと僕が息を荒げている中、変わらず悪魔はゲームをしろと語りかけてくる。
「……朝から昼までずっと僕に語りかけてくる暇人な君と違って、僕は重労働をこなして疲れているんだ。ゲームをする余力なんてない。無理」
『俺は暇人じゃねぇよ!冒険者として毎日働いてるっての。その間に語りかけてんだよ。誰かさんがゲームしないせいで、ステータスが上がらなくて、草むしりか溝浚いしか出来ないからそろそろ宿屋から放り出されそうだけどな!』
「……ご愁傷様」
『そう思うならゲームをしてれ~~!!』
「……何でそうなるのさ。君に何かメリットがあるの?」
ゲームをしてもどうせ何も起こらないのに。
そんなことをいつも考えて、今まで聞いてこなかった疑問をぶつける。
『はぁ、あんだけ言ったのに覚えてないのかよ。俺が持っているスキル『ゲームリンク』のせいだっての。これのせいで、お前がゲームをプレイして俺を動かさないと、経験値もスキルも新しく手に入んないんだ』
「……何その他力本願スキル」
『本当それな。何で俺が動いても経験値もスキルも手に入らないとかいうクソデメリット効果付けてるんだよ。そのせいで、半年前一緒に冒険者なったアイツらに置いてかれる一方だ。なぁ、マジで一回だけで良いから頼むよ。ゲームがどんなものか知らないけど』
「……知らずにやらせようとしてたんだ」
あれだけ連呼してるから意味くらい知ってると思ってたんだけど。
弱った声で懇願してくる悪魔。正直コイツの話を僕は信用していない。言っていることが荒唐無稽過ぎるのだ。あり得るはずがない。
だけど、いつまでもコイツに語りかけられるのもいい加減面倒だ。受験の時は時間が無かったから、出来なかったが今なら一応時間が作れる。
「……分かったよ。一回だけやってあげる」
コイツの声が聞こえるようになって約半年が月日が経った今日。
初めて、悪魔の誘惑に乗り僕はゲームを起動することにした。
それが、僕達の命運を分ける選択とも知らずに。
そんな中、彼らと同じ新入生である僕だけが顔を顰めていた。
誤解して欲しくないのだけど、僕は普通にこれからの高校生活が楽しみで、彼らと同じように期待で胸を躍らせている。
なのに、何故僕が顔を顰めているかというとそれは今もなお、僕の脳内に響き渡る悪魔の声が原因だ。
『なぁ、いい加減ゲームしてくれよ』
「…イヤだ。面倒くさい」
『そこを何とか!』
「…睡眠時間が削れるから却下」
悪魔の誘いを僕はいつもより雑に切り捨てた。
だが、この程度で止める悪魔ではない。断られてもなお、しつこく語りかけ『ゲームをしろ』と語りかけてくる。
これが鬱陶しくて僕は顔を顰めているのだ。
『前から言ってるけど、俺は悪魔じゃねぇ!異世界のお前だ!異世界の自分が困ってるんだぞ、助けろよ!』
「……あっ、声に出してた?…前から思ってるけど、同じ声だからってそれは無理があるよ」
『何回も何回も言ってんのに、何で信じてくれないんだよ~~~~!』
「……うるさい、いい加減黙れ」
自称異世界の僕と宣うコイツの声が聞こえるようになったのは、高校受験のために猛勉強をしていた時のこと。勉強に疲れ、気分転換にゲームを起動した時コイツの声が聞こえるようになったのだ。
そのタイミングでゲームをするよう語りかけてきたから、僕にゲームをさせて堕落させ受験を失敗させようとする悪魔にしか思えない。
僕はそんな悪魔の誘惑を乗り切り、毎日勉強をしたおかげで志望校に合格した。
これで、コイツともおさらばだと思っていたのだけど、何故か未だに消えず語りかけてくる。
コイツは一体何なんだろう?
そんな疑問が頭に過る。
しかし、それはすぐに校門の前でクラス表を見て、一喜一憂している生徒達の声が聞こえたことで頭の隅に追いやられた。
それから、僕は脳内に響く声を無視し入学式に参加した。
◆
入学式が終わり、配布された大量の教科書や教材が詰まったクソ重リュックを背負い、エッチラオイチラ亀のような足取りで歩くこと数十分。
何とか、家に辿り着いた僕は玄関にリュック投げ捨て、その場に倒れ込んだ。
「……教科書重すぎでしょ」
中学校時代、部活をしておらず置き勉に頼り切っていた僕にとって、一年間全ての教科書が入ったリュックは潰されるのではないかと思うほどに重たかった。
出来ることなら二度と持ちたくない。
『学校ってやつが終わったんならゲームしてくれよ』
ゼェ、ハァと僕が息を荒げている中、変わらず悪魔はゲームをしろと語りかけてくる。
「……朝から昼までずっと僕に語りかけてくる暇人な君と違って、僕は重労働をこなして疲れているんだ。ゲームをする余力なんてない。無理」
『俺は暇人じゃねぇよ!冒険者として毎日働いてるっての。その間に語りかけてんだよ。誰かさんがゲームしないせいで、ステータスが上がらなくて、草むしりか溝浚いしか出来ないからそろそろ宿屋から放り出されそうだけどな!』
「……ご愁傷様」
『そう思うならゲームをしてれ~~!!』
「……何でそうなるのさ。君に何かメリットがあるの?」
ゲームをしてもどうせ何も起こらないのに。
そんなことをいつも考えて、今まで聞いてこなかった疑問をぶつける。
『はぁ、あんだけ言ったのに覚えてないのかよ。俺が持っているスキル『ゲームリンク』のせいだっての。これのせいで、お前がゲームをプレイして俺を動かさないと、経験値もスキルも新しく手に入んないんだ』
「……何その他力本願スキル」
『本当それな。何で俺が動いても経験値もスキルも手に入らないとかいうクソデメリット効果付けてるんだよ。そのせいで、半年前一緒に冒険者なったアイツらに置いてかれる一方だ。なぁ、マジで一回だけで良いから頼むよ。ゲームがどんなものか知らないけど』
「……知らずにやらせようとしてたんだ」
あれだけ連呼してるから意味くらい知ってると思ってたんだけど。
弱った声で懇願してくる悪魔。正直コイツの話を僕は信用していない。言っていることが荒唐無稽過ぎるのだ。あり得るはずがない。
だけど、いつまでもコイツに語りかけられるのもいい加減面倒だ。受験の時は時間が無かったから、出来なかったが今なら一応時間が作れる。
「……分かったよ。一回だけやってあげる」
コイツの声が聞こえるようになって約半年が月日が経った今日。
初めて、悪魔の誘惑に乗り僕はゲームを起動することにした。
それが、僕達の命運を分ける選択とも知らずに。
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