11 / 76
第11話 ホームレス、女王に褒められて夕食に誘われる
しおりを挟む
―ヴォルフスブルク王宮・玉座の間―
「女王陛下、アルフレッド並びにクニカズ、ただいま戻りました」
俺たちは国境のいざこざを完全に制圧して意気揚々と王宮に戻った。
「ご苦労だったな、ふたりとも……今回の件は、期待以上の出来だった。ザルツ公国からは公式に謝罪の言葉を受け取った。他国との外交上の信頼関係を維持するためにも、内々で処理したいと賠償金まで添えてな。まさか、軍事挑発していたザルツ公国が、逆に挑発に乗って越境してくるとは……捕虜たちの証言も状況証拠もそろっている。もう、しばらくはザルツ公国側は沈黙せざるをえまい。これで国境の緊張も緩和される」
すべてうまくいったな。ザルツ公国国境警備隊のほとんどは捕虜となり、捕虜たちは隊長の指示で領域侵犯をしてしまったと証言した。そもそも圧倒的に有利だったはずのザルツ公国軍がわずか2人の男に制圧されたんだ。衝撃だったろうな。
仮にこの状況を公表されては、ザルツ公国の軍事的・外交的の信用を完全に失う。
よって、秘密裏に全面謝罪&相場の2倍近い賠償金を払って解決せざるを得なかった。
「宰相よ。これでそなたも文句は言えまい。砦を短期間で再建し、敵の国境警備隊を挑発し叩き潰した。非凡な軍事的な才能と智謀だ。魔力の潜在能力はおそらく、伝説級に匹敵する。誰が何と言おうと、彼は救世主だ。私は、この国の命運を彼にかけようと思う」
宰相は、苦虫を嚙み潰したようにうつむいた。
「ぐぬぬ、仕方がありません。今回の件での活躍は評価せざるを得ない。しかし、まだスパイじゃないと判明したわけではありません。警戒心をもって望んでくだされ」
「わかった。お主はもうさがれ。アルフレッドも今回の件を評価し、昇進を約束しよう。すまないが、今日は救世主様とゆっくり話をしたい。報告は明日、ゆっくりと頼む」
「わかりました。女王陛下。クニカズ様、今回の祝杯はまた後日にいたしましょう」
「ああ、楽しみにしているよ」
なんだかんだで、アルフレッドとは決闘と共闘を経て、長く付き合ってきた友達のようになっていた。
少しずついい感じになっていると思う。俺の人生は少しずつ変わり始めた。
ふたりきりになると女王陛下は砕けた口調になっていた。
「さて、クニカズ様。今回の件は、感謝しても感謝しきれません。もしかすると、国境紛争から全面戦争になるところでしたから……お礼をこめて、今日は夕食を振る舞いたいと思うのですが、付き合ってはいただけませんか?」
「えっ!?」
これってまさか……いや、女の子とふたりきりで夕食を共にするなんて、何年ぶりだ。たぶん、社会人の時以来だから、6年以上前……それも相手は女王陛下。こっちの世界のテーブルマナーとかわかんないけど……
えっ!? えっ!? えっ!?
「ふふっ、おもしろいですね、クニカズ様は? 大丈夫ですよ。私はどんなに着飾っていても、しょせんは18歳の小娘。たまには、英雄にすがりたくもなるのです。父王が亡くなってから、食事もいつもひとりで。だから、異世界のことをおしゃべりしながら、楽しく食事をしたいなって……ダメですか?」
なんだ、さっきまでの威圧感はどこに消えた?? これがカリスマ性の塊だった女王陛下の素の姿なのか。かわいい。うん、ギャップがすごくて大変いい。
「はい、喜んで!!」
「よかった。すぐに用意させますね」
彼女はまるで少女のように笑う。
「女王陛下、アルフレッド並びにクニカズ、ただいま戻りました」
俺たちは国境のいざこざを完全に制圧して意気揚々と王宮に戻った。
「ご苦労だったな、ふたりとも……今回の件は、期待以上の出来だった。ザルツ公国からは公式に謝罪の言葉を受け取った。他国との外交上の信頼関係を維持するためにも、内々で処理したいと賠償金まで添えてな。まさか、軍事挑発していたザルツ公国が、逆に挑発に乗って越境してくるとは……捕虜たちの証言も状況証拠もそろっている。もう、しばらくはザルツ公国側は沈黙せざるをえまい。これで国境の緊張も緩和される」
すべてうまくいったな。ザルツ公国国境警備隊のほとんどは捕虜となり、捕虜たちは隊長の指示で領域侵犯をしてしまったと証言した。そもそも圧倒的に有利だったはずのザルツ公国軍がわずか2人の男に制圧されたんだ。衝撃だったろうな。
仮にこの状況を公表されては、ザルツ公国の軍事的・外交的の信用を完全に失う。
よって、秘密裏に全面謝罪&相場の2倍近い賠償金を払って解決せざるを得なかった。
「宰相よ。これでそなたも文句は言えまい。砦を短期間で再建し、敵の国境警備隊を挑発し叩き潰した。非凡な軍事的な才能と智謀だ。魔力の潜在能力はおそらく、伝説級に匹敵する。誰が何と言おうと、彼は救世主だ。私は、この国の命運を彼にかけようと思う」
宰相は、苦虫を嚙み潰したようにうつむいた。
「ぐぬぬ、仕方がありません。今回の件での活躍は評価せざるを得ない。しかし、まだスパイじゃないと判明したわけではありません。警戒心をもって望んでくだされ」
「わかった。お主はもうさがれ。アルフレッドも今回の件を評価し、昇進を約束しよう。すまないが、今日は救世主様とゆっくり話をしたい。報告は明日、ゆっくりと頼む」
「わかりました。女王陛下。クニカズ様、今回の祝杯はまた後日にいたしましょう」
「ああ、楽しみにしているよ」
なんだかんだで、アルフレッドとは決闘と共闘を経て、長く付き合ってきた友達のようになっていた。
少しずついい感じになっていると思う。俺の人生は少しずつ変わり始めた。
ふたりきりになると女王陛下は砕けた口調になっていた。
「さて、クニカズ様。今回の件は、感謝しても感謝しきれません。もしかすると、国境紛争から全面戦争になるところでしたから……お礼をこめて、今日は夕食を振る舞いたいと思うのですが、付き合ってはいただけませんか?」
「えっ!?」
これってまさか……いや、女の子とふたりきりで夕食を共にするなんて、何年ぶりだ。たぶん、社会人の時以来だから、6年以上前……それも相手は女王陛下。こっちの世界のテーブルマナーとかわかんないけど……
えっ!? えっ!? えっ!?
「ふふっ、おもしろいですね、クニカズ様は? 大丈夫ですよ。私はどんなに着飾っていても、しょせんは18歳の小娘。たまには、英雄にすがりたくもなるのです。父王が亡くなってから、食事もいつもひとりで。だから、異世界のことをおしゃべりしながら、楽しく食事をしたいなって……ダメですか?」
なんだ、さっきまでの威圧感はどこに消えた?? これがカリスマ性の塊だった女王陛下の素の姿なのか。かわいい。うん、ギャップがすごくて大変いい。
「はい、喜んで!!」
「よかった。すぐに用意させますね」
彼女はまるで少女のように笑う。
1
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~
枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。
同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。
仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。
─────────────
※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。
※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。
※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる