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番外編
〜聖女が世界を救う〜現代⑥〜
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いつも凛として、堂々と人々の前に立ち、何があっても動じることなく業務をこなすルカ様が、顔を赤らめて必死な表情を私に向けてくる。
諦めるつもりだった。叶うはずもない気持ちだと思っていたから。伝えることもせず、このまま胸の奥に閉じ込めておくはずだった。
「クリスティアは…」
「あぁ。元々彼女は私の弟と恋仲なんだ。それに、私は出会った時からずっと君のことが好きだった」
その言葉に、どれだけ安堵したかわからない。
あの頃と、同じだ。
貴方はずっと、私のことを想っていてくれていた。
ずっと、会いたかった。過去の出来事を思い出してから、今日までずっと。
「はいっ…!」
感情が、過去のあの頃とリンクする。
ずっと側にいて、ずっと抑えていたあの時の切ない感情。今は姿形も違うのに、まるで魂が叫んでいるようだった。
ルカはマルスティアの腕を引き、ぎゅぅっと抱きしめた。
「…思い出してから、今日までずっと君に逢いたかった」
「わたし、もっ」
自然と涙が溢れてくる。
記憶のパズルが少しずつはまっていく。
年月を重ね、もう体が動かなくなってしまったあの日、私の手をしっかり握り、ルカ様が泣きながら言ってくれた言葉を思い出していた。
『生まれ変わっても、私は必ず君を見つけ出す。だから、どうか来世でも私と一緒になってくれ』
***
「わぁ、すごいっ」
部屋に入った途端、あまりの美しい景色に思わず叫ぶように声を上げた。大きな窓からは遠くの山々までもが綺麗に見える。
夕暮れのオレンジ色に染まった空がビルや山々の間に広がり、太陽が沈んでいく様子もよく見える。
「ここは夜景も綺麗なんだ」
はしゃぐ私を見て、ルカ様は優しく微笑みながら窓の外を眺める私の肩に手を回して引き寄せた。
ゆっくりと沈む夕焼けを眺めながら、二人で寄り添う。こんな時間をルカ様と過ごせる日が来るなんて、思ってもみなかった。
今世で会えるだけでも嬉しかったのに、こんな風にまた一緒になれるなんて。
「さっきは、すまない。あの場所でする行為ではなかった…」
恥ずかしそうに、ルカ様は私の肩に顔を埋めるように抱きしめてくる。
あの場所というのは、さっきまでいたカフェのことだ。人目があることをすっかり忘れ、二人の世界に浸ってしまっていた。
「きゃーっ!!おめでとうございます!!」
「ドラマみたいだわ!!」
従業員からの祝福の声で二人して現実に戻り、真っ赤にしながら俯くしかなかった。
生暖かい目で見送られ、私たちはそそくさとその場を離れ、今に至る。
ルカ様がとっておきの部屋があると良い、この部屋に連れてきてくれたのだ。
「本当は、クリスティアが泊まる部屋の方がよかったんだが…先に取られてしまったからな」
悔しそうに話すルカ様の表情が可愛くて、思わず口付けをしてしまった。
唇を離してからハッとする。
過去との記憶がごっちゃになってしまっていた。これは、過去の私がルカ様を可愛く思った時にいつもしていた行為だ。
今世では…ルカ様と初めての…
「もっ、申し訳ありませ…」
次の瞬間、グッと頭を引き寄せられたかと思うと、そのまま深く口付けされた。
諦めるつもりだった。叶うはずもない気持ちだと思っていたから。伝えることもせず、このまま胸の奥に閉じ込めておくはずだった。
「クリスティアは…」
「あぁ。元々彼女は私の弟と恋仲なんだ。それに、私は出会った時からずっと君のことが好きだった」
その言葉に、どれだけ安堵したかわからない。
あの頃と、同じだ。
貴方はずっと、私のことを想っていてくれていた。
ずっと、会いたかった。過去の出来事を思い出してから、今日までずっと。
「はいっ…!」
感情が、過去のあの頃とリンクする。
ずっと側にいて、ずっと抑えていたあの時の切ない感情。今は姿形も違うのに、まるで魂が叫んでいるようだった。
ルカはマルスティアの腕を引き、ぎゅぅっと抱きしめた。
「…思い出してから、今日までずっと君に逢いたかった」
「わたし、もっ」
自然と涙が溢れてくる。
記憶のパズルが少しずつはまっていく。
年月を重ね、もう体が動かなくなってしまったあの日、私の手をしっかり握り、ルカ様が泣きながら言ってくれた言葉を思い出していた。
『生まれ変わっても、私は必ず君を見つけ出す。だから、どうか来世でも私と一緒になってくれ』
***
「わぁ、すごいっ」
部屋に入った途端、あまりの美しい景色に思わず叫ぶように声を上げた。大きな窓からは遠くの山々までもが綺麗に見える。
夕暮れのオレンジ色に染まった空がビルや山々の間に広がり、太陽が沈んでいく様子もよく見える。
「ここは夜景も綺麗なんだ」
はしゃぐ私を見て、ルカ様は優しく微笑みながら窓の外を眺める私の肩に手を回して引き寄せた。
ゆっくりと沈む夕焼けを眺めながら、二人で寄り添う。こんな時間をルカ様と過ごせる日が来るなんて、思ってもみなかった。
今世で会えるだけでも嬉しかったのに、こんな風にまた一緒になれるなんて。
「さっきは、すまない。あの場所でする行為ではなかった…」
恥ずかしそうに、ルカ様は私の肩に顔を埋めるように抱きしめてくる。
あの場所というのは、さっきまでいたカフェのことだ。人目があることをすっかり忘れ、二人の世界に浸ってしまっていた。
「きゃーっ!!おめでとうございます!!」
「ドラマみたいだわ!!」
従業員からの祝福の声で二人して現実に戻り、真っ赤にしながら俯くしかなかった。
生暖かい目で見送られ、私たちはそそくさとその場を離れ、今に至る。
ルカ様がとっておきの部屋があると良い、この部屋に連れてきてくれたのだ。
「本当は、クリスティアが泊まる部屋の方がよかったんだが…先に取られてしまったからな」
悔しそうに話すルカ様の表情が可愛くて、思わず口付けをしてしまった。
唇を離してからハッとする。
過去との記憶がごっちゃになってしまっていた。これは、過去の私がルカ様を可愛く思った時にいつもしていた行為だ。
今世では…ルカ様と初めての…
「もっ、申し訳ありませ…」
次の瞬間、グッと頭を引き寄せられたかと思うと、そのまま深く口付けされた。
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