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幼馴染からの手紙
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「マルクスは元気にしている。あいつは真面目で仕事熱心な奴だ」
「本当ですか!そうなんです、マルクスは昔から騎士になるのが夢でずっと頑張っていましたから」
良かった。騎士として認められているのね。嬉しくて顔が綻ぶのを感じました。
マルクス、頑張っているのね。良かった。
その様子をマリウス公爵様は面白くなさそうに見つめてきます。
「あの...何かついてますか?」
あまりにも見つめてくるので、私は不安になって顔を触りますが、特に何か付いているようでもありません。
...どうして急に不機嫌になったのかしら?
「これを」
「え?」
「手紙だ。これを読み上げろ」
「読み...?」
手紙を読み上げる?どうして急にそんな...
個人的にマリウスが私に書いてくれた手紙を読み上げるなんて、出来ないわ。
「あの...手紙を預かっていただいたのは感謝しております。マルクスとはすれ違いでずっと会えずじまいでしたから」
「そのようだな」
「ええ。ですが、これはマリウスが私宛に書いてくれた手紙です。申し訳ありませんが読み上げるというのは...」
「.....では、これは俺が預かっておく」
「えっ?」
そう言うと、マリウス公爵様は手紙を再びポケットにグッと押し込みました。
「ちょっ...やめてください!これはマルクスが書いてくれた大事な手紙です」
「大事な...?」
ピクッと公爵様の眉が不満げに動きました。公爵様は口をぎゅっと何かを我慢するかのように噛み締め、はぁっと息を吐きました。
「....そんなにあいつが大事か」
ポツリと、掠れるような声でした。こんなに弱々しい公爵様の声を聞くのは初めてで、戸惑ってしまいます。
本当に、一体今日はどうしてしまったのでしょうか。明らかにいつもの公爵様ではありません。
「あの...」
「わかった。.....一人でゆっくり読むといい」
マリウス公爵様は手紙を私に押し付けるようにして渡してきたかと思うと、冷たい視線を私に向けて部屋から出ていかれました。
「なんだったの...?」
公爵様の謎の行動にポカンとしながらも、私は手に残ったマルクスからの手紙を開きました。
『ナリアへ
元気にしているかい?
君の父親の事件を聞いてからすぐに駆けつけることができなくて申し訳なく思ってる。君がアクリウス団長のメイドとして働いていると聞いてとても驚いたよ。
団長は僕が一番尊敬する騎士だ。君のご両親からも話は聞いているよ。恵まれた環境で、君が楽しく過ごせていて安心した。
僕は皇帝専属騎士になったけれど、君が知っている僕から何も変わってはいない。何かあったらいつでも頼ってくれ。
後一つ、お願いがあるんだ。あの木陰の森に、来てくれるだろうか?直接会って話したい事があるんだ。もし、可能であれば会う日程を決めたい。休みがもらえる日がわかったら、下の住所に手紙で送ってくれないか?待っているよ。 マルクス』
...マルクス。
私は何度も手紙を読み返しました。
彼の、丸く可愛らしい字。あの頃から変わらないわ。
「....木陰の森とは何だ」
「ひぇっ....!?」
突然背後から声が聞こえてきたかと思うと、すぐ後ろからマリウス公爵様が手紙を覗き込んでいました。
「本当ですか!そうなんです、マルクスは昔から騎士になるのが夢でずっと頑張っていましたから」
良かった。騎士として認められているのね。嬉しくて顔が綻ぶのを感じました。
マルクス、頑張っているのね。良かった。
その様子をマリウス公爵様は面白くなさそうに見つめてきます。
「あの...何かついてますか?」
あまりにも見つめてくるので、私は不安になって顔を触りますが、特に何か付いているようでもありません。
...どうして急に不機嫌になったのかしら?
「これを」
「え?」
「手紙だ。これを読み上げろ」
「読み...?」
手紙を読み上げる?どうして急にそんな...
個人的にマリウスが私に書いてくれた手紙を読み上げるなんて、出来ないわ。
「あの...手紙を預かっていただいたのは感謝しております。マルクスとはすれ違いでずっと会えずじまいでしたから」
「そのようだな」
「ええ。ですが、これはマリウスが私宛に書いてくれた手紙です。申し訳ありませんが読み上げるというのは...」
「.....では、これは俺が預かっておく」
「えっ?」
そう言うと、マリウス公爵様は手紙を再びポケットにグッと押し込みました。
「ちょっ...やめてください!これはマルクスが書いてくれた大事な手紙です」
「大事な...?」
ピクッと公爵様の眉が不満げに動きました。公爵様は口をぎゅっと何かを我慢するかのように噛み締め、はぁっと息を吐きました。
「....そんなにあいつが大事か」
ポツリと、掠れるような声でした。こんなに弱々しい公爵様の声を聞くのは初めてで、戸惑ってしまいます。
本当に、一体今日はどうしてしまったのでしょうか。明らかにいつもの公爵様ではありません。
「あの...」
「わかった。.....一人でゆっくり読むといい」
マリウス公爵様は手紙を私に押し付けるようにして渡してきたかと思うと、冷たい視線を私に向けて部屋から出ていかれました。
「なんだったの...?」
公爵様の謎の行動にポカンとしながらも、私は手に残ったマルクスからの手紙を開きました。
『ナリアへ
元気にしているかい?
君の父親の事件を聞いてからすぐに駆けつけることができなくて申し訳なく思ってる。君がアクリウス団長のメイドとして働いていると聞いてとても驚いたよ。
団長は僕が一番尊敬する騎士だ。君のご両親からも話は聞いているよ。恵まれた環境で、君が楽しく過ごせていて安心した。
僕は皇帝専属騎士になったけれど、君が知っている僕から何も変わってはいない。何かあったらいつでも頼ってくれ。
後一つ、お願いがあるんだ。あの木陰の森に、来てくれるだろうか?直接会って話したい事があるんだ。もし、可能であれば会う日程を決めたい。休みがもらえる日がわかったら、下の住所に手紙で送ってくれないか?待っているよ。 マルクス』
...マルクス。
私は何度も手紙を読み返しました。
彼の、丸く可愛らしい字。あの頃から変わらないわ。
「....木陰の森とは何だ」
「ひぇっ....!?」
突然背後から声が聞こえてきたかと思うと、すぐ後ろからマリウス公爵様が手紙を覗き込んでいました。
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