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5.『淫魔』
しおりを挟むすごいわ、私のスキル!
あんなに私に興味無かったカイルが、ちゃんと女の子としてみてくれたのよ!
思いがけず早い段階で舞い込んだチャンスだけれど、これを逃すわけにはいかないわ。
だって、私には今夜しかないのだから・・・
私は、自分が持っている最後のひとつ、1番使い道に困るけれどここから先絶対に必要なスキルを発動させた。
*☼*――――――――
特殊スキル『淫魔』
――――――――*☼*
はぁ・・・なんだか身体が熱いわ。
「カイル」
抱きしめ合ったまま、カイルの腕の中で名前を呼んだ。
私の白い胸はお互いの体につぶされ、今にもドレスからこぼれそう。
スキルを発動したら、もうさっきみたいな照れや恥ずかしさは消えてしまった。
今はただ、目の前のこのイケメンから精気をいただくことだけか私の目的だと素直に受け入れられるのよ、不思議ね・・・
両手をカイルの首に伸ばす。
背伸びをして彼の後頭部を引き寄せると、私は自分からカイルに口づけた。
カイルは戸惑い、困惑しきった表情だけれど、あそこが硬いままなのは抱き合ってるから知ってるわ。
最初はまず軽くペロンと唇を舐めた。それから、軽く、ちゅっと音を出して唇を離した。
「なんなんだよっっ」
カイルは熱に浮かされたような潤んだ瞳で、私をにらみつけている。
「お前、こんなんじゃなかったよな? こんなっ」
カイルがいきなり私のドレスの胸元を引き下げた。
「あん」
ぷるんっと言わんばかりに、ふたつのふくらみがこぼれ出て、カイルの前でふるふる揺れている。
青紫の瞳はただ迷うように揺らめいている。
「・・・ずっと、好きだったのよ」
これは私の本心よ。言いながら涙が一粒ぽろっと落ちた。
カイルが息を飲むのか分かった。青紫の瞳は驚いて見開かれてる。
カイルに触ってほしいの。
カイルに抱いてほしいのよ。
今日はなんとしても目的を果たしたい。
だって、第7に入って諜報活動をすれば、いつかこのスキル『淫魔』を使う日も来るでしょう?
知らない男に、好きでもない男に身体を許す。それはあまりにも・・・
だから、私の初めてはカイルに押し付けるの。
「くそっ、もう知らねーからな」
そう吐き捨てると、カイルは私のドレスを脱がし始めた。
言葉遣いとは裏腹に、カイルは優しい手つきでドレスのボタンを外していく。
そして下着だけになった私を見て、またゴクリと喉を鳴らした。
それからゆっくり私を横抱きにすると、まるで壊れ物を扱うようにそっとベッドへ下ろしてくれた。
目線はずっと私を捉えたまま。
見たこともない焦れた表情を浮かべて、してもらったことのない丁寧な扱いをしてくれる。
「ふふ・・・嬉しい。初めて女の子扱いしてもらえたわ」
思わず本音が漏れてしまった。嬉しくて、でも切なくて。
これから始まる甘やかなひと時が、きっと私の中で一生の宝物になるんだわ。
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