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9.本懐 *

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青紫の瞳が私を見下ろしている。

今しがたベッドに押し倒されて・・・
すごく恥ずかしいのに、それでも目を逸らせなかった。


「なんかゴメンな・・・」


そう言って、カイルは私の髪を優しく撫でる。
そのままひと房すくい取ると、自分の口元まで持っていって見せつけるように口付けた。

目の前のカイルがみせる仕草が美しすぎて、神がかりすぎて、どうしようもない・・・

為す術もなくて、私はされるがまま。


「俺はバカだな。お前が可愛いのはわかってた。人一倍頑張ってたのもみんな知ってる。・・・だから、騎士科の連中は相当数お前に惹かれてる」

私を見下ろしながらそんなことを言うので、

「いや、そんなことは」
「あるんだよ」

否定しようとしたら、思いっきり肯定された。


「最初は頑張ってるお前が望むようにしてやりたいって思ったんだ。実際、俺が男扱いすれば、みんなお前に対して気を遣わなくなったろ?」


確かに、カイルの影響力は大きかった。


 「でも、結局私いつも皆に守られてた・・・」
「あー、まぁな」


マークにクリストファーにトビアス、そしてなんだかんだでいつもカイルが傍に居たから騎士科での3年間が割と平穏に過ごせたのよね。


髪を撫でていたカイルの手が私の頬を滑り、今は親指で唇をなぞられている。


「お前はよく頑張ってた。女だってことに甘えず、男の俺たちと同じ場所で戦ってた」

「うん」


認めてもらえたのが嬉しくて、また鼻の奥がツンとした。
零れる涙をカイルが指先ですくって、それでも流れたぶんを今度は舌で舐めとった。


「ふぁっ」


驚いて変な声が出たけど、カイルは気にした様子もなく私の瞼に、鼻先に、額にと口付けていく。

そして唇に・・・



「んん・・・あっ・・・ぁむ」


すべりこんでくる舌に、スキル無しの無防備な状態では戸惑うばかりで・・・


「・・・かわいいな」


そんなことを言われて、私はもう呼吸すらままならなくて、組み敷かれたカイルの下で身体を捩るしかなかった。


「俺、全然わかってなかった。お前が今日、こんな特攻しかけてくるまではこれから先も・・・変わらずお前と居られる気でいた。お前が・・・お前が居ない生活なんて全く想像出来てなかった」


突然、カイルが表情を歪めて言った。


「・・・お前さ、卒業したらどこ行くの?」


私が第7に入ることをどう告げようかと迷っていると、カイルはますます焦った表情を見せる。
それからひどく緊張した面持ちで、


「なぁ、もしかして誰かに嫁ぐとか?」


って聞くから、


「それはないわ」

「婚約は?」

「それもないわよ」


首を横に振りながら答えると、カイルはあからさまに安心した様子で、はぁ・・・とひとつため息を零した。


「なら良かった。話が簡単で助かる」

「なんのこと?」


よく分からなくて首を傾げると、


「いや、こっちの話。悪ぃな、もう無理、ガマンできねー」


って、言われたかと思ったら透け透けの夜着はあっという間に剥ぎ取られてしまった。


  
カイルは私の身体を見てまたゴクリと喉を鳴らす。
見下ろされ、恥ずかしいけれど私もカイルの瞳からやっぱり目を離せないでいた。


「俺はお前が好きだ。きっと、ずっと前から。他のやつに奪われない様に、無意識にガードしまくってたみたいだわ」


れるん、とカイルの舌が私の鎖骨を舐める。
その刺激にビクッと身体が跳ねた。


「リナ、好きだよ。だからどうか、俺のものになって・・・」


切なげな表情で見つめられて、言葉が何も出てこなかった。


私はただコクンと頷いて、カイルに身を任せた。








どれくらい時間が経ったのかしら・・・

カイルは私の身体を指先でなぞり、キスを落とし、時々肌をキツく吸い上げては舐めていく。

手や足の指1本1本までを口に入れ、舐め上げて、もう身体中でカイルに触れられて無い箇所はないってくらいに入念に触れられた。


中でも敏感な胸の頂や秘部には何度となく刺激を与えられ、私の身体はもう熱くって熱くっておかしくなりそう。


「っカイル・・あぁん・・」

「気持ちいい?」


もう十分すぎるほど愛液で溢れている私の中、今カイルは指を3本に増やしていた。

クチュクチュといやらしい水音が聞こえてくる。


「ただのリナリーは、全然のリナリーじゃないな」

カイルが指を出し入れしながら笑う。
そして時折わざとその中心にある花芽に触れる。

「はぁっああん」

痺れるような快感に、意図せず身体が跳ねてしまう。

「ほら、スキルなんか無くても可愛くてエロい」

「ッカイル・・もっ・・・もぅ大丈夫だからっ」

さっきからもうずっと、子宮の辺りがギュンギュン疼いてる。
寮の部屋で、カイルの上に跨ったときも確かにベチャベチャに濡れていたけれど、今とは全然違う。

もう、身体が芯から熱くて、とろけそうなのに・・・

ねぇ、カイルっ、もう変になるから・・・


「・・・おねがぃ・・」


その言葉に、カイルはがっつくようにして私に覆いかぶさってきた。

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