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第22話 許可取り ※天川有加里視点
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私の動画について話しているうちに、かなり時間が経過していた。そろそろお話も終わりにして、外が暗くなる前に彼らを帰らせないといけないだろう。いつまでも、付き合わせるわけにはいかない。彼らは学生なんだから。
とても有意義な時間だった。偶然出会った直人くんのおかげで悩みも解消された。これから配信をやっていく自信が持てた。嫌な顔もせずに私の話に付き合ってくれた彼には本当に感謝しているし、今日という日を忘れないようにしたい。
このまま、別れるのが惜しい。どうにかして、これからも彼との関係を続けていくことは出来ないだろうか。いや、これは偶然出会っただけの関係なんだから。悩みを解消してくれたというのに、付きまとうのは迷惑だと思われるだろう。
うぅ、でも……。私が新たな悩みに苦しんでいたとき、直人くんは言った。
「天川さん、出会った頃に比べて表情が明るくなりましたね」
「そ、そうかな?」
「でも、また少し表情が暗くなってる。まだ、悩み事がありますね」
「え、まぁ。うん、そうかな」
そんなに分かりやすいだろうか。表情を見た直人くんが、私の心情をピッタリ当ててくる。そして。
「連絡先を教えるんで、また悩みがあったら気軽に相談してください」
「え? 連絡先の交換、していいの?」
スマホを取り出して、連絡先を交換しようと彼の方から提案してくれた。そのことに驚いた私は、聞き返してしまう。
「連絡先の交換ぐらいなら、別に大丈夫ですよ。ほら、交換しましょう」
「あ、うん!」
私は慌てながら、テーブルの上に置いておいたスマホを操作して連絡先を交換する画面に移る。そして、彼の連絡先が自分のスマホの画面に表示された。
つまり、これからも関係が続いていく可能性がある、ということなのかな。その場限りでお別れ、ということにはならなかった。
「ちゃんと登録されました?」
「う、うん! 多分、オッケー」
「じゃあ、これで連絡できますね」
じわじわと、喜びが溢れてくる。生まれて初めて、男性の連絡先をゲットしたよ。しかも、こんなにあっさりと。本当に、これで良いのだろうか。こんなに簡単で。
連絡先の交換に成功した高揚感が体中を巡っている最中に、私は思わず言ってしまった。
「今日の話、配信で話してもいいかな?」
言ってしまった後に、後悔した。直人くんは普通の学生だ。配信者ではない人が、勝手に話されるのは嫌かもしれない。しかも彼は男性だ。女性とは大きく違う。私の都合で、踏み込みすぎたかもしれない。そう思ったけれど、彼は心が広かった。
「いいですよ。あ、でも。個人情報とか漏らさないようにしてくれると助かります」
「もちろん! それは、絶対に漏らさないように注意する。約束するよ」
「それなら、問題ないです。どんな反応があったのか、後で教えてください」
「うん。視聴者の反応は、ちゃんと直人くんに伝えるね」
ということで、配信内で話していいという許可も出た。これは、かなり注目を集めそうな予感がする。だって、リアルな男性の話なんて誰もが知りたい情報だから。
悩みが解決して、配信で話せるネタも増えて、今後も直人くんと関わっていける。今日は、本当に良い一日になったなぁ。
ファミレスの会計を済ませる。そこそこの値段を支払うことになったが、得たものに比べたら全然。大満足なので、何も気にならなかった。
「では、僕たちはこの辺で失礼します」
「……」
「直人くん、麻利恵ちゃんも気をつけて帰ってね」
ファミレスの外で、2人と別れる。家まで送っていこうかと考えたが、まだそれは止めておいた。距離感が難しい。麻利恵ちゃんが一緒に居るので大丈夫だろう。帰り道にトラブルがあれば、彼女が守るはず。
彼らの背中が見えなくなってから、私も一人で家に帰る。
自宅に到着した瞬間に、パソコンを立ち上げた。配信の準備を始める。SNSに配信予定の告知を書き込み、サムネイル画像を作った。その後に、雑談で話す内容を軽く整理してから、配信準備を進めていく。
配信ソフトを起動して、配信予約を設定する。ボタンを押したら、いつでも配信を開始できる状態に。
【雑談】とんでもない出来事があったので、みんなに話す【ミルキーウェイ】
今回の配信のタイトルは、こんな感じかな。
これで、視聴者がアクセス出来る状態になった。改めて、SNSに配信ページを書き込んだ。数秒後には、何人か待機している。徐々に視聴者の数が増えていく。
久しぶりの配信だけど、緊張はない。とにかく、みんなに話したい。今日あった、奇跡的な体験について。
予定時刻になったので、私は逸る気持ちを落ち着かせて配信のボタンをクリック。そして、配信が開始された。
とても有意義な時間だった。偶然出会った直人くんのおかげで悩みも解消された。これから配信をやっていく自信が持てた。嫌な顔もせずに私の話に付き合ってくれた彼には本当に感謝しているし、今日という日を忘れないようにしたい。
このまま、別れるのが惜しい。どうにかして、これからも彼との関係を続けていくことは出来ないだろうか。いや、これは偶然出会っただけの関係なんだから。悩みを解消してくれたというのに、付きまとうのは迷惑だと思われるだろう。
うぅ、でも……。私が新たな悩みに苦しんでいたとき、直人くんは言った。
「天川さん、出会った頃に比べて表情が明るくなりましたね」
「そ、そうかな?」
「でも、また少し表情が暗くなってる。まだ、悩み事がありますね」
「え、まぁ。うん、そうかな」
そんなに分かりやすいだろうか。表情を見た直人くんが、私の心情をピッタリ当ててくる。そして。
「連絡先を教えるんで、また悩みがあったら気軽に相談してください」
「え? 連絡先の交換、していいの?」
スマホを取り出して、連絡先を交換しようと彼の方から提案してくれた。そのことに驚いた私は、聞き返してしまう。
「連絡先の交換ぐらいなら、別に大丈夫ですよ。ほら、交換しましょう」
「あ、うん!」
私は慌てながら、テーブルの上に置いておいたスマホを操作して連絡先を交換する画面に移る。そして、彼の連絡先が自分のスマホの画面に表示された。
つまり、これからも関係が続いていく可能性がある、ということなのかな。その場限りでお別れ、ということにはならなかった。
「ちゃんと登録されました?」
「う、うん! 多分、オッケー」
「じゃあ、これで連絡できますね」
じわじわと、喜びが溢れてくる。生まれて初めて、男性の連絡先をゲットしたよ。しかも、こんなにあっさりと。本当に、これで良いのだろうか。こんなに簡単で。
連絡先の交換に成功した高揚感が体中を巡っている最中に、私は思わず言ってしまった。
「今日の話、配信で話してもいいかな?」
言ってしまった後に、後悔した。直人くんは普通の学生だ。配信者ではない人が、勝手に話されるのは嫌かもしれない。しかも彼は男性だ。女性とは大きく違う。私の都合で、踏み込みすぎたかもしれない。そう思ったけれど、彼は心が広かった。
「いいですよ。あ、でも。個人情報とか漏らさないようにしてくれると助かります」
「もちろん! それは、絶対に漏らさないように注意する。約束するよ」
「それなら、問題ないです。どんな反応があったのか、後で教えてください」
「うん。視聴者の反応は、ちゃんと直人くんに伝えるね」
ということで、配信内で話していいという許可も出た。これは、かなり注目を集めそうな予感がする。だって、リアルな男性の話なんて誰もが知りたい情報だから。
悩みが解決して、配信で話せるネタも増えて、今後も直人くんと関わっていける。今日は、本当に良い一日になったなぁ。
ファミレスの会計を済ませる。そこそこの値段を支払うことになったが、得たものに比べたら全然。大満足なので、何も気にならなかった。
「では、僕たちはこの辺で失礼します」
「……」
「直人くん、麻利恵ちゃんも気をつけて帰ってね」
ファミレスの外で、2人と別れる。家まで送っていこうかと考えたが、まだそれは止めておいた。距離感が難しい。麻利恵ちゃんが一緒に居るので大丈夫だろう。帰り道にトラブルがあれば、彼女が守るはず。
彼らの背中が見えなくなってから、私も一人で家に帰る。
自宅に到着した瞬間に、パソコンを立ち上げた。配信の準備を始める。SNSに配信予定の告知を書き込み、サムネイル画像を作った。その後に、雑談で話す内容を軽く整理してから、配信準備を進めていく。
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今回の配信のタイトルは、こんな感じかな。
これで、視聴者がアクセス出来る状態になった。改めて、SNSに配信ページを書き込んだ。数秒後には、何人か待機している。徐々に視聴者の数が増えていく。
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予定時刻になったので、私は逸る気持ちを落ち着かせて配信のボタンをクリック。そして、配信が開始された。
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