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第1話 聖女にふさわしいのは
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聖女は次期国王と結婚する。それが、この国の揺るぎない掟である。
聖女の力は特殊な血筋によるもので、王家の血と融合することで次世代の王の神聖さを保証する。聖女の祝福と王の威光が合わさることで王国の繁栄と安定が約束されるという、数百年続いてきた古い信仰がこの国の礎となっているのだ。
今代の聖女に選ばれた私は、第一王子のエリック・ヴァイスクローネ様と婚約することになった。
王国の掟と、神殿の老賢者たちが決めたこと。私たちは、ただ言われた通りに従うだけの存在に過ぎない。エリック様と私の相性はあまり良くはないようだけれど、嫌だとは口が裂けても言えなかった。
「聖女の務めは国の平和のために尽くすこと。個人の感情など、それに比べればなんと取るに足らないことか」
老賢者の言葉が耳に残る。残念ながら、好き嫌いで一緒になる相手を選ぶ自由など、聖女には与えられていない。そう教えられてきた私は、ただその運命を受け入れるしかなかった。
たとえ私が、本当に好きな人が他にいたとしても――神殿の若き賢者であるアレクシス様への密かな想いは、月明かりに照らされた湖の底に沈めたまま。その思いが実ることは絶対にない。だからこそ私は、この胸の奥の痛みを隠し続けてきた。誰にも、そう、アレクシス様本人には絶対バレないように。共にする相手は、エリック様でしかありえない。それが聖女としての宿命。
王国と神殿の未来と繁栄のため、与えられた運命と付き合っていくしかない。そう覚悟を決めたけれど、彼はそうではなかったようだ。
「俺は、聖女ノエラとの婚約を破棄する!」
ある日突然、急に呼び出された私。なんの詳しい説明もなく、「来い」とだけ言われていた。こちらの予定もお構いなしに。私、聖女の務めで結構忙しいんだけれど。
とりあえず予定の仕事を早く終わらせて来てみると、そこでも説明されないまま強引に会場まで連れ出された。それで、いきなりこれである。
水晶のシャンデリアが輝く大広間。パーティー会場の真ん中で、私に向けて高らかに婚約破棄を宣言するエリック様。豪奢な正装に身を包んだ彼の瞳には、あからさまな軽蔑の色が浮かんでいた。
集まった参加者の貴族たちの間から驚きのささやきが漏れ、やがて静寂が広がる。皆、エリック様の話を真剣な表情で聞いていた。もう、取り返しのつかない状況だ。私の白い聖女の仕事着が、この場では浮いていた。着替えさせてほしかった。
「俺は、その女が聖女にふさわしくないと確信している!」
エリック様の声が会場に響き渡る。
「この姿を見てみろッ! こんなにみすぼらしい聖女が居るものか!」
みすぼらしい? これは聖女の日常の仕事着だから……。祝福の儀式を終えた後、急いでやってきたのだ。豪華なドレスと比べたら、それは確かに見劣りするかもしれないけれど。そもそも、いきなり連れてこられて着替える時間も与えてもらえずに、この場に引きずり出された。
それなのに、そんな言い方で指摘されるなんて。エリック様は初めから私を貶めるつもりだったのね。この場に不釣り合いな格好で連れ出したのも、全て計算済み。ひどく心が痛んだ。
それに――「聖女にふさわしくない」だなんて。その言葉にも疑問だった。
そもそも、聖女の格好がどうこう言われても本質的には関係ないはず。聖女にふさわしいかどうかを決めるのは、見た目ではない。能力が大事なのに。神聖な魔力の量とか、それをコントロールする技術とか、祝福の潜在力とか。そういうのが何より重要なはず。
それは神官でなくても、いや、この国に生まれた人間なら誰でも知っている当然の話。なぜエリック様はそんな基本的なことを無視するのかしら。聖女にふさわしくないと指摘するのなら、私の魔力が足りないとか、祝福の効果が薄いとか、そういう根拠を示すべきじゃないの?
そう思ったけれど、私は何も言わずに黙って状況を見守っていた。
「俺が聖女にふさわしいと思う女性は、彼女だ」
「エリック様……!」
エリック様は会場中央に立ち、右手を高々と掲げた。その先に立っていた少女が歩み寄ってくる。そして、エリック様は近くに立つ少女の細い肩を優しく抱いた。その仕草には愛しさが溢れていた。
美しい純白のドレスを着た、とても可愛らしい少女。彼女は頬を赤く染めながら、うっとりとした表情でエリック様を見上げていた。この状況が当然だというように、受け入れていた。
エリック様とは、ただの友人のような関係じゃない。男女の仲なのでしょうね。その親密な距離感が、それを物語っていた。
私は、彼女を少しだけ知っている。神殿でも何度か見かけたことがあった。覚えている。儀式の準備の時、廊下ですれ違ったことがある。名前は、なんだったかしら。名前までは、覚えていない。それぐらいの関係。
「この子の名はエリーゼ! 神殿内でも非常に評価が高く、素晴らしい才能を持っている女神官の1人だ」
エリーゼ? うーん。そうだったかしら。申し訳ないけれど、私が名前を憶えていない程度。付き合いもない、ということは一緒に聖女の仕事をしてきた仲間じゃないのよね。もしかして、私が見落としていた実力者なのかしら。どれどれ。ちょっと集中して確認してみましょう。
神聖なる魔力の流れを察知する。彼女が内包する魔力はどうか。ちゃんとコントロール出来ているのか。光の糸のように繊細な魔力の流れが見える。
「うーん」
神官としての実力は、そんなに高いようには見えない。神殿内でも評価が高いって本当に?
私が日々指導している神官たちよりも、格段に下だと感じる。魔力の量も少なく、コントロールも未熟。祝福の力も、微弱で不安定だった。そんな人物を、エリック様は聖女に据えようとするなんて。
これは、彼の独断?
神官でもなんでもないエリック様が選んだようだから、実力があるかどうかなんて見極められなかったんだろうけど。それにしても、これは……。
神殿には彼女以外に、もっと力があってふさわしい人物が居るはず。それなのに、なんで彼女なのか。きっとエリック様は、エリーゼという少女を愛しているのでしょうね。二人の間に流れる空気、互いを見つめる視線、すべてがそれを物語っていた。
でも、それだけの理由で、私との婚約を破棄するつもり? 掟も無視して。
そのために、彼女を聖女に据えようと計画を立てた。だとしたら、愚かとしか言いようがない。この先、王国が大変なことになるかもしれないのに。
国の繁栄を保証するための掟なのに、次期国王がそれを破ってまで愛を選ぶのか。私はそのことに恨みはない。むしろ、少し羨ましいとさえ感じる。聖女である私には許されなかった選択なのだから。
私との婚約を破棄するのは決定事項みたい。それと、女神官エリーゼを聖女にすると言っている。撤回することは出来ないでしょう。こうやって、王族である彼が貴族たちの目の前で宣言してしまったのだから。
ならば、エリック様が望む通りにしましょう。もう、私にはどうしようもないことだから。そこまで、私と結婚するのが嫌だったみたいだから。
最後に一度だけ確認してみる。答えを聞いて、私はどう思うのか。静かに問いかけた。
「エリック様、本気でその子を愛しているのですか?」
「あぁ。もちろん、本気だ」
エリック様は胸を張り、誇らしげに答えた。
「お前なんか、これまで一度も愛したことはない。俺にはエリーゼが居たからな」
即答された。何の迷いのない瞳で。本気で言ってるんだなってわかるわ。やっぱりエリック様は、その少女がいいみたい。数百年も続いてきた掟を破ってまで、そんな気持ちを貫きたいらしい。その覚悟があるのね。
でも、それで王国はどうなるのだろう。もしかしたら、エリック様が彼女と一緒になることで王国の将来は新たな道を歩むことになるかもしれない。聖女である私でも、未来を予知する能力は持っていない。この先、どうなるのかなんて実際はわからない。
それなら、愛する人と一緒になることで明るい未来がやってくることを願うという気持ちもある。アレクシス様の顔が、一瞬、脳裏をよぎった。
「わかりました。では、どうぞご自由になさってください」
私も、覚悟を決めることにする。今までに別れを告げる覚悟を。そして、これから新しい未来を生きる覚悟を。
聖女の務めは国の平和のために尽くすこと。その役目を果たすことが無理なんだと悟った私。聖女としての私は、もう必要とされていないみたい。だから。
「君に言われなくても、好きにさせてもらうさ」
エリック様は高慢な笑みを浮かべ、エリーゼの肩をさらに強く抱き寄せた。彼の言葉には棘があった。けれど、それでもいい。もう、何も感じない。
「そうですか。それではエリック様。それから皆様も、さようなら」
私は片膝をついて、静かに祈りの姿勢を取った。右手を胸に当て、左手を前に伸ばす。
「ん? なにを――」
私の指先から、柔らかな光が生まれた。
これまで鍛えてきた能力を全力で駆使して、特別な魔法を発動させた。白く淡い光が私たちを包み込み、会場全体まで広がっていく。
まだまだ留まることなく広がり続けて、街から国中まで届いていく。どこまでも、遠くへ余すところなく届くように。
光が通り過ぎたところでは、何かが変わっていく。何かが、消えていく。人々の表情が一瞬混乱し、そして穏やかになっていった。
聖女の力は特殊な血筋によるもので、王家の血と融合することで次世代の王の神聖さを保証する。聖女の祝福と王の威光が合わさることで王国の繁栄と安定が約束されるという、数百年続いてきた古い信仰がこの国の礎となっているのだ。
今代の聖女に選ばれた私は、第一王子のエリック・ヴァイスクローネ様と婚約することになった。
王国の掟と、神殿の老賢者たちが決めたこと。私たちは、ただ言われた通りに従うだけの存在に過ぎない。エリック様と私の相性はあまり良くはないようだけれど、嫌だとは口が裂けても言えなかった。
「聖女の務めは国の平和のために尽くすこと。個人の感情など、それに比べればなんと取るに足らないことか」
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たとえ私が、本当に好きな人が他にいたとしても――神殿の若き賢者であるアレクシス様への密かな想いは、月明かりに照らされた湖の底に沈めたまま。その思いが実ることは絶対にない。だからこそ私は、この胸の奥の痛みを隠し続けてきた。誰にも、そう、アレクシス様本人には絶対バレないように。共にする相手は、エリック様でしかありえない。それが聖女としての宿命。
王国と神殿の未来と繁栄のため、与えられた運命と付き合っていくしかない。そう覚悟を決めたけれど、彼はそうではなかったようだ。
「俺は、聖女ノエラとの婚約を破棄する!」
ある日突然、急に呼び出された私。なんの詳しい説明もなく、「来い」とだけ言われていた。こちらの予定もお構いなしに。私、聖女の務めで結構忙しいんだけれど。
とりあえず予定の仕事を早く終わらせて来てみると、そこでも説明されないまま強引に会場まで連れ出された。それで、いきなりこれである。
水晶のシャンデリアが輝く大広間。パーティー会場の真ん中で、私に向けて高らかに婚約破棄を宣言するエリック様。豪奢な正装に身を包んだ彼の瞳には、あからさまな軽蔑の色が浮かんでいた。
集まった参加者の貴族たちの間から驚きのささやきが漏れ、やがて静寂が広がる。皆、エリック様の話を真剣な表情で聞いていた。もう、取り返しのつかない状況だ。私の白い聖女の仕事着が、この場では浮いていた。着替えさせてほしかった。
「俺は、その女が聖女にふさわしくないと確信している!」
エリック様の声が会場に響き渡る。
「この姿を見てみろッ! こんなにみすぼらしい聖女が居るものか!」
みすぼらしい? これは聖女の日常の仕事着だから……。祝福の儀式を終えた後、急いでやってきたのだ。豪華なドレスと比べたら、それは確かに見劣りするかもしれないけれど。そもそも、いきなり連れてこられて着替える時間も与えてもらえずに、この場に引きずり出された。
それなのに、そんな言い方で指摘されるなんて。エリック様は初めから私を貶めるつもりだったのね。この場に不釣り合いな格好で連れ出したのも、全て計算済み。ひどく心が痛んだ。
それに――「聖女にふさわしくない」だなんて。その言葉にも疑問だった。
そもそも、聖女の格好がどうこう言われても本質的には関係ないはず。聖女にふさわしいかどうかを決めるのは、見た目ではない。能力が大事なのに。神聖な魔力の量とか、それをコントロールする技術とか、祝福の潜在力とか。そういうのが何より重要なはず。
それは神官でなくても、いや、この国に生まれた人間なら誰でも知っている当然の話。なぜエリック様はそんな基本的なことを無視するのかしら。聖女にふさわしくないと指摘するのなら、私の魔力が足りないとか、祝福の効果が薄いとか、そういう根拠を示すべきじゃないの?
そう思ったけれど、私は何も言わずに黙って状況を見守っていた。
「俺が聖女にふさわしいと思う女性は、彼女だ」
「エリック様……!」
エリック様は会場中央に立ち、右手を高々と掲げた。その先に立っていた少女が歩み寄ってくる。そして、エリック様は近くに立つ少女の細い肩を優しく抱いた。その仕草には愛しさが溢れていた。
美しい純白のドレスを着た、とても可愛らしい少女。彼女は頬を赤く染めながら、うっとりとした表情でエリック様を見上げていた。この状況が当然だというように、受け入れていた。
エリック様とは、ただの友人のような関係じゃない。男女の仲なのでしょうね。その親密な距離感が、それを物語っていた。
私は、彼女を少しだけ知っている。神殿でも何度か見かけたことがあった。覚えている。儀式の準備の時、廊下ですれ違ったことがある。名前は、なんだったかしら。名前までは、覚えていない。それぐらいの関係。
「この子の名はエリーゼ! 神殿内でも非常に評価が高く、素晴らしい才能を持っている女神官の1人だ」
エリーゼ? うーん。そうだったかしら。申し訳ないけれど、私が名前を憶えていない程度。付き合いもない、ということは一緒に聖女の仕事をしてきた仲間じゃないのよね。もしかして、私が見落としていた実力者なのかしら。どれどれ。ちょっと集中して確認してみましょう。
神聖なる魔力の流れを察知する。彼女が内包する魔力はどうか。ちゃんとコントロール出来ているのか。光の糸のように繊細な魔力の流れが見える。
「うーん」
神官としての実力は、そんなに高いようには見えない。神殿内でも評価が高いって本当に?
私が日々指導している神官たちよりも、格段に下だと感じる。魔力の量も少なく、コントロールも未熟。祝福の力も、微弱で不安定だった。そんな人物を、エリック様は聖女に据えようとするなんて。
これは、彼の独断?
神官でもなんでもないエリック様が選んだようだから、実力があるかどうかなんて見極められなかったんだろうけど。それにしても、これは……。
神殿には彼女以外に、もっと力があってふさわしい人物が居るはず。それなのに、なんで彼女なのか。きっとエリック様は、エリーゼという少女を愛しているのでしょうね。二人の間に流れる空気、互いを見つめる視線、すべてがそれを物語っていた。
でも、それだけの理由で、私との婚約を破棄するつもり? 掟も無視して。
そのために、彼女を聖女に据えようと計画を立てた。だとしたら、愚かとしか言いようがない。この先、王国が大変なことになるかもしれないのに。
国の繁栄を保証するための掟なのに、次期国王がそれを破ってまで愛を選ぶのか。私はそのことに恨みはない。むしろ、少し羨ましいとさえ感じる。聖女である私には許されなかった選択なのだから。
私との婚約を破棄するのは決定事項みたい。それと、女神官エリーゼを聖女にすると言っている。撤回することは出来ないでしょう。こうやって、王族である彼が貴族たちの目の前で宣言してしまったのだから。
ならば、エリック様が望む通りにしましょう。もう、私にはどうしようもないことだから。そこまで、私と結婚するのが嫌だったみたいだから。
最後に一度だけ確認してみる。答えを聞いて、私はどう思うのか。静かに問いかけた。
「エリック様、本気でその子を愛しているのですか?」
「あぁ。もちろん、本気だ」
エリック様は胸を張り、誇らしげに答えた。
「お前なんか、これまで一度も愛したことはない。俺にはエリーゼが居たからな」
即答された。何の迷いのない瞳で。本気で言ってるんだなってわかるわ。やっぱりエリック様は、その少女がいいみたい。数百年も続いてきた掟を破ってまで、そんな気持ちを貫きたいらしい。その覚悟があるのね。
でも、それで王国はどうなるのだろう。もしかしたら、エリック様が彼女と一緒になることで王国の将来は新たな道を歩むことになるかもしれない。聖女である私でも、未来を予知する能力は持っていない。この先、どうなるのかなんて実際はわからない。
それなら、愛する人と一緒になることで明るい未来がやってくることを願うという気持ちもある。アレクシス様の顔が、一瞬、脳裏をよぎった。
「わかりました。では、どうぞご自由になさってください」
私も、覚悟を決めることにする。今までに別れを告げる覚悟を。そして、これから新しい未来を生きる覚悟を。
聖女の務めは国の平和のために尽くすこと。その役目を果たすことが無理なんだと悟った私。聖女としての私は、もう必要とされていないみたい。だから。
「君に言われなくても、好きにさせてもらうさ」
エリック様は高慢な笑みを浮かべ、エリーゼの肩をさらに強く抱き寄せた。彼の言葉には棘があった。けれど、それでもいい。もう、何も感じない。
「そうですか。それではエリック様。それから皆様も、さようなら」
私は片膝をついて、静かに祈りの姿勢を取った。右手を胸に当て、左手を前に伸ばす。
「ん? なにを――」
私の指先から、柔らかな光が生まれた。
これまで鍛えてきた能力を全力で駆使して、特別な魔法を発動させた。白く淡い光が私たちを包み込み、会場全体まで広がっていく。
まだまだ留まることなく広がり続けて、街から国中まで届いていく。どこまでも、遠くへ余すところなく届くように。
光が通り過ぎたところでは、何かが変わっていく。何かが、消えていく。人々の表情が一瞬混乱し、そして穏やかになっていった。
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