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第2話 勝手についてきた幼馴染
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カナリニッジ侯爵家の次期当主である私と、ライトナム侯爵家の三男デーヴィスの婚約が決まったのが、一年ほど前のこと。
既に領主として仕事をこなしていた私は、仕事に集中するための屋敷を建て、そこで暮らしていた。家臣や使用人たちも、私の屋敷に住み込みで働かせている。
そこに、婚約相手であるデーヴィスがやってきた。まだ結婚の日程も決まっていないが、婚約中ではあるので一緒に住むことに。
ライトナム侯爵家からの要望もあって、どうやら三男のデーヴィスを早く家から出したかったようだ。当主の仕事を手伝わせる、という気遣いもしてくれたらしい。あまり私の仕事に口出しはしてほしくないけれど、気遣いはありがたい。
ただ、本人に伝わっていなかったのか。屋敷に来た後も、彼は遊んでばっかりだったけど。逆に好都合だったので、放置した。
とにかく、夫婦になったらいずれ一緒に住むことになる。それなら、早いうちからお互いのことをよく知るためにも、一緒に暮らしておこうと考えて受け入れた。
彼が引き連れてきた、数名の使用人たち。デーヴィスの幼馴染であるローレインという女性も、その中に含まれていた。彼女は、色々と訳アリのメイドだったみたい。
すぐに私は、デーヴィスとローレインの関係に気が付いた。家臣や使用人たちから報告もあった。2人の男女の関係について。
男女の関係であることを隠しているつもりのようだけど、バレバレだった。本当に隠す気があるのか。もしかしたら、隠すつもりなんて無かったのかもね。婚約相手である私に対して、わざとアピールしていたとか。そう思うぐらい露骨な態度だった。
しかし私は、その状況を放置した。何も言わずに見過ごしていた。彼に愛人が居たとしても、別に良い。カナリニッジ侯爵家の跡継ぎ問題を解決するため、私に子どもを産ませてくれることだけが、彼に求めていること。
当主の仕事に余計な口出しをしないで、大人しくしているのであれば、好きにしてもらって構わない。お互いに余計な干渉はしない。そんな、暗黙の了解があった。
むしろ、デーヴィスの面倒を見るのを彼女が引き受けてくれるのならば、助かると思っていたぐらいだ。
最初は、2人とも大人しかった。居候としての自覚があったと思う。だけど最近は慣れてきたのか、あまり遠慮しなくなった。
「ちょっと! 紅茶をいれてくれない?」
「はい、ただいま」
「あぁもうっ……、遅いわね。さっさと入れてきなさいよ」
「かしこまりました」
ローレインは屋敷で働く使用人たちに対して、私の目の前以外では高圧的に接するようになっていた。報告があるので把握しているが、かなり酷いらしい。何度も注意している。止めなさいと。
それに、勝手に許可なく部屋を出入りするようになって、屋敷の中を我が物顔で振る舞うように。
「ねぇ、来月はもう少し小遣いを増やしてくれないかな? ちょっと欲しいものがあってさ」
デーヴィスは毎月の小遣いも、多く要求してくるように。これからはカナリニッジ侯爵家の者として振る舞うために、それなりの自由を許していた。他貴族に余裕ある様子を見せつけるために、デーヴィスはそこそこ役に立ってくれた。
けれど最近は、その価値に見合わない行動をするようになった。金遣いもどんどん荒くなって、自由に振る舞い過ぎている。
そろそろ、彼を注意しないとダメかもしれないと思っていた所で、婚約破棄したいなんて言っていたのだとしたら、もうダメね。カナリニッジ侯爵家の将来のために、彼を切り捨てる必要があるかも。
とにかく、本人から話を聞かないといけない。話を聞いてから、どうするのか判断しましょう。ついでに、最近の振る舞いについても注意する。態度を改めてくれないなら、その時には切り捨てる準備をしておかないと。
しばらく待って、ようやくデーヴィスが執務室に到着した。
既に領主として仕事をこなしていた私は、仕事に集中するための屋敷を建て、そこで暮らしていた。家臣や使用人たちも、私の屋敷に住み込みで働かせている。
そこに、婚約相手であるデーヴィスがやってきた。まだ結婚の日程も決まっていないが、婚約中ではあるので一緒に住むことに。
ライトナム侯爵家からの要望もあって、どうやら三男のデーヴィスを早く家から出したかったようだ。当主の仕事を手伝わせる、という気遣いもしてくれたらしい。あまり私の仕事に口出しはしてほしくないけれど、気遣いはありがたい。
ただ、本人に伝わっていなかったのか。屋敷に来た後も、彼は遊んでばっかりだったけど。逆に好都合だったので、放置した。
とにかく、夫婦になったらいずれ一緒に住むことになる。それなら、早いうちからお互いのことをよく知るためにも、一緒に暮らしておこうと考えて受け入れた。
彼が引き連れてきた、数名の使用人たち。デーヴィスの幼馴染であるローレインという女性も、その中に含まれていた。彼女は、色々と訳アリのメイドだったみたい。
すぐに私は、デーヴィスとローレインの関係に気が付いた。家臣や使用人たちから報告もあった。2人の男女の関係について。
男女の関係であることを隠しているつもりのようだけど、バレバレだった。本当に隠す気があるのか。もしかしたら、隠すつもりなんて無かったのかもね。婚約相手である私に対して、わざとアピールしていたとか。そう思うぐらい露骨な態度だった。
しかし私は、その状況を放置した。何も言わずに見過ごしていた。彼に愛人が居たとしても、別に良い。カナリニッジ侯爵家の跡継ぎ問題を解決するため、私に子どもを産ませてくれることだけが、彼に求めていること。
当主の仕事に余計な口出しをしないで、大人しくしているのであれば、好きにしてもらって構わない。お互いに余計な干渉はしない。そんな、暗黙の了解があった。
むしろ、デーヴィスの面倒を見るのを彼女が引き受けてくれるのならば、助かると思っていたぐらいだ。
最初は、2人とも大人しかった。居候としての自覚があったと思う。だけど最近は慣れてきたのか、あまり遠慮しなくなった。
「ちょっと! 紅茶をいれてくれない?」
「はい、ただいま」
「あぁもうっ……、遅いわね。さっさと入れてきなさいよ」
「かしこまりました」
ローレインは屋敷で働く使用人たちに対して、私の目の前以外では高圧的に接するようになっていた。報告があるので把握しているが、かなり酷いらしい。何度も注意している。止めなさいと。
それに、勝手に許可なく部屋を出入りするようになって、屋敷の中を我が物顔で振る舞うように。
「ねぇ、来月はもう少し小遣いを増やしてくれないかな? ちょっと欲しいものがあってさ」
デーヴィスは毎月の小遣いも、多く要求してくるように。これからはカナリニッジ侯爵家の者として振る舞うために、それなりの自由を許していた。他貴族に余裕ある様子を見せつけるために、デーヴィスはそこそこ役に立ってくれた。
けれど最近は、その価値に見合わない行動をするようになった。金遣いもどんどん荒くなって、自由に振る舞い過ぎている。
そろそろ、彼を注意しないとダメかもしれないと思っていた所で、婚約破棄したいなんて言っていたのだとしたら、もうダメね。カナリニッジ侯爵家の将来のために、彼を切り捨てる必要があるかも。
とにかく、本人から話を聞かないといけない。話を聞いてから、どうするのか判断しましょう。ついでに、最近の振る舞いについても注意する。態度を改めてくれないなら、その時には切り捨てる準備をしておかないと。
しばらく待って、ようやくデーヴィスが執務室に到着した。
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