女男の世界

キョウキョウ

文字の大きさ
6 / 60
第1章 姉妹編

第05話 自室

 部屋を見渡す。

(まずは本棚からかな?)

 二列四段に区切られている、大きな本棚を見る。見たこと無いタイトルばかりだ。

 きっちりした性格なのか、一巻から順番になっているのはもちろん、文庫本、新書判本、単行本、A4判本と、本のサイズが小さいものから右に、だんだんと大きな本につれて左へと並べられている。

 左上三段には、漫画と小説が。右上二段には教科書とノートが。右三段目には雑誌が。左右一番下の段は何も入っていない。

 ざっと見たところ知っているタイトルのものはひとつもなかった。とりあえずと、目についた漫画の一巻目を手に取って、パラパラと開いて中を確かめてみる。

 そっと漫画を元の位置に戻した。そして僕は、膝と手を床に付ける。その格好は、失意のポーズ。

(BL本じゃないかっ!?)

 昔、僕が通っていた料理教室の40歳を超えたお姉さまの一人に無理やり見せられ感想を求められた、苦い日の思い出がよみがえる。


 しばらく時間が過ぎて、少し冷静になる。

(もしかしたら、たまたま手のとったのがBL本だったのかも。他は大丈夫なはず、きっと)

 気を取り直して、立ち上がる。

 最初手にとった漫画から一番離れたところにあった、少し大きめの漫画を手に取り確認してみる。

 そっと元の位置に戻す。膝を抱えてうずくまる。その格好は、絶望感のポーズ。

(BL本しか無いようだ……)

 昔、僕が通っていた料理教室で40歳を超えたお姉さま達からプレゼントされた、段ボール箱いっぱいに入ったBL本を思い出した。家に持ち帰ったものの、処分する方法に困ったんだよなぁ。恥ずかしながら、普通に古紙回収に出したのを覚えているけれど。


 その後、部屋にある本棚からタイトルと表紙から安全そうなモノを選び、恐る恐る調べてみた。だけど、ページを進めていく途中に裸体の男性二人、中には三人や四人もあった、が絡み合っている場面しかない。三冊目を閉じた時、これ以上は探す事で精神が削られることを危惧して、普通な漫画の捜索を打ち切る。前の僕は、ちょっと特殊な趣味を持っているようだった。別に貶しているわけじゃないが、自分の趣味と違いすぎて戸惑ってしまう。

 次に、教科書を調べることにした。

 本棚から、教科書が置かれている所から日本史Bと書かれたタイトルの本を取り出した。索引のページから、僕の記憶にある大きな事件の名前や人物名を探してみたが見つからない。

(ん~、見つからないか)

 仕方ないので、ページのはじめから、原始・古代から中世、近世、近代・現代へと書かれてる所を飛ばし読みしてみた。残念ながら、その本に書かれている内容で僕が知っている出来事の名称はひとつも見つけられなかった。見覚えがあるようなものもあったが、不確かな記憶。

 日本史の教科書を戻して、次に数学Ⅰを取り出す。パラパラとページを送る。

(こっちはわかるな。懐かしい)

 ちょっとだけ安心して、数学の教科書を本棚に戻す。次はノートを取り出し開いてみた。

 それは、英語のノートのようだ。文字が丁寧に書かれていて、赤ペンや矢印などを使って見やすく解説を入れている。かなり几帳面だ。

(ん~、僕は英語の先生が苦手だったから授業中は寝てたなぁ)

 僕の記憶だと高校時代、英語の授業中ノートなんてきっちり取っていなかった事を思い出し、このノートの製作者を尊敬した。書いたのは、僕らしいけれど。

 ノートを戻して、次に雑誌を取り出す。これは、どうだろう。

“春のファッション先取り特集”
“スーパーモデルのファッション美学”
“気になる彼の注目情報”

 表紙を見たところファッション雑誌のようだった。

 その内容はスカート特集やワンピースの着こなし方、可愛い帽子などが紹介されている。これらはボーイッシュファッションなんて書かれ方をしていた。

 ガーリッシュファッションだなんて書かれた、ジーパンの組み合わせ方なんてのも載っている。

(ボーイッシュは男っぽいじゃなくて、女っぽいになる。で、ガーリッシュってのは女っぽいの反対で男っぽいってなるのか? ううむ、頭が混乱してくるなぁ)

 本棚の調査を終え、前の僕に対してわかったことは、BL本が好きなこと。かなり几帳面なこと。その二つだ。

(BL本好きは、あまり知りたくなかったけどなぁ……)

 次に、机を調べることにした。机の上には、時計がひとつ。ペン立てに、プリントが1枚だけ入っている。プリントを手に取って呼んでみた。

 ふむふむ、学校の卒業式準備の日程のようだ。

(そういえば入院していた僕は、いつから学校に行けばいいんだろう)

 病院に入院していた頃は当然、学校へは行けなかった。だが、退院したので学校に行くべきだろう。働くわけには、いかないだろうし。

 プリントには三月十九日に卒業式だと書かれており、今日が三月六日だったはずと思いだす。

 三月なのでテストも終わり、授業も無いだろう。だが、もしかしたら卒業式準備に行く必要があるかもしれない。あとで香織さんに聞こうと、頭の隅に記憶しておく。

 机の引き出しの中を探り続けてみると、出てきたのは宿題だと思われるプリント、よくわからないチラシ、キャラクターモノの下敷きなど、続々と出て来た。

 最後に、少し大きめの机の引き出しを開けて、仲を確認してみる。

「うわっ懐かしい! これって、ゲームポケットだ」

 世界的有名なゲーム会社が発売した、白黒液晶の携帯ゲーム機。カセットを見ると、モンスターをコレクトして育てる、怪物ポッケの初代だ。

(そっか。確か今が1996年だから、これは発売されてすぐの頃だっけ?)

 懐かしさを感じながら電源を入れる。懐かしのゲーム音と画面。

「あれっ?データが無い。消えたのかな?」

  “はじめから”と“せってい”しか無いスタート画面を見て疑問に思う。しかし、昔の記憶からカセットの接触不良やゲーム機を少しぶつけるだけで、データを消してしまっていた事を思い出した。

(ん? ここの博士も女性だな)

 たしか、最初に出てくる博士は白髪頭の男性だったはずだと思う、しかし今ゲーム画面には白衣を着た女性が最初の説明をしてくれている。

(やっぱり、僕の記憶とは微妙に違うようになっているなぁ)

 少しゲームをプレイして、先に進めてみる。主人公キャラも初代は男性だったはずだけど、このゲームでは女性キャラになっている。

 前の記憶に有る内容との違いを探しながら、夢中になってゲームを遊んだ。この年になっても、ゲームは楽しめるみたいだ。


「……い! ゆうー!」

 階下から、声が聞こえる。顔を上げて、時計を見る。

「え? うわっ、もうこんな時間か」

 時間を見ると、18時を少し過ぎていた。窓から見える外の景色は、夕焼けで暗くなっている。ゲームに熱中していて、だいぶ時間が過ぎたことに気づかなかった。

 ゲームをセーブしてゲーム機の電源を落とすと、また下から声が聞こえた。女の子の声だが、聞き覚えがない。香織さんや春お姉ちゃんではないようだ。外に出ていた上二人の姉か、それとも下の妹が帰ってきたのかもしれない。

(お腹も空いたし、一度下に行こうかな)

 ゲームに夢中になって、部屋の探索は止まっていた、とりあえず、この部屋の探索は一旦中断して、夕飯をどうするか聞くために僕は一階へ行くことにした。
感想 1

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【短編集】こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

マカロニ
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。