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第3章 テレビ出演編
第21話 家族でテレビを見てみよう
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「そういえば、放送されるのは今夜なのよね。ゆうくんがテレビに出演するのは?」
「えっと、そうですね。確か、今日の夜だって聞いています」
所属している部活動が取材されたという話は、いつの間にか香織さんにも伝わっていた。
今夜の放送に向けて、仕事を早くに切り上げてきたという香織さん。先ほどから、何度もビデオの録画チェックを繰り返している。
香織さんから、家族全員にテレビ出演の話が伝わっていて、何故か全員で視聴する流れになった。放送する予定の時間になって、皆でテレビ前へと集まっていた。
あまり、じっくり見られたくなんだけどなぁ。
「本当に、録画するんですか?」
「それは、もちろん! 家族がテレビに出るなんて、すごい一大事よ! これは必ずビデオに抑えますから」
何度も繰り返し指さし確認で、ビデオデッキをチェックしながら答える香織さん。絶対に失敗したくないらしい。
「うちの部活にもカメラマンは来てたよ。だけど、ろくに取材もしないですぐどっか行ったなぁ」
沙希姉さんさんの言葉に、そういえばと思い返す。あのテレビの取材は学園内を色々と巡って撮影していたようだ。料理部以外にも取材していたらしい。学園紹介の一環で、色々な部活を取材するという名目だろう。だけど、部活ごとに結構な贔屓があったようだった。うちの料理部が贔屓されていたらしい。
紗綾姉さんと葵も居るが、二人ともつまらなそうにぼーっとテレビを眺めている。二人は、あまり関係ない内容だからなぁ。
「もう、始まった?」
春姉さんも来た。これで一応、家族全員が集まった。
「大丈夫。まだ始まってないよぉ」
腕を組みながらソファの上で寝転んでいる沙希姉さんが、春姉さんに答える。
ニュースの男性キャスターが、学園の紹介を始める。いつの間にか、放送する時間になっていた。
それからすぐVTRに移った。学園の校門前で、学園の紹介を始めるリポーター。あの日に会った、あの男性リポーターだ。
「おっ、始まった始まった」
寝転んでいた沙希姉さんが起き上がり、今度はソファの上で胡坐をかいて座る。
「これでちゃんと撮れてるかな」
まだ、録画に手間取って機器と説明書を何度も見比べて確認をする香織さん。
「あっ、校長先生だ」
女性の校長先生がインタビューされているのを見て、咄嗟に声に出た。始業式の時にちょっとだけ見かけた。そのときに、女性であり、見た目も若い人だったので印象に残っていた。
その後は、いくつかの部活を巡って、それぞれの部長らしき人のインタビューが1、2分で次々と映し出されていった。この調子なら、僕の出番も少なく終わりそうだ。
すると突然、リポーターの人がテンションを高くして解説を始める。
「それでは皆さん、料理部を見学させていただきたいとおもいますよ。おっと、もうすでに何か料理を作ってるようですね? さっそく中を覗いてみたいと思います」
扉を開けて入っていくと、さっそく僕が映し出される。あんまり、映りは良くないと思った。
「優が居るね」
「ほんとだ」
「ちゃんと、カッコよく映ってるわよ」
「すごい」
ぼそりと、聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声量で春姉さんがつぶやいた。その一言に続いて、他の皆も感想を口にする。恥ずかしい。さっさと終わってくれ。
その後、料理部でのやり取りをほとんどノーカットで映し出された。
テレビ画面に映し出されている僕は、かなり緊張していた。ちゃんと話せていないので、もっとハキハキ喋るべきだったと反省する。恥ずかしさに耐えるのも限界で、見るの止めて僕は一足先に部屋へ帰ろうかと思った。
「このカメラマン、さっきから優に近いよ! もっと離れないと」
沙希姉さんが画面に向かって文句を言い始める。
「絶対、このカメラマンは優の事が気に入ったんだよ。さっきから、優の顔ばかりを映しているし。全身を舐めるようにして撮って、なんだかイヤラシイ。なぁ、優?」
文句を言い続けながら、僕にも同意を求める始末。
「うーん、どうだろう。撮影した時は何も思わなかったけれど」
撮影した日のことを思い出しながら、素直な気持ちを言う。
「優は、警戒心が薄いんだよ。男なんだから、常日頃から女には警戒していかないと危ないよ」
「そうなのかなぁ」
その後も、聞いてるこちらが恥ずかしくなるような言葉で料理部を褒めて褒めてで放送は終了した。やはり、料理部はかなり贔屓されていたようだ。
学園紹介の取材だって聞いていたけれど、放送の4分の3ぐらいの時間は料理部の取材していた様子を映していた。
テレビの放送が終わって、経済のニュースに移りみんなの興味はテレビから僕へと変わった。
「ほんと、家族がテレビに出るなんて不思議だったなぁ」
春姉さんの言葉。
「なんだか、有名人みたいだった……」
それから、葵の言葉。
「あんまり、テレビに出るのは好きじゃないないんだどなぁ」
見るのは好きだけど、テレビ関係に関わるのは嫌だった。
「いいじゃん、いいじゃん。テレビに映してもらって。これで、もしかしたら本当に有名人になるかもよ」
沙希姉さんが言った。
そして香織さんは、機器をチェックして録画できているかどうかを黙々と確認していた。
「えっと、そうですね。確か、今日の夜だって聞いています」
所属している部活動が取材されたという話は、いつの間にか香織さんにも伝わっていた。
今夜の放送に向けて、仕事を早くに切り上げてきたという香織さん。先ほどから、何度もビデオの録画チェックを繰り返している。
香織さんから、家族全員にテレビ出演の話が伝わっていて、何故か全員で視聴する流れになった。放送する予定の時間になって、皆でテレビ前へと集まっていた。
あまり、じっくり見られたくなんだけどなぁ。
「本当に、録画するんですか?」
「それは、もちろん! 家族がテレビに出るなんて、すごい一大事よ! これは必ずビデオに抑えますから」
何度も繰り返し指さし確認で、ビデオデッキをチェックしながら答える香織さん。絶対に失敗したくないらしい。
「うちの部活にもカメラマンは来てたよ。だけど、ろくに取材もしないですぐどっか行ったなぁ」
沙希姉さんさんの言葉に、そういえばと思い返す。あのテレビの取材は学園内を色々と巡って撮影していたようだ。料理部以外にも取材していたらしい。学園紹介の一環で、色々な部活を取材するという名目だろう。だけど、部活ごとに結構な贔屓があったようだった。うちの料理部が贔屓されていたらしい。
紗綾姉さんと葵も居るが、二人ともつまらなそうにぼーっとテレビを眺めている。二人は、あまり関係ない内容だからなぁ。
「もう、始まった?」
春姉さんも来た。これで一応、家族全員が集まった。
「大丈夫。まだ始まってないよぉ」
腕を組みながらソファの上で寝転んでいる沙希姉さんが、春姉さんに答える。
ニュースの男性キャスターが、学園の紹介を始める。いつの間にか、放送する時間になっていた。
それからすぐVTRに移った。学園の校門前で、学園の紹介を始めるリポーター。あの日に会った、あの男性リポーターだ。
「おっ、始まった始まった」
寝転んでいた沙希姉さんが起き上がり、今度はソファの上で胡坐をかいて座る。
「これでちゃんと撮れてるかな」
まだ、録画に手間取って機器と説明書を何度も見比べて確認をする香織さん。
「あっ、校長先生だ」
女性の校長先生がインタビューされているのを見て、咄嗟に声に出た。始業式の時にちょっとだけ見かけた。そのときに、女性であり、見た目も若い人だったので印象に残っていた。
その後は、いくつかの部活を巡って、それぞれの部長らしき人のインタビューが1、2分で次々と映し出されていった。この調子なら、僕の出番も少なく終わりそうだ。
すると突然、リポーターの人がテンションを高くして解説を始める。
「それでは皆さん、料理部を見学させていただきたいとおもいますよ。おっと、もうすでに何か料理を作ってるようですね? さっそく中を覗いてみたいと思います」
扉を開けて入っていくと、さっそく僕が映し出される。あんまり、映りは良くないと思った。
「優が居るね」
「ほんとだ」
「ちゃんと、カッコよく映ってるわよ」
「すごい」
ぼそりと、聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声量で春姉さんがつぶやいた。その一言に続いて、他の皆も感想を口にする。恥ずかしい。さっさと終わってくれ。
その後、料理部でのやり取りをほとんどノーカットで映し出された。
テレビ画面に映し出されている僕は、かなり緊張していた。ちゃんと話せていないので、もっとハキハキ喋るべきだったと反省する。恥ずかしさに耐えるのも限界で、見るの止めて僕は一足先に部屋へ帰ろうかと思った。
「このカメラマン、さっきから優に近いよ! もっと離れないと」
沙希姉さんが画面に向かって文句を言い始める。
「絶対、このカメラマンは優の事が気に入ったんだよ。さっきから、優の顔ばかりを映しているし。全身を舐めるようにして撮って、なんだかイヤラシイ。なぁ、優?」
文句を言い続けながら、僕にも同意を求める始末。
「うーん、どうだろう。撮影した時は何も思わなかったけれど」
撮影した日のことを思い出しながら、素直な気持ちを言う。
「優は、警戒心が薄いんだよ。男なんだから、常日頃から女には警戒していかないと危ないよ」
「そうなのかなぁ」
その後も、聞いてるこちらが恥ずかしくなるような言葉で料理部を褒めて褒めてで放送は終了した。やはり、料理部はかなり贔屓されていたようだ。
学園紹介の取材だって聞いていたけれど、放送の4分の3ぐらいの時間は料理部の取材していた様子を映していた。
テレビの放送が終わって、経済のニュースに移りみんなの興味はテレビから僕へと変わった。
「ほんと、家族がテレビに出るなんて不思議だったなぁ」
春姉さんの言葉。
「なんだか、有名人みたいだった……」
それから、葵の言葉。
「あんまり、テレビに出るのは好きじゃないないんだどなぁ」
見るのは好きだけど、テレビ関係に関わるのは嫌だった。
「いいじゃん、いいじゃん。テレビに映してもらって。これで、もしかしたら本当に有名人になるかもよ」
沙希姉さんが言った。
そして香織さんは、機器をチェックして録画できているかどうかを黙々と確認していた。
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