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第14話 王位継承への決意※アルディアン視点
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父上の病状が、どんどん悪化している。医師長が深刻な表情で首を振る姿を見れば、もう時間がないことは明白だ。タイムリミットが近づいてきている。
本来なら兄のケアリオットが担う予定だった王位継承という重責を、私が引き継ぐことになった。表舞台に出ることへの躊躇は、もうない。避け続けてきた責任から、もう逃げることはできないし、逃げるつもりもない。
この国を、民の暮らしを守らなければならない。それが私に課せられた使命だ。
病床の父上と話した時のことを思い出す。薄暗い王の私室で、やつれ果てた父上が私の目をじっと見つめて、か細い声で言った。
「アルディアン、お前には王としての責任と、個人的な情のバランスを大切にしてほしい」
「はい、父上」
父上の手は驚くほど冷たく、握ると骨ばった感触が痛いほど伝わってきた。かつて王国を治めていた父の姿は、もうそこにはなかった。
「ケアリオットに最後の慈悲を与えた。だから、これ以上は見逃してやってくれ」
父上の声には、親としての切ない想いが込められていた。
「父である前に王であろうとしてきたが、最後ぐらいは……息子を想う父でありたい」
父である国王が、王都から離れた場所に屋敷を用意し、そこで静かに暮らしていくよう兄に指示したらしい。その生活は見逃してやってくれと、懇願するように父は言った。
本来であれば、問題を起こして王位継承権を剥奪までされた元王太子として、もっと厳しい処分が必要だと思う。だが、父上の最期の願いを無下にはできない。
「……承知いたしました、父上」
私は言いかけて、言葉を飲み込んだ。
兄は、王位継承権を剥奪された原因が全てミュリーナにあると訴え続けているらしい。責任転嫁にも程がある。そんな人物など、後で絶対に問題を起こす。
今のうちに何らかの対処をしておかないと、必ず禍根を残すことになる。だが、父の最後の願いになってしまいそうだ。ならば、父が言ったように情のバランスを大切にしよう。
父上との会話を終えた後、私は信頼できる腹心の部下を呼んだ。
「はい、殿下。お呼びでしょうか」
「ケアリオットの屋敷での生活状況を定期的に報告してもらいたい」
私は執務室の窓の外を見つめながら、静かに命令を下した。
「父上の願いは尊重する。だが、王国の安全が最優先だ。何か問題を起こすような兆候があれば、その時は然るべき対処をする。大人しくしているのであれば、何もしない」
「承知いたしました。どの程度の監視体制をお望みでしょうか?」
「気付かれないように、しかし確実に。兄の行動、会っている人物、そして屋敷内での様子。全て記録して報告してくれ」
「了解いたします」
命令は、それだけではない。もう一人の人物についても対処しておく必要があった。
「それから、兄と一緒にいるカーラという女性についても監視対象に含めてくれ」
最初は単なる計算高い女性だとは思っていたが、あそこまで欲深く、狡猾だとは思わなかった。あの純真無垢な表情は全て巧妙な演技だったのだろう。そして兄は、その見事な擬態に完全に騙されているようだ。
「あの女性の実家の商会への対応は、どうなっている?」
「既に手配しております。王国内での商売は困難になるよう、各種許可証の更新を滞らせ、取引先との関係も徐々に悪化させております。他国への移住を誘導中です」
報告は的確で、既に私の意図を汲み取った対応が進んでいることがわかる。
「それで良い。カーラとの接触を完全に断ち切らせろ。そしてカーラ本人は、理由をつけて屋敷から出さないよう工夫してくれ」
「承知いたしました」
あの女性には、兄を屋敷に引き止めてもらう必要がある。愛だなんだと言っていたのだから、存分に二人だけの愛を育ませてやればいい。そっちに夢中になって問題を起こさなければありがたい。そのために、カーラを屋敷に閉じ込めておく。
あの女性を野放にすると、将来的に別の問題を起こす可能性が高そうだ。王国の害になる。だから、今のうちに封じ込めておくのが賢明だろう。
「わかりました。すぐに手配いたします」
「頼む。そして、この件は極秘で進めてくれ」
部下が退室した後、私は深いため息をついた。政治的な駆け引きや陰謀は性に合わないが、王として避けて通れない道だ。
色々と面倒で気の重い問題も多い。けれども、最近は嬉しい出来事もあった。先日ミュリーナと過ごした、あの特別な時間のことだ。
あの手紙の話をしっかりと覚えていてくれて、それが彼女の支えになっていたと聞いた時、胸が熱くなった。
彼女の一生懸命な姿を遠くから見ていて、どうしても言葉をかけたくなったのだ。でも、当時は兄と婚約していたから遠慮もあって、匿名でしか送ることができなかった。
まさか彼女が、あの手紙をそこまで大切に思ってくれていたとは。そして今、運命の巡り合わせで、こうして隣で政務を共にしている。
ミュリーナの王妃教育に対する真摯な姿勢を、私は長い間見続けてきた。あの厳格で時には理不尽とも思える教育に真正面から取り組み、婚約破棄という屈辱的な状況に陥っても決して品格を失わなかった。
そして最近の政務での的確な判断力と細やかな気配りを目の当たりにして、改めて彼女の素晴らしさを実感している。知性、品格、そして何より強い意志を持つ、真に尊敬に値する女性だ。
この人となら、きっと王国を守れる。国民を幸せにできる。
彼女は私にとって、政治的なパートナー以上の存在だと確信している。彼女と一緒に人生を歩んでいけたら、それは私にとって最高の幸福だろう。
今は兄の処遇、カーラの封じ込め、父上の看病、王位継承の準備など、様々な問題が山積している。だが、問題の芽を事前に摘むための準備は着実に整えている。
全てを背負う覚悟はできた。もう迷いはない。
ミュリーナという最高のパートナーを得た今、私は以前よりもずっと強くなれた気がする。一人では重すぎる責任も、彼女と分かち合えるなら乗り越えられる。
彼女を守り、大事にしなければいけない。そして共に、この国の明るい未来のために全力で尽くしていこう。
本来なら兄のケアリオットが担う予定だった王位継承という重責を、私が引き継ぐことになった。表舞台に出ることへの躊躇は、もうない。避け続けてきた責任から、もう逃げることはできないし、逃げるつもりもない。
この国を、民の暮らしを守らなければならない。それが私に課せられた使命だ。
病床の父上と話した時のことを思い出す。薄暗い王の私室で、やつれ果てた父上が私の目をじっと見つめて、か細い声で言った。
「アルディアン、お前には王としての責任と、個人的な情のバランスを大切にしてほしい」
「はい、父上」
父上の手は驚くほど冷たく、握ると骨ばった感触が痛いほど伝わってきた。かつて王国を治めていた父の姿は、もうそこにはなかった。
「ケアリオットに最後の慈悲を与えた。だから、これ以上は見逃してやってくれ」
父上の声には、親としての切ない想いが込められていた。
「父である前に王であろうとしてきたが、最後ぐらいは……息子を想う父でありたい」
父である国王が、王都から離れた場所に屋敷を用意し、そこで静かに暮らしていくよう兄に指示したらしい。その生活は見逃してやってくれと、懇願するように父は言った。
本来であれば、問題を起こして王位継承権を剥奪までされた元王太子として、もっと厳しい処分が必要だと思う。だが、父上の最期の願いを無下にはできない。
「……承知いたしました、父上」
私は言いかけて、言葉を飲み込んだ。
兄は、王位継承権を剥奪された原因が全てミュリーナにあると訴え続けているらしい。責任転嫁にも程がある。そんな人物など、後で絶対に問題を起こす。
今のうちに何らかの対処をしておかないと、必ず禍根を残すことになる。だが、父の最後の願いになってしまいそうだ。ならば、父が言ったように情のバランスを大切にしよう。
父上との会話を終えた後、私は信頼できる腹心の部下を呼んだ。
「はい、殿下。お呼びでしょうか」
「ケアリオットの屋敷での生活状況を定期的に報告してもらいたい」
私は執務室の窓の外を見つめながら、静かに命令を下した。
「父上の願いは尊重する。だが、王国の安全が最優先だ。何か問題を起こすような兆候があれば、その時は然るべき対処をする。大人しくしているのであれば、何もしない」
「承知いたしました。どの程度の監視体制をお望みでしょうか?」
「気付かれないように、しかし確実に。兄の行動、会っている人物、そして屋敷内での様子。全て記録して報告してくれ」
「了解いたします」
命令は、それだけではない。もう一人の人物についても対処しておく必要があった。
「それから、兄と一緒にいるカーラという女性についても監視対象に含めてくれ」
最初は単なる計算高い女性だとは思っていたが、あそこまで欲深く、狡猾だとは思わなかった。あの純真無垢な表情は全て巧妙な演技だったのだろう。そして兄は、その見事な擬態に完全に騙されているようだ。
「あの女性の実家の商会への対応は、どうなっている?」
「既に手配しております。王国内での商売は困難になるよう、各種許可証の更新を滞らせ、取引先との関係も徐々に悪化させております。他国への移住を誘導中です」
報告は的確で、既に私の意図を汲み取った対応が進んでいることがわかる。
「それで良い。カーラとの接触を完全に断ち切らせろ。そしてカーラ本人は、理由をつけて屋敷から出さないよう工夫してくれ」
「承知いたしました」
あの女性には、兄を屋敷に引き止めてもらう必要がある。愛だなんだと言っていたのだから、存分に二人だけの愛を育ませてやればいい。そっちに夢中になって問題を起こさなければありがたい。そのために、カーラを屋敷に閉じ込めておく。
あの女性を野放にすると、将来的に別の問題を起こす可能性が高そうだ。王国の害になる。だから、今のうちに封じ込めておくのが賢明だろう。
「わかりました。すぐに手配いたします」
「頼む。そして、この件は極秘で進めてくれ」
部下が退室した後、私は深いため息をついた。政治的な駆け引きや陰謀は性に合わないが、王として避けて通れない道だ。
色々と面倒で気の重い問題も多い。けれども、最近は嬉しい出来事もあった。先日ミュリーナと過ごした、あの特別な時間のことだ。
あの手紙の話をしっかりと覚えていてくれて、それが彼女の支えになっていたと聞いた時、胸が熱くなった。
彼女の一生懸命な姿を遠くから見ていて、どうしても言葉をかけたくなったのだ。でも、当時は兄と婚約していたから遠慮もあって、匿名でしか送ることができなかった。
まさか彼女が、あの手紙をそこまで大切に思ってくれていたとは。そして今、運命の巡り合わせで、こうして隣で政務を共にしている。
ミュリーナの王妃教育に対する真摯な姿勢を、私は長い間見続けてきた。あの厳格で時には理不尽とも思える教育に真正面から取り組み、婚約破棄という屈辱的な状況に陥っても決して品格を失わなかった。
そして最近の政務での的確な判断力と細やかな気配りを目の当たりにして、改めて彼女の素晴らしさを実感している。知性、品格、そして何より強い意志を持つ、真に尊敬に値する女性だ。
この人となら、きっと王国を守れる。国民を幸せにできる。
彼女は私にとって、政治的なパートナー以上の存在だと確信している。彼女と一緒に人生を歩んでいけたら、それは私にとって最高の幸福だろう。
今は兄の処遇、カーラの封じ込め、父上の看病、王位継承の準備など、様々な問題が山積している。だが、問題の芽を事前に摘むための準備は着実に整えている。
全てを背負う覚悟はできた。もう迷いはない。
ミュリーナという最高のパートナーを得た今、私は以前よりもずっと強くなれた気がする。一人では重すぎる責任も、彼女と分かち合えるなら乗り越えられる。
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