真実の愛とやらの結末を見せてほしい~婚約破棄された私は、愚か者たちの行く末を観察する~

キョウキョウ

文字の大きさ
25 / 33

第25話 変化していく状況

しおりを挟む
 王国に派遣している調査員から、次々と調査報告が届いていた。順番に目を通していく。王国では、色々と巻き起こっているようだ。

 ギオマスラヴ王子が、イステリッジ公爵家に対して文句を言っているらしい。私達が王国から離れて、しばらく時間が経っていた。今になって彼が文句を言っているのはなぜなのか、疑問に思う。調査報告を読み進める。

 どうやら王子は、イステリッジ公爵家と王家の関係について把握していなかったようだ。

 公爵家の支援が打ち切られて、身の回りの状況が変わってから、ようやく気付いたらしい。気付くのが遅すぎると思うけど。それで、色々と文句を言っているそうだ。

 そもそも王子が、王家との深い関係のある貴族について知らなかった、というのは問題じゃないかしら。婚約相手の実家でもあるのに知らなかったなんて、あり得ないでしょう。

 ギオマスラヴ王子は、そんなあり得ない状況だったらしい。

 不平不満を周囲に漏らして、ついに自ら動き出したという。だけど、また不可解なことに旧イステリッジ公爵領を目指して、王都を旅立ったという。少数の兵士だけを引き連れて、質の悪い馬車に乗ってコッソリ出発したそうだ。

 どういう目的で、彼は旅立ったのか。王になるため真剣に勉強していたんじゃないのかしら。意外と暇なのかしら。いやいや、そんな事はないはずだけど。事前に連絡せずに、自ら動く理由も分からない。

 そしてなぜか、帝国の関所で揉めて引き返したらしい。本当に、どういうことなのかしら。王子の動きを調査していた者も、理解できなかったみたい。とにかく、事実だけ報告書に書き記されていた。



 一方、リザベット・ルシヨンヌ男爵令嬢について。彼女も、色々と動いているようね。念願の王子と婚約相手になった後、意外と2人は頻繁には会っていないみたい。王子が色々と動いている間に、王都に残された彼女は別の男と会っていた。

 もしかして、もう別の男に気が移ったのかしら。なんというか、彼女には行動力があるわね。身分の違う王子に対して何も気にせずに接触して、関係を築くことに成功した。そして今度は、王子という婚約者が居るというのに、そんな事は気にせず他の男性と会うなんて。普通なら、絶対に避ける。無謀としか思えない。

 王子と男爵令嬢。2人の関係は、それほど長くは続かないような気がした。想像していた以上に早く終わりそうな、そんな予感がする。男爵令嬢の動きを知ったら、当然かもしれない。

 2人の間には真実の愛が存在しているなんて言っていたわりには、簡単に崩壊するのかも。そんな結末が、待っているんじゃないかしら。

 彼らに対する興味も薄れてしまった。これ以上、観察を続けても意味がなさそう。そんな事に時間を消耗するよりも、私は自分の将来について考えるのに専念するべきよね。



 新しい婚約相手が決まったと、お父様から聞いていた。お相手は、ジヨホウナント辺境伯家の御子息。

 王国の貴族だったイステリッジ公爵家が、これから帝国に馴染んでいけるように、まずは帝国の貴族であるジヨホウナント辺境伯家との関係強化を目指す。そのための政略結婚だ。

 一度、婚約を破棄された私が家のために役立てるのであれば、それはとても嬉しいことだと思った。だから今回の婚約については前向きな気持ちになれているし、嫌だとは全く感じていない。

 今度こそ、婚約を破棄されないように頑張りたい。私は、そう思っている。
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした

おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。 真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。 ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。 「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」 「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」 「…今度は、ちゃんと言葉にするから」

なんでも私のせいにする姉に婚約者を奪われました。分かり合えることはなさそうなので、姉妹の関係を終わらせようと思います。

冬吹せいら
恋愛
侯爵家令嬢のミゼス・ワグナーは、何かあるとすぐに妹のリズのせいにして八つ当たりをした。 ある日ミゼスは、リズの態度に腹を立て、婚約者を奪おうとする。 リズはこれまで黙って耐えていた分、全てやり返すことにした……。

悪役令嬢に相応しいエンディング

無色
恋愛
 月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。  ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。  さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。  ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。  だが彼らは愚かにも知らなかった。  ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。  そして、待ち受けるエンディングを。

【完結】華麗に婚約破棄されましょう。~卒業式典の出来事が小さな国の価値観を変えました~

ゆうぎり
恋愛
幼い頃姉の卒業式典で見た婚約破棄。 「かしこまりました」 と綺麗なカーテシーを披露して去って行った女性。 その出来事は私だけではなくこの小さな国の価値観を変えた。 ※ゆるゆる設定です。 ※頭空っぽにして、軽い感じで読み流して下さい。 ※Wヒロイン、オムニバス風

私は婚約破棄をされ好い人と巡り会いました。

SHIN
恋愛
忙しい年末年始に現れたのはめったに顔を遭わせない男でした。 来た内容はえっ、婚約破棄ですか? 別に良いですよ。貴方のことは好きではありませんでしたし。 では手続きをしましょう。 あら、お父様。私が欲しいと言う殿方が居ますの?欲しがられるなんて良いですわね。 この話は婚約破棄を快く受け入れた王女が隣国の男に愛される話。 隣国の方はなんと『悪役令嬢をもらい受けます』のあの方と関わりがある人物だったりじゃなかったりの方です。

「婚約破棄だ」と笑った元婚約者、今さら跪いても遅いですわ

ゆっこ
恋愛
 その日、私は王宮の大広間で、堂々たる声で婚約破棄を宣言された。 「リディア=フォルステイル。お前との婚約は――今日をもって破棄する!」  声の主は、よりにもよって私の婚約者であるはずの王太子・エルネスト。  いつもは威厳ある声音の彼が、今日に限って妙に勝ち誇った笑みを浮かべている。  けれど――。 (……ふふ。そう来ましたのね)  私は笑みすら浮かべず、王太子をただ静かに見つめ返した。  大広間の視線が一斉に私へと向けられる。  王族、貴族、外交客……さまざまな人々が、まるで処刑でも始まるかのように期待の眼差しを向けている。

婚約破棄が私を笑顔にした

夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」 学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。 そこに聖女であるアメリアがやってくる。 フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。 彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。 短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。

私、今から婚約破棄されるらしいですよ!卒業式で噂の的です

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、アンジュ・シャーロック伯爵令嬢には婚約者がいます。女好きでだらしがない男です。婚約破棄したいと父に言っても許してもらえません。そんなある日の卒業式、学園に向かうとヒソヒソと人の顔を見て笑う人が大勢います。えっ、私婚約破棄されるのっ!?やったぁ!!待ってました!! 婚約破棄から幸せになる物語です。

処理中です...