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第26話 報酬と出発
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他の村への出張を終えて自分の村に戻ってくると、シュテファン様から報酬が支払われた。ずっしり重い、大量の金貨が入った袋を受け取る。相場を知らないけれど、かなりの大金だと思う。
「こんなに、いいのですか?」
「気にせず受け取ってくれ。それは、君の働きに見合う正当な対価だから」
そう言われたので、ありがたく受け取った。もしかしたら、これも私を帝国に引き止めるために割高で支払っているのかなとも思ったけど、その辺はわからないから。ただの妄想かもしれないので。
しかし、労働に対して報酬を受け取ったのは今回が初めてかもしれない。
教会に居た時は、何もなかったからなぁ。食事と住む場所だけ与えられて、役目を果たすだけだ。それが当たり前だった。住む場所があって飢えずに済むというのは、恵まれている方なのだと思うけど。
でも、報酬を貰えるのは嬉しいな。こんな気持なのか。頑張った結果がはっきりと形で見えるのは、良いものなのかもしれない。帝国に留まりたいと思える理由が一つ増えた。
村の状況が落ち着き、帝都へ向かう予定が決まった。どうやら、シュテファン様の用意してくれた部隊が帝都まで私を送り届けてくれるらしい。護衛まで付けてくれるらしい。とにかく手厚い待遇をされている気がする。
私は、帝都に行った後は村に戻ってくるつもりだった。受け取った報酬を持って、向こうで買い物をする。生活に役立つ道具や食料を購入して、村に持って帰ってくるつもりだった。
受け取った報酬の一部を、アメリアさんとテリーさんの2人にも渡しておいた。
「どうぞ、自由に使って下さい」
「いやいや、それは出来ないよ。これは君のお金だから」
遠慮する2人に、金貨の入った袋を強引に押し付けた。溜め込んでも仕方ないので、彼らにも有効活用してほしいから。
「生活が苦しかったら気にせず使っていいです。村も大変になるかもしれないので、その時は遠慮せずに」
村は落ち着いたけれど、人が増えてトラブルが起きる可能性もある。私が居ない間に何かあった場合に備えて、ある程度の蓄えがある方が良いだろうと思ったので。
とにかく、この2人には無事で居てほしい。私が村の人に受け入れてもらうためのキッカケになってくれた人達だから。心配しすぎなのかもしれないけれど、用心して悪いことはないはずだから。
私がそう言うと2人は顔を見合わせた後、渋々といった感じで受け取ってくれた。
「……わかった。有難く頂戴しよう。だけど、なるべく無駄遣いしないと約束する」
「貴女が村に帰ってきたら、ちゃんと返すわね」
返す必要はないんだけど。困った時に使ってくれたら、それで十分だと思っているから。
預かるだけで自分たちのために使う様子はないので、それなら2人のために旅先で何か買ってこよう。食べ物や衣料品、装飾品とか、生活用品とか、役立つ物であれば受け取ってくれそうなので。
「では、行ってきます」
ということで、アメリアさんとテリーさんの2人や村人達に見送られて私は帝都に向かって旅立った。
「こんなに、いいのですか?」
「気にせず受け取ってくれ。それは、君の働きに見合う正当な対価だから」
そう言われたので、ありがたく受け取った。もしかしたら、これも私を帝国に引き止めるために割高で支払っているのかなとも思ったけど、その辺はわからないから。ただの妄想かもしれないので。
しかし、労働に対して報酬を受け取ったのは今回が初めてかもしれない。
教会に居た時は、何もなかったからなぁ。食事と住む場所だけ与えられて、役目を果たすだけだ。それが当たり前だった。住む場所があって飢えずに済むというのは、恵まれている方なのだと思うけど。
でも、報酬を貰えるのは嬉しいな。こんな気持なのか。頑張った結果がはっきりと形で見えるのは、良いものなのかもしれない。帝国に留まりたいと思える理由が一つ増えた。
村の状況が落ち着き、帝都へ向かう予定が決まった。どうやら、シュテファン様の用意してくれた部隊が帝都まで私を送り届けてくれるらしい。護衛まで付けてくれるらしい。とにかく手厚い待遇をされている気がする。
私は、帝都に行った後は村に戻ってくるつもりだった。受け取った報酬を持って、向こうで買い物をする。生活に役立つ道具や食料を購入して、村に持って帰ってくるつもりだった。
受け取った報酬の一部を、アメリアさんとテリーさんの2人にも渡しておいた。
「どうぞ、自由に使って下さい」
「いやいや、それは出来ないよ。これは君のお金だから」
遠慮する2人に、金貨の入った袋を強引に押し付けた。溜め込んでも仕方ないので、彼らにも有効活用してほしいから。
「生活が苦しかったら気にせず使っていいです。村も大変になるかもしれないので、その時は遠慮せずに」
村は落ち着いたけれど、人が増えてトラブルが起きる可能性もある。私が居ない間に何かあった場合に備えて、ある程度の蓄えがある方が良いだろうと思ったので。
とにかく、この2人には無事で居てほしい。私が村の人に受け入れてもらうためのキッカケになってくれた人達だから。心配しすぎなのかもしれないけれど、用心して悪いことはないはずだから。
私がそう言うと2人は顔を見合わせた後、渋々といった感じで受け取ってくれた。
「……わかった。有難く頂戴しよう。だけど、なるべく無駄遣いしないと約束する」
「貴女が村に帰ってきたら、ちゃんと返すわね」
返す必要はないんだけど。困った時に使ってくれたら、それで十分だと思っているから。
預かるだけで自分たちのために使う様子はないので、それなら2人のために旅先で何か買ってこよう。食べ物や衣料品、装飾品とか、生活用品とか、役立つ物であれば受け取ってくれそうなので。
「では、行ってきます」
ということで、アメリアさんとテリーさんの2人や村人達に見送られて私は帝都に向かって旅立った。
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