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4.言葉に出来ない
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「舞踏会?」
「ああ、そうだ!アウル、お前は最近政務執務と根を詰めすぎだ。だから勝手だとは思うが少しでも気分転換になればと思ってな。陛下にも了承は取ってあるぞ」
「……だが、レイヴン。俺はあまりそういう派手な場は……」
「大丈夫だ。何も片っ端から女性と踊っていけ、などということは言わんぞ。この舞踏会は、アウルの初恋の女性を見つけるためのものだからな」
「っ……!?」
「勝手なことをしているのは充分承知だ。だがな、アウル。待っているだけで恋が叶うわけではないぞ。陛下に頼んで既におふれを出してもらっている。……運がよければ、見つかるはずだ。お前だって、彼女のことを全く分からない訳でもないのだろう?」
「…………ああ。そう……だが、……どうしてお前はここまで親身になってくれるんだ……?」
「ははっ、そんなの決まっているだろう!」
珍しく戸惑うアウルを前にして、レイヴンはからからと快活に笑う。アウルの幸せを一番に願う理由なんて、決まりきっている。
「お前は大切な友人だからな!」
『お前のことが、好きだからだ』
伝えられない本音の、想いだけを乗せて。
心の底から真摯にそう告げたレイヴンに、アウルは固く引き結んでばかりの口元をふっと緩めた。
自分より小さな魔法使いの頭をそっと撫で、ありがとう、と囁く。
「へりくだらず対等に接してくれるお前のような友人がいることは、俺の誇りだ」
その言葉だけで、レイヴンは胸がいっぱいになる。嬉しいけれど、今すぐに泣き出してしまいたい、そんな感情が溢れ出す。
押し付けがましいことばかりしている自覚はあるというのに、誇りだなんて。
潤みそうになる涙腺をぐっと堪え、レイヴンはいつものように明るい華やかな笑顔を向けた。
「魔法使い兼王子の友の名にかけて、必ずお前を幸せにしてやるぞ!」
「ああ、そうだ!アウル、お前は最近政務執務と根を詰めすぎだ。だから勝手だとは思うが少しでも気分転換になればと思ってな。陛下にも了承は取ってあるぞ」
「……だが、レイヴン。俺はあまりそういう派手な場は……」
「大丈夫だ。何も片っ端から女性と踊っていけ、などということは言わんぞ。この舞踏会は、アウルの初恋の女性を見つけるためのものだからな」
「っ……!?」
「勝手なことをしているのは充分承知だ。だがな、アウル。待っているだけで恋が叶うわけではないぞ。陛下に頼んで既におふれを出してもらっている。……運がよければ、見つかるはずだ。お前だって、彼女のことを全く分からない訳でもないのだろう?」
「…………ああ。そう……だが、……どうしてお前はここまで親身になってくれるんだ……?」
「ははっ、そんなの決まっているだろう!」
珍しく戸惑うアウルを前にして、レイヴンはからからと快活に笑う。アウルの幸せを一番に願う理由なんて、決まりきっている。
「お前は大切な友人だからな!」
『お前のことが、好きだからだ』
伝えられない本音の、想いだけを乗せて。
心の底から真摯にそう告げたレイヴンに、アウルは固く引き結んでばかりの口元をふっと緩めた。
自分より小さな魔法使いの頭をそっと撫で、ありがとう、と囁く。
「へりくだらず対等に接してくれるお前のような友人がいることは、俺の誇りだ」
その言葉だけで、レイヴンは胸がいっぱいになる。嬉しいけれど、今すぐに泣き出してしまいたい、そんな感情が溢れ出す。
押し付けがましいことばかりしている自覚はあるというのに、誇りだなんて。
潤みそうになる涙腺をぐっと堪え、レイヴンはいつものように明るい華やかな笑顔を向けた。
「魔法使い兼王子の友の名にかけて、必ずお前を幸せにしてやるぞ!」
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