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全裸トリップ★五里霧中
10:紫苑と理玖の共有
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「──……り……も、二人とも、こんな所で寝ていたら身体痛くなる……というか、もうすぐ閉館時間だから起きるように」
「……ん……ぇ……?」
「ふわぁ…………、……はぁ…………?」
ふっ、と意識が浮上する。
眠たげに目を擦りながら身を起こした二人は、きょろきょろと辺りを見渡し、今いる場所が大学の図書館であることを理解した。
職員がどこか呆れたような苦笑顔で「借りたい本があるのなら早く持って来るように」と言い残してカウンターの方へと去っていく。館内に流れる蛍の光のメロディは、確かに閉館時間を知らせるものだ。
いつの間にか床の上で眠りこけてしまっていたのかと、欠伸をかみ殺しながら立ち上がる。
「……あーぁ、折角良い夢見てたんだけどな」
「む……、理……成海もか? 実は僕も、言葉にするのは恥ずかしいが……すごく良い夢を見たぞ。……あ、そうだ、本を借りなくては…………」
当初の目的を思い出して本棚に手を伸ばした瑠璃川だったが、不意に床にぽつんと落ちている本に気付く。開いた状態で佇むそれには、ぎっしりと黒い文字が並んでいた。
確かこれは、表紙も背表紙も中身も何も書かれてなかった本……だったはずだ。
「……あれ? その本…………」
「ああ、文字が……書いてあるな。もしかすると真っ白な本自体が夢だったのかも……」
そっと拾い上げ、何ともなしにパラパラとページを捲る。
文字ばかりのページが続いたが、最後のページには挿し絵があった。洞窟らしき場所で寄り添う、二人の人間の背中。
瑠璃川と成海は同時に息を飲んだ。自分達は、この二人を、知っている。
『──こうして、結ばれることはない運命だった荒くれ者の盗賊と美しい踊り子は、二匹の妖精によって幸せな未来を手に入れたのでした』
挿し絵の下に結びの言葉として添えられた文章に、瑠璃川と成海は思わず顔を見合わせた。
ばくばくと煩く心臓が鳴り、上手く言葉が出てこない。
「あ、成海、……いや、り、理玖。その……、寮の部屋に戻ったら、夢の話を……聞いても、いいか?」
「奇遇だね、紫苑ちゃん。……俺も、紫苑ちゃんが見た夢の話……聞きたいな」
互いの頬が赤く染まって見えるのは、窓から優しく射し込む夕日のせいだけではないはずである。
幸せが宿った本をぎゅっと抱きしめ、二人は自然と寄り添い合い、ハッピーエンドを迎えるための道を歩き始めた。
「……ん……ぇ……?」
「ふわぁ…………、……はぁ…………?」
ふっ、と意識が浮上する。
眠たげに目を擦りながら身を起こした二人は、きょろきょろと辺りを見渡し、今いる場所が大学の図書館であることを理解した。
職員がどこか呆れたような苦笑顔で「借りたい本があるのなら早く持って来るように」と言い残してカウンターの方へと去っていく。館内に流れる蛍の光のメロディは、確かに閉館時間を知らせるものだ。
いつの間にか床の上で眠りこけてしまっていたのかと、欠伸をかみ殺しながら立ち上がる。
「……あーぁ、折角良い夢見てたんだけどな」
「む……、理……成海もか? 実は僕も、言葉にするのは恥ずかしいが……すごく良い夢を見たぞ。……あ、そうだ、本を借りなくては…………」
当初の目的を思い出して本棚に手を伸ばした瑠璃川だったが、不意に床にぽつんと落ちている本に気付く。開いた状態で佇むそれには、ぎっしりと黒い文字が並んでいた。
確かこれは、表紙も背表紙も中身も何も書かれてなかった本……だったはずだ。
「……あれ? その本…………」
「ああ、文字が……書いてあるな。もしかすると真っ白な本自体が夢だったのかも……」
そっと拾い上げ、何ともなしにパラパラとページを捲る。
文字ばかりのページが続いたが、最後のページには挿し絵があった。洞窟らしき場所で寄り添う、二人の人間の背中。
瑠璃川と成海は同時に息を飲んだ。自分達は、この二人を、知っている。
『──こうして、結ばれることはない運命だった荒くれ者の盗賊と美しい踊り子は、二匹の妖精によって幸せな未来を手に入れたのでした』
挿し絵の下に結びの言葉として添えられた文章に、瑠璃川と成海は思わず顔を見合わせた。
ばくばくと煩く心臓が鳴り、上手く言葉が出てこない。
「あ、成海、……いや、り、理玖。その……、寮の部屋に戻ったら、夢の話を……聞いても、いいか?」
「奇遇だね、紫苑ちゃん。……俺も、紫苑ちゃんが見た夢の話……聞きたいな」
互いの頬が赤く染まって見えるのは、窓から優しく射し込む夕日のせいだけではないはずである。
幸せが宿った本をぎゅっと抱きしめ、二人は自然と寄り添い合い、ハッピーエンドを迎えるための道を歩き始めた。
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