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「それじゃあ始めましょうか」
そう言ってレナが俺の隣に座る。ミシャはレナの隣に椅子を持ってきてそこに座るようだ。
魔法の初歩を教えるのに特別準備は必要ないらしいので、いつも食事をしているテーブルのところで教えてもらうことになっている。
「とりあえず最初は何をすればいいんだ?」
「最初は魔力を感じるところからですね。これができないと魔法を使うことができませんので」
確かに魔法を使うのだから魔力を感じることができなければどうすることもできないよな。
いつの間にかテーブルの反対側に座っていたアンジェが、ほとんどの獣人は魔力を感じることができないから魔法が使えないと教えてくれた。
要はこの段階で躓かなければ、最低限魔法を扱う才能があるということなのだろう。
「ソクサさん、手を出してもらってもいいですか」
「……うん? あ、ああそういうことね。はい」
一瞬、いかがわしい方に想像が膨らんでしまったが、レナが俺の前に手を差し出してきたので、前に手を出してくれという意味だと気づきすぐに手を前に出した。
「大きいですね」
「え?」
「ごめんなさい。何でもないです」
「そ、そうか」
俺の手をとったレナがボソッとつぶやいた言葉を完全に聞き取れてしまったのだが、これは普通に手が大きいという意味でとっていいんだよな? なんかレナの表情からして変な含みがありそうなんだが。
「これから私がソクサさんの手を通して魔力を流していきます」
「あ、ああ」
何事もなかったように話を進めていくレナに少々戸惑うが、これから魔法について教えてもらうのだから、これ以上の追及はしない方がいいだろう。
「それでは行きますね」
レナがそういうと同時に俺の手に触れているレナの手から俺の中に何かが入ってきたのを感じた。
「何か感じましたか?」
「ほんの少しだが何かが流れてこんできているのはわかるな。本当に少しで、気にしていないと気づけそうにない感じではあるが」
「そうですか。ではもう少し流してみますね」
そういうと同時にレナから流れてきていた物が少し増えたような感覚がした。しかし、その直後に今まで流れ込んでいたものがいきなり俺の中に入ってこなくなった。
「ん?」
「どうしましたか?」
「流れが止まっている気がするのだが」
俺がそういうと同時にまた魔力と思われる物が俺の中に入り込んできた。
「お?」
「いったん止めてから再度みたんですが、しっかり感じ取れているみたいですね」
俺の反応を見てレナは「よかったです」と安堵したように小さく息をついた。
「ああ、なるほど」
今一瞬魔力を止めたのは、偶然とか気のせいじゃないかの確認のためか。まあ、思い込みで魔力が流れていると錯覚を起こしてしまう可能性もあるわけだし、必要な確認か。
それと教える側からすれば、全く才能がないと相手に伝えるのもなかなか気を遣うのだろう。俺だってそういう立場になったら言い出し辛いだろうし。
「魔力が感じ取れたらその先に進めていくことになるんですけど、このまま進めても大丈夫ですか? 体の中の魔力を無理やり動かしているので、最初はこれだけでも結構疲れるものなんです……けど、どうやら大丈夫そうですね?」
「ああ、疲れている感じは一切ないな」
この体って本当にほとんど疲れないんだよな。疲れたと感じたのも最初に人に会いに行こうと1日以上走り続けた時くらいか。あの時も精神的に疲れたってだけで肉体的にはそこまでだったし、ガチで肉体的疲労を覚えたことって一度もないんだよなぁ。
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