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なんで君がここに来るの?

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 いつものように管理しているダンジョンの様子をうかがっていると、ダンジョン内に侵入者が入って来たことに気付いた。

 俺が管理しているダンジョンは森の中にあるため、ここに訪れる者はそう多くない。日に1人どころか1週間に1人来ればいい方だ。
 そんな過疎ダンジョンに来るなんて奴は物好きくらいだ。

「さてさて、今回はどんな人が来たのかねぇ」

 前回は小太りのおっさんと女傭兵が1人。どちらも途中でリタイアしたから今回はもう少し先に進めるような人ならいいんだけど。

 そう思いながらダンジョンマスターの権限をつかってダンジョンの中の様子を見る。
 今回入って来た人は結構小柄だ……な――――

「はぁ?」

 ダンジョンの中に入って来た相手を確認して、その相手が誰なのか理解した瞬間、俺は素っ頓狂な声を上げてしまった。

 ぶっちゃけ言う。俺の管理しているダンジョンはいわゆるエロトラップダンジョンと言われるネタダンジョンだ。一部の冒険者に熱狂的な人気を誇るダンジョンだが、好き好んでくるやつは本当に少ない。
 騙されて連れてこられたってのもたまにいるが、本当に好き好んでくるような奴なんてマジでごくごく僅か。

「いや、なんで幼女が1人でこんな場所に来てんだよ」

 今は行ってきたのはあろうことがガチの幼女だった。
 種族的に背の低いドワーフや成長の遅いエルフの可能性も考えたが、見るからに普通の人間。亜人的な特徴は一切見当たらない。

 迷い込んだのか? そもそも森の奥地にあるようなダンジョンなのに?

 騙されてきたのか? 幼女が1人で来れるような場所でもないのに?

 ダンジョンの外を確認しても連れてきたと思われる人物は見当たらない。さらに周囲を探っても人がいるような反応はない。

「マジでどうしてこうなったんだ?」

 はっきり言ってここは幼女が来るような場所ではない。幼女にエッチなのはダメ! 死刑!

 やべぇ、どうしたらいいのかわからない。
 自分が強いと勘違いしたイキり散らかした感じで入って来たのであれば、自業自得ということで適当にあしらってポイなんだが、そういう様子は見られない。確かに幼女らしからぬ強さではあるようだが。

「うん?」

 先に進まれないよう適度に妨害しながら幼女のことを観察していると装備品のうちの1つ、耳飾りに見覚えがあることに気付いた。

「あれって確か、この国の勇者と認められた者だけが身に着けられる物じゃなかったか?」
 
 過去にこのダンジョンに挑戦しに来た勇者も同じ耳飾りを付けていた。となれば、この幼女も正式な勇者、ということになるわけだが。

 いやいや、勇者だからって幼女がこのダンジョンにくる理由なくね? 危険度が高いダンジョンは国の主導で破壊されることはあるが、人里離れたダンジョンをわざわざ壊しに来る理由がない。遠征費だってバカにならないからな。

 過去に来た勇者の関係者が、勇者であるにも関わらずダンジョン踏破できなかったことを隠すためにこの幼女勇者を遣わせた、さすがにありえなさすぎる。そも、そういう理由だったとしても幼女1人だけ突貫させるのは意味不明過ぎる。

 じゃあ、どうしてこの幼女は俺のダンジョンに来たんだ?

「わからんなぁ」

 このまま出て行ってくれるのが理想なんだが、そんな様子はないし。なんか、目的があるっぽい感じなんだよな。意図して先に進もうとしている感じがあるし。

「うぅーむ。…あ、ちょうどいいわ。あれ使おう」

 結構前から存在は知っていたんだが、使うあてがなかったから見るだけで放置していたあれを使って他の意見を聞いてみることにしよう。
 
 おそらく碌な意見は出ないだろうが、たまに鋭いことを言うやつもいるし何かしらの打開案が生まれるかもしれない。

 そう思い立ちダンジョンマスターの権限を使い『ダンジョンマスター専用:相談チャンネル』を目の前に展開した。

 スレのタイトルは、そうだなぁ。『 【悲報】俺のダンジョンに勇者現る(^◇^;)』にしておこうか。危機感はあまり感じられないがキャッチーな方が数は集まるだろ。
 
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