【完結】にゃん!てステキなおんがえし!

ユリーカ

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005: 出会い《アリス》④

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「はいはい。撫ででほしいのね。ホント、甘えん坊さんだね君は」

 そして甘え上手だ。アリスはデレデレと膝の猫を撫でる。綺麗な毛並みは撫でていて手触りがとてもいい。顎の下をくすぐるように掻いてやれば黒猫も気持ちがいいのかうっとりと目を細めている。恍惚とアリスを見上げ鳴き声を上げるようにピンクの口を開けるが鳴き声は聞こえない。

「あ、サイレントニャー?嬉しい!」

 これは猫が甘えているサイン。そして信頼の証だ。ただ拾ってお世話しただけなのに出会ったばかりの自分にこんなに懐いてくれた。なんて僥倖ぎょうこう!なんて役得!アリスはすっかりめろめろだ。感極まって黒猫をぎゅっと抱きしめる。

「ああもうもうもう!可愛い!カッコいい!可愛い!大好き!君を飼っちゃいたいな!でも本当のご主人がいるよね?きっと心配してるわ。明日は君のご主人を探さないと」

 だがそれまではこの子を堪能しよう!
 そうしよう!

 アリスがぎゅうぎゅうに抱き締めて頬擦りしながらなでなでしていれば猫もゴロゴロと擦り寄ってくる。アリスはますます嬉しくてなでなでぎゅーを繰り返していた。
 ケイトがホットミルクを持って部屋にやってきた。めろめろに猫にすりすりする変態アリスに目を細めアリスの足元にミルク皿を置いた。
 一見アリスの一方的な愛情表現に見える。このラブアタックに逃げ惑う猫も過去多くいたが、この黒猫はアリスを嫌がっていない。むしろハートマークが見えるほどに懐いている。大変珍しいがこの猫はアリスと相性がいいのかもしれない。

 一通りのラブアタックが終わり満足げな黒猫がアリスの膝から降りてミルクをクンクンしている。そしてきちんと座り身を屈め上品に舌を出して飲み出した。その気高い様子にアリスはうっとりだ。頬杖をついてその様子を見ている。すでにドロドロのめろめろアリスにケイトがため息を吐いた。

「飼っちゃダメですよ?」
「わかってるわよ」

 珍しく聞き分けのいいアリスにケイトが目を瞠る。いつもならなぜだ!どうしてだ!とここで大暴れである。アリスの目は黒猫に据えたままだ。

「この子きっと飼い猫だもん。迷子になったんだと思うの。明日ご主人を探さなくちゃ。きっと心配してるわ。でもこの子の家が見つかるまでは部屋に置いていいでしょ?」

 部屋に置く?長期滞在は飼っているのと同義では?家が見つからなければ永久的に滞在?

「旦那様にバレます」
「バレないわ!この子あんまり鳴かないし黒くて目立たないし賢いし大丈夫!ご主人が見つかるまで保護するの!預かってるだけ!いいでしょ?飼ってない飼ってない。ね?」
「なぉん」

 なんとも絶妙なタイミングで猫が鳴いた。ミルクを飲んで満足したのかソファにひらりと飛び乗った。そしてアリスの膝に座り込みしっぽで手をぺんぺんする。

「フフッなでなで好きなのね?可愛いなぁ。いいこいいこ」
「にぁ~~~~~」

 ケイトがどこか遠い目でイチャつくアリスと黒猫を見やる。目の前に見えるこの絵にアテレコでセリフをつけるなら「きゃっきゃうふふ」だろうか。そのラブラブぶりに、一人と一匹の周りにお花畑が見えるようだった。

「私は明日から休暇ですがお一人で猫の世話は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫よ!コック長とは仲良しだしミルクも適温に温められる様になったし猫ごはんもストックがあるし。ケイトは安心して休暇を楽しんできてね。あ、行く前にハンスには根回ししといてね。飼ってるんじゃないの、預かってるって」
「はぁ‥私が安心できる様にどうか大人しくしててください」

 アリスは身の回りのことは自分でできるから問題はないだろう。だがアリスの無駄なやる気は時にとんでもない行動力になる。猫絡みは特にすごい。帰ってきたらとんでもないことになっていそうな予感にケイトはぶるりと身震いする。ケイトのこういう予感は得てして的中するのだ。

 不在の間どうか何事もありませんように‥‥

 ケイトは嘆息と共に心中でカラバ家の無事を祈った。
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