【完結】にゃん!てステキなおんがえし!

ユリーカ

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044: 玉座の間の《アリス》②

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「おぉおぉ、確かに"神の手"だ。間違いない」

 黒猫は王冠を被りぺこりとアリスに頭を下げた。

「いやぁ、リオンが世話になっております。よくぞこの息子の手をとってくださった」
「え?父さん?反対しないの?」

 にこにこと笑う猫王にリオンも目を瞠る。

「するものか。お前が選んだ相手だろう?まあこうなることはわかっておったと言うのもあるんだがな」
「こうなる?」
「お前が生まれた時のじいさまの話だよ」
「じいちゃん?」

 アリスも目を瞬かせる。リオンから聞いていたリオンの祖父。すでに亡くなったが歴代最強の猫族の王にしてカラバ家の猫神さまだと聞いてアリスは驚いていたのだ。家に伝わる伝説もただのおとぎ話だと思っていた。まさか実在したとは。アリスの意を悟り猫王も笑顔で頷いた。

「そうじゃ、じいさまはカラバ家には返しきれないほどの大変な恩義がある。そのご令嬢がお前の相手だ。しかも妖精殺しを、“神の手”を持っているという。間違いないだろう」
「間違いない?」
「じいさまの予言だよ」

 猫王はひげをそよがせる。何かを思い出すように懐かしげに目を閉じた。日向ぼっっこで目を閉じている猫にも見えなくない。

「お前が生まれた時にな、じいさまが言ったんだよ。この子はわしの遺伝を受け継いている、とな。確かにお前の行動はじいさまにそっくりだ」
「え?そうなの?」
「飛び出したら戻ってこない。基本穏やかなんだがケンカっ早い。色々抜けているがなぜか大事にはならない運を持っている。そしてその瞳と"ひだまりの手"だ」
「陽の‥手?」

 アリスはリオンの手を思い出していた。リオンの手は暖かいと思った。おひさまの様な手だと思った。アリスの怪我も癒してくれた特別な手だ。

「お前の手は暖かい。触れるものを癒す。じいさまも”陽の手“持ちでな。その黄金の瞳もじいさま譲りだ。お前の瞳と手はじいさまからの覚醒遺伝だろう。お前が生まれてすぐじいさまは天の声を聞いたそうだ。"陽の手"を持つこの子は"神の手"を持つ娘をツガイに選ぶだろう、と」
「「え?ええ?」」

 リオンとアリスは同時に声を上げた。アリスの妖精殺しは妖精にとっては禁忌の兵器。なのにすでにこの展開が予言されていたと?

「妖精殺しは人族に現れる。そうなるとカラバ家に現れる可能性が高いと思っていたが。じいさまの言っていた通りだったな」
「え?私の家ですか?!」

 いきなりカラバの名が出てアリスが面食らう。これも予想外の展開だ。

「ああ、カラバ家は犬猫好きな一族で人族の中でもなぜか特に妖精の血が濃い。妖精の血は人族の血で薄まらないからな。子孫でも能力は変わらない。それゆえにじいさまともご縁があったようだ」
「ご縁って?じいちゃんの?」
「カラバから嫁をもらっただろう?」
「嫁?え?」
「ばあさまだよ」

 今度はリオンが絶句する。猫王がはて?と首を傾げた。

「おや?知らなかったか?」
「え?ばあちゃん人族だったの?黒猫だったじゃん!」
「それはじいさまと同化が進んでいたからな。半人半精だ。人の姿でもお前を撫でていたぞ?」
「聞いてないよ!なんでそんな大事なこと!」
「はて?おかしいの。お前も散々ばあさまに懐いていたから覚えていると思っていたんだが。ばあさまも"神の手"持ちだ」
「ええ?!ばあちゃんって妖精殺しだったの?!」

 リオンが再び絶句する。目を閉じて懸命に記憶を探っている。

「おかしいなぁ、全ッ然覚えてない。なんでだろ?あ、だからありすの手があんなに懐かしく思ったのか。え?じゃあ国が滅びかけたと言うのは?」
「ばあさまの手が心地よくてな、城の猫が全員ばあさまに懐いてしまってな。機能停止に陥った。これはいかんとばあさまがなでなでを自重して国は持ち直したんだ」
「国を滅ぼしかけたの?!ばあちゃんのなでなでどんだけ?!」

 なでなでで猫の国を滅ぼしかけた。猫まみれになってメロメロに猫を撫でまくる自分のその様子を想像しほんわかしていたアリスはその話でゾッとして我に返った。これは他人事ではない。気をつけないと。でなければ無自覚に猫を殺しまくりそうだ。別の意味でだが。

「ばあさまも大の猫好きでな。猫という猫を撫で回しておった。そのせいで猫族の国が混乱したから撫でるのはじいさまと子供たちだけと決めたんだよ」
「じゃあ全然兵器じゃないじゃん!!」
「ん?誰が兵器と言った?どこぞの都市伝説を聞き齧ったか?」

 リオンの絶叫に猫王がきょとんとツっこんだ。
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