【完結】にゃん!てステキなおんがえし!

ユリーカ

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045: 玉座の間の《アリス》③

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 一方アリスも信じられず掠れた声を出した。そういうことならこの猫王は父の従兄弟になる。

「りおん君のおばあさまがカラバ家から‥?私たちは同士ということでしょうか?」
「猫族の国と人族の国は時間の流れが違うでな。猫族の国の方が流れが遅い。妖精の方が寿命も長い。ばあさまはお嬢さんのご先祖にあたるのではないかな。ひょっとして言い伝えられてはいなかったかな?」
「私のご先祖が猫神さまのおかげでお姫様と結婚したと言う話でしたら」
「おぅおぅ、そのご先祖の妹御がばあさまだよ」

 それは随分大昔ということになる。あの話は何代前のご先祖の話だったか。

「あー!だからじいちゃんあんなにカラバ家に恩返ししてたの?」

 さらに食いつくリオンに猫王は声を立てて笑う。

「そうなるかの。大変な宝を賜った恩返しと言っていたが、実際は気まぐれで飽きっぽいカラバ家の行く末が心配でつい手を貸したとじいさまは笑っておったよ。なんかほっとけないってな」

 茫然とするリオンがはたと我に返った。

「え?じゃあボク、ありすとツガイになっていいの?追放は?」
「ああ、問題ない。そのつもりで随分前から準備しておった。さっきから追放とはなんの話じゃ?」
「いやだってありすに秘密がバレて‥もう!教えてくれたらよかったのに!すッごく心配しちゃったよ!」
「リオンには教えてはならんとじいさまからの厳命でな。意識したらダメになると言われたよ」

 リオンと結婚できる。妖精殺し持ちの自分が。リオンの追放もない。
 目を瞠りリオンを見ればリオンも嬉しそうに微笑んでくれた。アリスは思わずその腕に飛び込んだ。

「すごい!私、りおん君と結婚できるの?追放もないのね?とっても嬉しい!」
「うん!ボクもすごく嬉しい!」

 笑顔の猫王が玉座に座り直し傍の黒猫ルカに話しかけた。

「ところでじいさまは今どちらだったかな?」
「人族の国にいると報告があがっております」
「ばあさまが猫好きだからなぁ。ということはカラバか。報告は‥不要かの。きっとリオンとお嬢さんを見守っておられただろうし」
「そうですね」

 二人の会話にリオンが耳をにゅにゅっとおったてて食いついた。

「え?じいちゃん?なんで?死んだんだよね?」
「これ、勝手に死なすでない。どうしてそうなった?じいさまもばあさまも隠居して城を出たが悠々自適に旅しとる。二人とも殺しても死なないくらいピンピンしとるぞ?どう勘違いしたんだ?」

 流石の猫王も顔を顰めリオンを嗜める。ルカも不思議顔でリオンを見た。

「猫族歴代最強の王リクワードがそう簡単に死ぬわけないだろうに。お前、じいさまに会っただろう?お前の体にじいさまの気配がした。ばあさまと一緒にカラバ家の近くにいたはずだ」
「じいちゃんに会って‥?」
「カラバ家の‥近くに‥?」

 ルカの言葉にリオンとアリスが茫然と呟く。"ひだまりの手"を持つ猫族最強の王、リオンの祖父だから歳はなかなかにいっているだろう。夫婦で猫好き、カラバ家の近くにいる、とんでもなく強い。

 リオンとアリスが顔を見合わせる。

「「あ———ッ」」

 絶叫する二人に猫王とルカがやれやれと息を吐いた。

「これはまたじいさまの悪戯でしょうか」
「間違いなくそうだろうな。何か術を使ったんだろう。またいつもの悪い癖だ」

 猫王がふぅとため息を吐いた。足踏みをして慌てるリオンが声を上げる。アリスの手を取った。

「父さん!ボクたち用が出来たんでちょっと人族の国に行ってきます!」
「それほど急ぐこともなかろうに。今晩は盛大に歓迎の宴を‥」
「私、小さい頃からお二人にたくさん可愛がってもらいました!いなくなっちゃったら困ってしまいます!」
「大丈夫です。まだ二人ともカラバに残っていると思いますよ。悪戯とは相手の反応を見るまでが醍醐味でしょうから」

 冷静なルカの解析に猫王は笑って手を振った。

「いぃいぃ、会いたいのだろう?行ってきなさい。宴は戻ってきてからだ。ついでに二人を連れて帰ってきてくれるか?ルカとリオンの結婚式には参列いただかなくてはならないからな」
「わかった!絶対連れてくるから!」
「そうそう、カラバ男爵殿も式にお招きしたいので話を通しておいておくれ。国賓でお迎えしよう」
「はい!ありがとうございます!」

 猫好きの父を思い浮かべてアリスは笑って返事をする。大好きな伝説の猫神さまがリオンの祖父で実は使用人としてカラバ家で働いていたと知ったら父はどんな顔をするだろうか?

 なるほど、悪戯って面白いわ

 リオンに手を引かれ玉座の間を退いたアリスはくすりと忍び笑いをこぼした。
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