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本編
No,21 ※R15
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クルリと姿勢を入れ替えられて。
寝椅子に寝かされ、そっと覆いかぶされて。
……陛下が…ヴィオが、あたしの表情を見つめてくる……
あたしは眼を閉じたい誘惑に耐えた。
陛下の容貌も、水色の瞳もすべて覚えていたい……
あたしの海馬はあんまり優秀ではないかも知れないけれど、ヴィオの細かな表情の変化も深い海の色の瞳のすべてを脳に焼き付けたい。
敵国にいても、決して忘れないように―――
あたしのそんな決心を知ってか知らずか、ヴィオはあたしの髪を梳きながら瞳を伏せて頬に唇で優しく触れた。何回も、何回も。頬に、額に、瞼に。顔中にキスの雨を降らせた。
そうして最後に、口唇に。
あたしの唇をついばむように、何度も何度も唇を重ねた。
優しく温かで……穏やかなキス。
勿論、喪女のファーストキスであり、セカンドキスで。
その後は数える努力を早々に放棄して。
大好きな男性とのキスの雨に溺れた。
柔らかな感触にうっとりする反面、やはり少し物足りない。
あたしは耳年増だ(もう、若くないけどね/苦笑)。
ラノベの仕事をしてたから、その手の知識だけは人一倍だ。
もっともっと激しいキスが欲しい。
この身体に、ヴィオを刻み付けて欲しい。
―――皇国を離れ、永遠に別れる前に。
ヴィオの肩に置いていた両手を首にまわし、かき抱く。
これが最後だと思えば、ねだるような行為も恥ずかしくなんかない。
最初で最後なのだから、今生の名残りに抱いて欲しい。
そんな想いを込めて精一杯誘ってみたのだけど。
ヴィオはそれ以上先へ進んでくれない。
うん、性的魅力の欠如は如何ともし難い。
今だけは、ビヤ樽王の寵姫さん達の魅力が切実に欲しいところだ。
「…ああ、そんな表情をしないで…我慢出来なくなる…」
宥めるようなキスがいっそ腹立たしい。
「…我慢なんかしなくていいのに…」
拗ねても可愛いくなんかないだろうけど、ついついぼやきが出てしまう。
「…今抱いてしまったら、私は自分を抑えられなくなる…
…抱いて抱いて…抱き潰してしまうだろう…」
何やらそこはかとなく、危ない発言を聞いた気がするが、ここは華麗にスルーだ!
「…それに…」
前髪をかき上げて、ヴィオはあたしを抱き起こした。
……それが未練たっぷりに見えたのは、切ない願望故だろうか。
「…ペッレグリーノとの問題もある…そうだろう…?」
……うぅ…っ、……忘れていたかった事を…っ
さっきまでの色っぽい雰囲気が噓だったかのように霧散してしもうた。
膝抱っこはしてるけどね!
陛下はあたしの瞳を見て、きっぱりと言い切った。
「ハッキリ言おう。もうナツキは、エーロ王の下に行かなくて良い。」
と。
寝椅子に寝かされ、そっと覆いかぶされて。
……陛下が…ヴィオが、あたしの表情を見つめてくる……
あたしは眼を閉じたい誘惑に耐えた。
陛下の容貌も、水色の瞳もすべて覚えていたい……
あたしの海馬はあんまり優秀ではないかも知れないけれど、ヴィオの細かな表情の変化も深い海の色の瞳のすべてを脳に焼き付けたい。
敵国にいても、決して忘れないように―――
あたしのそんな決心を知ってか知らずか、ヴィオはあたしの髪を梳きながら瞳を伏せて頬に唇で優しく触れた。何回も、何回も。頬に、額に、瞼に。顔中にキスの雨を降らせた。
そうして最後に、口唇に。
あたしの唇をついばむように、何度も何度も唇を重ねた。
優しく温かで……穏やかなキス。
勿論、喪女のファーストキスであり、セカンドキスで。
その後は数える努力を早々に放棄して。
大好きな男性とのキスの雨に溺れた。
柔らかな感触にうっとりする反面、やはり少し物足りない。
あたしは耳年増だ(もう、若くないけどね/苦笑)。
ラノベの仕事をしてたから、その手の知識だけは人一倍だ。
もっともっと激しいキスが欲しい。
この身体に、ヴィオを刻み付けて欲しい。
―――皇国を離れ、永遠に別れる前に。
ヴィオの肩に置いていた両手を首にまわし、かき抱く。
これが最後だと思えば、ねだるような行為も恥ずかしくなんかない。
最初で最後なのだから、今生の名残りに抱いて欲しい。
そんな想いを込めて精一杯誘ってみたのだけど。
ヴィオはそれ以上先へ進んでくれない。
うん、性的魅力の欠如は如何ともし難い。
今だけは、ビヤ樽王の寵姫さん達の魅力が切実に欲しいところだ。
「…ああ、そんな表情をしないで…我慢出来なくなる…」
宥めるようなキスがいっそ腹立たしい。
「…我慢なんかしなくていいのに…」
拗ねても可愛いくなんかないだろうけど、ついついぼやきが出てしまう。
「…今抱いてしまったら、私は自分を抑えられなくなる…
…抱いて抱いて…抱き潰してしまうだろう…」
何やらそこはかとなく、危ない発言を聞いた気がするが、ここは華麗にスルーだ!
「…それに…」
前髪をかき上げて、ヴィオはあたしを抱き起こした。
……それが未練たっぷりに見えたのは、切ない願望故だろうか。
「…ペッレグリーノとの問題もある…そうだろう…?」
……うぅ…っ、……忘れていたかった事を…っ
さっきまでの色っぽい雰囲気が噓だったかのように霧散してしもうた。
膝抱っこはしてるけどね!
陛下はあたしの瞳を見て、きっぱりと言い切った。
「ハッキリ言おう。もうナツキは、エーロ王の下に行かなくて良い。」
と。
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