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第四章 幻想的で恐ろしい深海
◇25 真夏に欲しい一品
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私が異世界に来てから、色々な魔道具を使う事になった。無限シリーズが多いし、そもそもこのチートな船自体が魔道具らしいし。もしかして、また出てくるんじゃ、と思っていたある日の事。
私は、冷蔵庫を疑ってしまった。
______________
アイテム:魔法の紙パック
液体を入れるための紙パック
少量の液体を入れ3日間冷蔵保存すると、液体が増える。
量は無限大、賞味期限なし。
耐久性はガラス並み。
雑菌などの心配なし。
ただし、要冷蔵。
______________
「今度はこれか」
冷蔵庫を開けると、白い紙パックがあった。しかも3つ。空いていたドアポケットに綺麗に収まってた。
こんなの昨日までなかったよね?
けどさ、悪いんだけど……毎回毎回思うんだけど、このデザインはどうなのよ。白に金色の装飾ってさ、一体何を目指してるの? あ、いや、文句を言ってるわけじゃないから。ありがたく使わせていただきます。
持ってみると、確かに紙パックだ。けれど、システムウィンドウに書いてある通り、私のよく知っているぺらぺらのものじゃなく、ガラス並みに硬い。でもガラスみたいな重さはない。不思議だ。さすが魔道具。
とりあえず、ヴィンスを呼んだ。
「なんだよこれ、まさかの無限シリーズか。それも3つ」
「うん」
「とりあえず、賞味期限が短いものを入れるか。とりあえず牛乳と生クリーム」
一つ残っちゃったけど……ビール、いける? いや、開けたらしゅわしゅわなくなっちゃうよね。無理か~。大切に飲むしかないな。残念。
「流石に瓶からこの小さな口に注ぐのは無理だろ」
「確かに……あ、そういえば」
キッチンの棚に漏斗あったよね。えぇと……あった!
長い口を紙パックの口に差し込み、牛乳と生クリームをそれぞれ流し込み、冷蔵庫に大人しく入ってもらった。
たったこれだけで無限に手に入るのかは全く分からないけれど、そもそも魔道具自体が得体の知れないものばかりだから考えても無駄だと判断して何も考えない事にした。
まぁ3日後まで待つことにしよう。
今までもこの船の魔法道具達は奇跡(?)を起こしてきたのだから上手くいくとは思う。もうすでに無限シリーズというものが船に存在している事だしね。この前も液体調味料に粉末調味料なんてものもあったからきっと大丈夫だ。
「じゃあ、残った材料でアイス作る?」
「今から?」
「だって賞味期限ってものがあるし。口開けちゃったら早く食べなきゃでしょ」
それに、これから夏が来る。今は深海にいるけれど、もしかしたらすぐに海上に戻れるかもしれない。なら、その時食べるアイスがあったほうがいいよね。
「じゃあ手伝う」
「味見を?」
「そっちも」
味見もちゃんとやるんだ。まぁでも味見も大切だよね。
じゃあ作りますよ~!
私達はまず、手分けして必要な材料をキッチンの机に並べた。あと、計りなどの道具も。
「卵黄だけなのか」
「うん、卵白は使わないよ」
卵の殻で、卵黄を右に左にと行ったり来たりして卵白を下にあるボウルに落とし、隣に準備していたボウルに卵黄を。いっぱい作るから結構卵を割る事になるだけれど、いつも緊張する。卵黄が割れちゃったらどうしようって思うとドキドキする。
「すごいな」
「話しかけないで、今めっちゃ集中してるから」
「じゃあ俺もやる」
「割っちゃったらお昼ご飯は卵かけご飯ね」
「やってやろうじゃん」
結果。お昼ご飯はTKGではなくパスタになった。トマトソースのパスタ。
手先が器用すぎてびっくりした。羨ましい。私も割らなかったけれど。
「でも、そろそろパスタもなくなっちゃうんだよね」
「作れないのか」
「作れるっちゃ作れるけど、麺じゃないやつになっちゃう」
「麺じゃないやつ?」
「ちょうちょの形とか、これくらいの筒状のやつとか、あとらせん状になってるやつとか」
「へぇ、面白いな。今度やってみよ」
「うん」
今の主食は主に米とパン。けれど、お米は一人分の量を集めるのにだいぶ時間がかかるからパンが多いかな。もっと植えたい気持ちはあるんだけど、畑がいっぱいになっちゃったから難しい。
だから、パスタもいっぱい作れるようにしなきゃ。冷凍って出来るのかな? 後で調べてみよう。
「さ、あとは冷凍庫に入れるだけ」
「へぇ、こんなに簡単なら俺でも作れそうだな。卵黄マスターしたしな」
「一発で成功させられるなんて手先が器用すぎ!」
本当に器用過ぎて羨ましいくらいだ。私が教えてるはずなのに、いとも簡単にマスターするなんてずる過ぎる!!
「その器用さ私にも分けて」
「ん~、それは無理だから代わりに頼ってくれると嬉しいんだけど?」
ヴィンスがにやにやと近づいてきて、顔を覗いてきた。気が付けば腰に腕を回されていた。私がこういうのに弱い事を知っていて、恥ずかしがっているのを面白がっているのがだいぶムカつく。
でも、この回避方法を持ち合わせていないからどうすることも出来ない。だいぶ悔しい。
こんなにイケメンで器用すぎるなんてチートすぎる。ずるいわ、ずるすぎるわ……!
「むぅ……」
「……可愛い」
ぼそりと一言呟くと、あろうことかキスをしてきたのだ。いきなりされていろいろと悔しい気もするけれど、このイケメンに勝てる気が全くしない。しかも、こうもご満悦な顔をされるとこっちが恥ずかしくなってくる。
「……お昼ご飯」
「あ、もうそんな時間か?」
さっさと離せ、と視線で訴えると意外とあっさり離れてくれた。火照った顔を隠すように材料を取りにキッチンから逃げた。
……マジで私、ダメかもしれない。こんな事、初めてすぎていろいろと混乱しそう。
そうして、甘い匂いで充満していたキッチンが美味しそうなトマトソースの匂いに変わったのである。
私は、冷蔵庫を疑ってしまった。
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アイテム:魔法の紙パック
液体を入れるための紙パック
少量の液体を入れ3日間冷蔵保存すると、液体が増える。
量は無限大、賞味期限なし。
耐久性はガラス並み。
雑菌などの心配なし。
ただし、要冷蔵。
______________
「今度はこれか」
冷蔵庫を開けると、白い紙パックがあった。しかも3つ。空いていたドアポケットに綺麗に収まってた。
こんなの昨日までなかったよね?
けどさ、悪いんだけど……毎回毎回思うんだけど、このデザインはどうなのよ。白に金色の装飾ってさ、一体何を目指してるの? あ、いや、文句を言ってるわけじゃないから。ありがたく使わせていただきます。
持ってみると、確かに紙パックだ。けれど、システムウィンドウに書いてある通り、私のよく知っているぺらぺらのものじゃなく、ガラス並みに硬い。でもガラスみたいな重さはない。不思議だ。さすが魔道具。
とりあえず、ヴィンスを呼んだ。
「なんだよこれ、まさかの無限シリーズか。それも3つ」
「うん」
「とりあえず、賞味期限が短いものを入れるか。とりあえず牛乳と生クリーム」
一つ残っちゃったけど……ビール、いける? いや、開けたらしゅわしゅわなくなっちゃうよね。無理か~。大切に飲むしかないな。残念。
「流石に瓶からこの小さな口に注ぐのは無理だろ」
「確かに……あ、そういえば」
キッチンの棚に漏斗あったよね。えぇと……あった!
長い口を紙パックの口に差し込み、牛乳と生クリームをそれぞれ流し込み、冷蔵庫に大人しく入ってもらった。
たったこれだけで無限に手に入るのかは全く分からないけれど、そもそも魔道具自体が得体の知れないものばかりだから考えても無駄だと判断して何も考えない事にした。
まぁ3日後まで待つことにしよう。
今までもこの船の魔法道具達は奇跡(?)を起こしてきたのだから上手くいくとは思う。もうすでに無限シリーズというものが船に存在している事だしね。この前も液体調味料に粉末調味料なんてものもあったからきっと大丈夫だ。
「じゃあ、残った材料でアイス作る?」
「今から?」
「だって賞味期限ってものがあるし。口開けちゃったら早く食べなきゃでしょ」
それに、これから夏が来る。今は深海にいるけれど、もしかしたらすぐに海上に戻れるかもしれない。なら、その時食べるアイスがあったほうがいいよね。
「じゃあ手伝う」
「味見を?」
「そっちも」
味見もちゃんとやるんだ。まぁでも味見も大切だよね。
じゃあ作りますよ~!
私達はまず、手分けして必要な材料をキッチンの机に並べた。あと、計りなどの道具も。
「卵黄だけなのか」
「うん、卵白は使わないよ」
卵の殻で、卵黄を右に左にと行ったり来たりして卵白を下にあるボウルに落とし、隣に準備していたボウルに卵黄を。いっぱい作るから結構卵を割る事になるだけれど、いつも緊張する。卵黄が割れちゃったらどうしようって思うとドキドキする。
「すごいな」
「話しかけないで、今めっちゃ集中してるから」
「じゃあ俺もやる」
「割っちゃったらお昼ご飯は卵かけご飯ね」
「やってやろうじゃん」
結果。お昼ご飯はTKGではなくパスタになった。トマトソースのパスタ。
手先が器用すぎてびっくりした。羨ましい。私も割らなかったけれど。
「でも、そろそろパスタもなくなっちゃうんだよね」
「作れないのか」
「作れるっちゃ作れるけど、麺じゃないやつになっちゃう」
「麺じゃないやつ?」
「ちょうちょの形とか、これくらいの筒状のやつとか、あとらせん状になってるやつとか」
「へぇ、面白いな。今度やってみよ」
「うん」
今の主食は主に米とパン。けれど、お米は一人分の量を集めるのにだいぶ時間がかかるからパンが多いかな。もっと植えたい気持ちはあるんだけど、畑がいっぱいになっちゃったから難しい。
だから、パスタもいっぱい作れるようにしなきゃ。冷凍って出来るのかな? 後で調べてみよう。
「さ、あとは冷凍庫に入れるだけ」
「へぇ、こんなに簡単なら俺でも作れそうだな。卵黄マスターしたしな」
「一発で成功させられるなんて手先が器用すぎ!」
本当に器用過ぎて羨ましいくらいだ。私が教えてるはずなのに、いとも簡単にマスターするなんてずる過ぎる!!
「その器用さ私にも分けて」
「ん~、それは無理だから代わりに頼ってくれると嬉しいんだけど?」
ヴィンスがにやにやと近づいてきて、顔を覗いてきた。気が付けば腰に腕を回されていた。私がこういうのに弱い事を知っていて、恥ずかしがっているのを面白がっているのがだいぶムカつく。
でも、この回避方法を持ち合わせていないからどうすることも出来ない。だいぶ悔しい。
こんなにイケメンで器用すぎるなんてチートすぎる。ずるいわ、ずるすぎるわ……!
「むぅ……」
「……可愛い」
ぼそりと一言呟くと、あろうことかキスをしてきたのだ。いきなりされていろいろと悔しい気もするけれど、このイケメンに勝てる気が全くしない。しかも、こうもご満悦な顔をされるとこっちが恥ずかしくなってくる。
「……お昼ご飯」
「あ、もうそんな時間か?」
さっさと離せ、と視線で訴えると意外とあっさり離れてくれた。火照った顔を隠すように材料を取りにキッチンから逃げた。
……マジで私、ダメかもしれない。こんな事、初めてすぎていろいろと混乱しそう。
そうして、甘い匂いで充満していたキッチンが美味しそうなトマトソースの匂いに変わったのである。
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