文太と真堂丸

だかずお

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~ 廻る時代 ~

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今は、狼泊との決闘の翌日の朝
僕は何をした訳でもないのに、どっと疲れきっていた。

これから何度も真堂丸の戦いを見ることになるのだろうか?
僕は決闘と云うものは、見届ける側も異常なほどの精神的、肉体的疲労がある事を知った。

生と死

その瞬間、生きる死ぬの狭間を垣間見てる奇妙な気分
目の前にひろがるその光景は、常に生と死が表裏一体、背中合わせであるということを、まざまざと見せつける瞬間でもあった。
生と死、まさに斬っても斬れない関係

大切な友のそれを、後何度見届ければいいのだろう。
それはとてつもなく恐ろしく、不安でもあり、震え上がる様な事だった。


昨日の帰り道の事

「兄貴、まさか兄貴があの真堂丸だったなんて 正直驚きやした」

「ですが、兄貴ほどの名、知られたら、たくさんの奴らが自分の名声欲しさに狙いに来るはずです、面倒だと思うし、この街じゃあまり名乗らないほうがいい、もちろん自分も黙っておきますんで」

「確かにそうですよね、僕はこれから真さんって呼ぼうかな、なんちゃってははっ」文太はチラッと真堂丸を見た。

何の反応もなく、そそくさと歩いていた真堂丸

僕は何だか恥ずかしくなり「待ってくださいよ」と後を追っかけた。


と言う訳で、太一さんは黙っていてくれる事になった。
まあ僕に「お願いです、道来さんにだけは言いたい」と懇願してたんですが、ふふっ 思い返して笑ってしまった。

何だか知り合いが沢山出来て嬉しくもある。
僕も何か仕事を探して、おっかあ達にお金を送らなきゃ。

今日は何か探そう

やっぱり僕には刀は似合わない気がして。
お金は沢山もらえて良いと思ったけど、今は他のことをやってみるのも良いかなと考えていた。
何より、お金が手に入ったって僕が死んだらおっかあは一番悲しむだろう。

さて、街に出てなにか探すか 太一さんに聞くのも良いかもな

真堂丸はまだ寝ているようだった

僕は少し疑問にも思った。
彼は一体何か目的があるんだろうか?
何か考えがあるんだろうか?
全く謎だった。
そもそも、僕とずっと一緒に居てくれるんだろうか?
普段何してるんだろうか?

やはり考えても、まったく謎である。

外に出て歩いていると、道来さんが包帯を身体に巻き歩いていた。

「身体は大丈夫ですか?」

「こないだは本当にありがとう、助かった」

「いえいえ、僕は何もしてませんから」

「文太君がいなきゃ私達は死んでいた礼を言う、それに話は聞いた、真堂丸だったんだな彼は?」

「はいっ」

「もちろん誰にも言わない、ふっ、狼泊を倒したなんて言ったらそれこそ街中の噂になることだが、あいつにとってそんなことには興味がないんだな、名声欲しさに退治に出かけこっぴどく負けた自分が少し恥ずかしいよ」

「あはは」素直な道来さんに僕は微笑む

僕は道来さんに、さよならして、街を歩いてる最中、壁に色んな情報が貼ってあったので、仕事はないか探して見てみることにした。

「賃金は安いけど意外に沢山あるんだなぁ ひぃいっ 斬られた死体を片付ける仕事なんてのもある」

パッと横に書かれていた、お尋ね者の立て札に目がいった
「沢山いるんだなぁ」
ひとつ気になる人達が目に入る。
大抵は一人の顔で罪状が書かれているのに対して、彼らは三人組だった。頭はみんな坊主で黒装束で描かれていた こんな人達もいるんだ。

おっと仕事、仕事
僕はいくつかの住所を紙に書きうつす。

人が平気で斬り殺される時代
おたずねものになる人間は、その度が行きすぎてる連中
どちらにしても人の命を奪うことに成り立ち、その上に出来上がってる世界に違和感を感じた。
そしてため息をつく

人が互いに殺しあう
人々は利益を求め 騙し合う
人々がお互い搾取しつづける
同じ人間同士で支配し支配される関係を築く
この末路は目に見える様だった。

これもまた人間の姿

でも、僕はそうでない人間も沢山知っている 僕の生まれ育った村では、村人がお互い助け合い、支えあい、愛し合い、仲良く暮らしている。
自然や草花にだって敬意を示し大切にする。
そういう人達だっているんだ。
沢山、沢山居るんだ。本当はそっちのほうがよっぽど多いはずなんだ。

自分の力を実感出来ない人間達が、力を感じたく人々や外を支配することによって力を感じたいのかも知れない……
それは終わり尽きる事のない渇望の世界

どうか世界が、人々が、安心して暮らせる世界になったらいい

僕は目の前の情報からつくりだされた。
世界に、これ以上、かき回されたくなくなり、そこを後にした。

家にいったん戻ろう

僕は、そこで真堂丸から意外な話を提案されることになる。
それは思ってもみない事

そんな中、世界は動いていた。
僕らの知らぬところ

この世界の闇は大帝国として着実に勢力を伸ばし始めていた。
彼らは、人々を力と恐怖で支配する
すべての国や、人間を自分たちのものにしようとする、ひとつの一大勢力を築き始めていた。
彼らの言う統治、それは力による支配、彼らは今や国を掌握しようとしている。

それとは別に、いたる所に腕の立つ連中がいた。

一般的な力の人間が束になろうと太刀打ち出来る様な域ではない程の力を持つ連中
彼らもまた各々の名声、力を誇示したく 暴れまわっていた。

世界は混沌の中

人々は何も出来ず、望まない渦に巻き込まれていることも知らず、日々の日常を一生懸命生きている
世界はこのまま何も変わらないのだろうか?
それは誰にも分からない

僕文太は家路を歩いている
見上げる空は綺麗な海のように、曇りなく澄んでいた。



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