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07.婚約者とツガイと私
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マルスと新たな使者との間に話し合い(?)が行われている時。 私は母と2人暮らしていた家の手入れに戻っていた。
久々の休みだ。
マルスと婚約し、エイマーズ領の管理を行うようになってから、まともに帰る事すらできなかった家だ……懐かしい……。
大地の民と比べ細く、力のない身体で、私は家の周りの草を刈っていた。 空を見上げれば、空は広く青い。 日差しは程よく雲に隠れ、風は心地よく頬を撫でる。
気持ちの良い日……。
なんて、穏やかを演じているが、私の心の中は荒れていた……。 今までマルスが何人もの女性と関わりを持ったとしても、それだけの関係。 強い子を残すための本能で行動しているに過ぎず、私だけは何時だって特別だったから。
だから、耐えられた。
もううんざりだ!!
荒ぶる気持ちを抑えるために、私は草を刈っていた……。
時は少し遡る。
キャノが領地管理局に、マルスにエスコートされ現れた日。 何時もは訪れる事のない資料室に訪れ、ソファに座るマルスの膝の上でキャノは身を任せ甘えて見せた。 口づけを交わし合いこそこそと話し、そして笑う。
「お可哀そうなマルス様。 あのような貧相な娘が婚約者だなんて」
「これも、当主としての役目と思えば仕方のない事。 だが……愛しても居ない娘を傍らに置いていた日々は、今を思えばまるで砂のような日々だった」
「そのようにおっしゃっては可哀そうですわ。 よく、エイマーズ領のために働いてくださったのでしょう?」
「さぁ、どうなのか……。 規則規則と軟弱な中庸の民に言われ辛かったとキャノは言っていただろう? エリスも同じだ。 なんの力もない癖に、中庸の民に従え、怒らせるな。 ルールを守れ。 大地の民に領地を与えてくれた皇帝陛下に感謝しろ。 と、何時も口うるさく言ってくる」
「場所は違えど、私達は同じ苦しみを味わってきたのですね」
なんて言いながら、お互いを慰めるように口づけを目の前でするのだ。
「貴方、気が利かない方ね。 領主であるマルス様とその運命のツガイである私に菓子と茶ぐらいだせませんの?!」
から、始まり……。
皇都から屋敷にデザイナーを招き、宝石商を招き、服、靴、装飾品を注文し、ビューティーアドバイザーなんて人を呼び寄せ、良く分からない液体に化粧品を購入、マッサージを受けていた。
皇都から持ち帰ってきた金目の物を売り払う等と言う話を口にしようなら、頬を打たれた。
「大地の民の利益になるならと、皇都の息苦しさに何年も耐え苦しんできた私を労わろうと言う気はないの!!」
肉食獣ではないとは言え、手首にスナップをきかせた獣人の力だ。 私はぶっ飛び、唇を切り血を流し、壁にぶつかった。
「マルス……」
理不尽な暴力。
私のために怒ってよと思ったけれど……マルスが向けるのは敵意ある言葉
「お前が、心無い事を言ってキャノを傷つけたからだろう、自業自得だ……」
冷ややかな視線に胃が冷たくなった気がした。
それで、何かも嫌になり、仕事を放棄し帰ろうかと思えば、
「いい加減な奴め、仕事を放棄する気か!! 何をやっても中途半端、何一つことをなせぬ、はやくキャノを皇都のしがらみから解放しろ!! この役立たずが!!」
なんて怒鳴られた。
まぁ、そんな日々も長くは続かなかったのですけどね……。
「ツガイ様費用を設けよ」
「はぁ、馬鹿なの?」
今までなら、軽く流されていた言葉が、胸倉をつかまれ威嚇された。 肉食獣の因子を持つ一族最強とされた男に。
「お前は、本当に役立たずだな。 少し、頭を冷やし反省するといい……シバラク、経理はキャノに引き受けてもらう」
そう言って追い出された訳だ。
しばらくと言わず永遠に追い出して欲しいものだ……。
愛どころか、幼馴染の情すら消え失せていた。
「あぁ、とても良い天気だわ……」
「エリス様!! 皇都の使者どのとマルス様が交渉の上……決闘に!!」
そう叫びながら、馬の因子を持つ大地の民が獣形態で走ってきた。
私は聞こえないふりをし呟いた。
「あぁ、とても、良い天気だわ……」
久々の休みだ。
マルスと婚約し、エイマーズ領の管理を行うようになってから、まともに帰る事すらできなかった家だ……懐かしい……。
大地の民と比べ細く、力のない身体で、私は家の周りの草を刈っていた。 空を見上げれば、空は広く青い。 日差しは程よく雲に隠れ、風は心地よく頬を撫でる。
気持ちの良い日……。
なんて、穏やかを演じているが、私の心の中は荒れていた……。 今までマルスが何人もの女性と関わりを持ったとしても、それだけの関係。 強い子を残すための本能で行動しているに過ぎず、私だけは何時だって特別だったから。
だから、耐えられた。
もううんざりだ!!
荒ぶる気持ちを抑えるために、私は草を刈っていた……。
時は少し遡る。
キャノが領地管理局に、マルスにエスコートされ現れた日。 何時もは訪れる事のない資料室に訪れ、ソファに座るマルスの膝の上でキャノは身を任せ甘えて見せた。 口づけを交わし合いこそこそと話し、そして笑う。
「お可哀そうなマルス様。 あのような貧相な娘が婚約者だなんて」
「これも、当主としての役目と思えば仕方のない事。 だが……愛しても居ない娘を傍らに置いていた日々は、今を思えばまるで砂のような日々だった」
「そのようにおっしゃっては可哀そうですわ。 よく、エイマーズ領のために働いてくださったのでしょう?」
「さぁ、どうなのか……。 規則規則と軟弱な中庸の民に言われ辛かったとキャノは言っていただろう? エリスも同じだ。 なんの力もない癖に、中庸の民に従え、怒らせるな。 ルールを守れ。 大地の民に領地を与えてくれた皇帝陛下に感謝しろ。 と、何時も口うるさく言ってくる」
「場所は違えど、私達は同じ苦しみを味わってきたのですね」
なんて言いながら、お互いを慰めるように口づけを目の前でするのだ。
「貴方、気が利かない方ね。 領主であるマルス様とその運命のツガイである私に菓子と茶ぐらいだせませんの?!」
から、始まり……。
皇都から屋敷にデザイナーを招き、宝石商を招き、服、靴、装飾品を注文し、ビューティーアドバイザーなんて人を呼び寄せ、良く分からない液体に化粧品を購入、マッサージを受けていた。
皇都から持ち帰ってきた金目の物を売り払う等と言う話を口にしようなら、頬を打たれた。
「大地の民の利益になるならと、皇都の息苦しさに何年も耐え苦しんできた私を労わろうと言う気はないの!!」
肉食獣ではないとは言え、手首にスナップをきかせた獣人の力だ。 私はぶっ飛び、唇を切り血を流し、壁にぶつかった。
「マルス……」
理不尽な暴力。
私のために怒ってよと思ったけれど……マルスが向けるのは敵意ある言葉
「お前が、心無い事を言ってキャノを傷つけたからだろう、自業自得だ……」
冷ややかな視線に胃が冷たくなった気がした。
それで、何かも嫌になり、仕事を放棄し帰ろうかと思えば、
「いい加減な奴め、仕事を放棄する気か!! 何をやっても中途半端、何一つことをなせぬ、はやくキャノを皇都のしがらみから解放しろ!! この役立たずが!!」
なんて怒鳴られた。
まぁ、そんな日々も長くは続かなかったのですけどね……。
「ツガイ様費用を設けよ」
「はぁ、馬鹿なの?」
今までなら、軽く流されていた言葉が、胸倉をつかまれ威嚇された。 肉食獣の因子を持つ一族最強とされた男に。
「お前は、本当に役立たずだな。 少し、頭を冷やし反省するといい……シバラク、経理はキャノに引き受けてもらう」
そう言って追い出された訳だ。
しばらくと言わず永遠に追い出して欲しいものだ……。
愛どころか、幼馴染の情すら消え失せていた。
「あぁ、とても良い天気だわ……」
「エリス様!! 皇都の使者どのとマルス様が交渉の上……決闘に!!」
そう叫びながら、馬の因子を持つ大地の民が獣形態で走ってきた。
私は聞こえないふりをし呟いた。
「あぁ、とても、良い天気だわ……」
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