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08.そして私は一歩を進む
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馬の因子を持つ大地の民の背に乗せられ、領地管理局へと向かえば……皇都の魔導師達と騎士が管理局を囲んでいた。
「な、に……コレ」
男性の甲高い裏声が響いていた。
「ひゃっはぁああああはははっははははっは、回れ回れ~、あははははっははは。 いいわ~、良い感じに無様だわぁ~!!」
なんて言いながら派手な刺繍と宝飾品で飾られた騎士の制服を着た男が、魔法のロープでマルスを縛り付け、ブンブンと振り回し回転させていた。
管理局に務める大地の民は、魔導師と騎士に両サイドを固められ、攻撃力を奪われていた。
魔法耐性がほぼ無いと言って良い大地の民は、バフ系の魔法に良く反応するため、戦場では皇室魔導師達の援護を受け本来の力の倍以上の力をもって活躍していた。 今は逆、デバフ系の魔法によりそのスペックが何処までも弱体化され、中庸の民の子供より弱くなっているのではないだろうか?
「はい、そこの人。 デバフかけるね~。 大人しくしていれば痛い事はしませんからね~」
なんて淡々とした様子で言ってくる。
大地の民ではない私には効果はないのだけど、周囲を見て効いているふりを演じておく。
遠くでは、暴れ叫ぶキャノの声があった。
「止めて!! 止めてよ!! 野蛮人!! どうしてこんな酷い事をするのよ!!」
震えるキャノの声があたりに響き渡り、少し大げさな感じで、声を荒げるさまは、悲嘆に暮れ泣いている風に感じるが、実は泣いてはいない。
「あら、手が滑ったわぁ~~」
なんて、派手な男が魔法のロープを離せば、マルスの身体は派手にぶっ飛んでいった。
「ひゃは~~~!!」
そう叫んで、ポーズを取りながら空中高くジャンプをした男は、ポーズを決めたままマルスの上に片足立ちで降り立った。 地面に穴が開いているところを配慮するなら、もっと相応しい言葉があるかもしれないけれど……まぁ、今はいい……。
「なぁに、大地の民の当主って言っても大したことは無いのねぇ~」
片足でぐりぐりと踏みつけながら男が言えば、そんな派手男にキャノが飛びついた。
「もう、止めて!! どうしてこんな酷い事をするのよ!!」
「えぇ、だって……獣相手に話をするなら、これぐらい派手にしないと駄目でしょう? 自分の立場をわきまえてもらわなきゃだし?」
派手男は、指で作ったピースマークで自分の唇に触れながら、誰に見せるでもなくウィンクをしていた。
「な、に……あの人?」
「あら、白髪の小さなお嬢ちゃん。 こんにちは」
「ぁ、はい、こんにちは……」
笑顔で振り返られ、ヒラヒラ手を振られ、つられて挨拶をした。
挨拶の後、派手男はぐりぐりと足元のマルスを踏みつけ語り掛ける。
「あのね。 君、前任者が何の権限も無いお使いなのが気に入らないから、陛下に来いとかって言ったそうね。 ばっかじゃないの、奴隷に慈悲をかけ飼ってやっているって言うのに、調子に乗っちゃてさぁ~。 あぁ、ごめんねぇ~、馬鹿だから大地の民は奴隷なんだ」
「酷い!! どうしてそんな酷い事を言うの!!」
キャノの叫びは無視され、派手男はマルスの頭をぐりぐりと踏みつけて話を続ける。
「それでもぉ~。 お優しい皇帝は、決定権を持つ私を使いに出しました~。 これ、と~っても異例よ。 はい、拍手!!」
言えば部下達が苦笑いで拍手をしていた。
ノリノリでなくて良かった……。 なんか、気分的にだけど。
「もう少し、話が通じるとか、可愛いとかならいいんだけど。 なんか生意気だし、皇国に貢献もしないし、損失を与えるし、いる価値なし? 奴隷としてかたっぱしから売り払っちゃいましょう」
「ま、待ってくれ!! 何が悪かったんだ!!」
「ぇえ~、色々と可愛くないところ? それに陛下を馬鹿にして、仇を成すなんて最低よね? ねっ、そう思うでしょう? それにね。 その子、なんか、特別なんでしょ? なんだっけ、当主のツガイ? ツガイだってぇええええ、あはっはは、笑える」
「な、何よ!!」
「だって、陛下の愛妾として教育を受けながら、貴族達をかたっぱしから誑かしていた淫売を後生大事にツガイだって、笑うしかないでしょう!! その子が使いこんだ金を回収するのに、何人売ればいいかなぁ~」
「な、なら、そいつを連れていけ!!」
「そいつ?」
「あぁ、俺の婚約者だ!! 翼持つ者は超レアだと聞く、その血肉は命の源だと。 そいつでどうだ!! そいつなら、そいつを渡せばキャノは自由になれるだろう?!」
最悪だ……。
呆然とする私に、マルスは続けた。
「俺は運命のツガイと出会った!! 愛する俺のためにツガイの尻拭いをしろ!! 皇帝の愛人になれ!!」
「……ふぅん、まぁ、いいわ。 おいで小鳥ちゃん」
向けられる微笑みと、差し出される手。
向かう一歩は……とても軽かった。
「じゃぁ、いこっか。 あぁ、後ね……あなたが愛するツガイだけど」
派手な服の男は、ペッとハンカチに唾を吐きつけ、ぐりぐりとキャノの顔を拭けば……、今まで以上の悲鳴が響き渡った。
「あっ、あああああっ……」
化粧を落としたキャノの顔を見た者達は、彼等の女神の姿に呻いた。
ガラガラと何かが崩れる音が聞こえたような気がしたとかしないとか……。 ツマラナイ事に人生を台無しにしただろう彼等に合掌(嫌味)。
「な、に……コレ」
男性の甲高い裏声が響いていた。
「ひゃっはぁああああはははっははははっは、回れ回れ~、あははははっははは。 いいわ~、良い感じに無様だわぁ~!!」
なんて言いながら派手な刺繍と宝飾品で飾られた騎士の制服を着た男が、魔法のロープでマルスを縛り付け、ブンブンと振り回し回転させていた。
管理局に務める大地の民は、魔導師と騎士に両サイドを固められ、攻撃力を奪われていた。
魔法耐性がほぼ無いと言って良い大地の民は、バフ系の魔法に良く反応するため、戦場では皇室魔導師達の援護を受け本来の力の倍以上の力をもって活躍していた。 今は逆、デバフ系の魔法によりそのスペックが何処までも弱体化され、中庸の民の子供より弱くなっているのではないだろうか?
「はい、そこの人。 デバフかけるね~。 大人しくしていれば痛い事はしませんからね~」
なんて淡々とした様子で言ってくる。
大地の民ではない私には効果はないのだけど、周囲を見て効いているふりを演じておく。
遠くでは、暴れ叫ぶキャノの声があった。
「止めて!! 止めてよ!! 野蛮人!! どうしてこんな酷い事をするのよ!!」
震えるキャノの声があたりに響き渡り、少し大げさな感じで、声を荒げるさまは、悲嘆に暮れ泣いている風に感じるが、実は泣いてはいない。
「あら、手が滑ったわぁ~~」
なんて、派手な男が魔法のロープを離せば、マルスの身体は派手にぶっ飛んでいった。
「ひゃは~~~!!」
そう叫んで、ポーズを取りながら空中高くジャンプをした男は、ポーズを決めたままマルスの上に片足立ちで降り立った。 地面に穴が開いているところを配慮するなら、もっと相応しい言葉があるかもしれないけれど……まぁ、今はいい……。
「なぁに、大地の民の当主って言っても大したことは無いのねぇ~」
片足でぐりぐりと踏みつけながら男が言えば、そんな派手男にキャノが飛びついた。
「もう、止めて!! どうしてこんな酷い事をするのよ!!」
「えぇ、だって……獣相手に話をするなら、これぐらい派手にしないと駄目でしょう? 自分の立場をわきまえてもらわなきゃだし?」
派手男は、指で作ったピースマークで自分の唇に触れながら、誰に見せるでもなくウィンクをしていた。
「な、に……あの人?」
「あら、白髪の小さなお嬢ちゃん。 こんにちは」
「ぁ、はい、こんにちは……」
笑顔で振り返られ、ヒラヒラ手を振られ、つられて挨拶をした。
挨拶の後、派手男はぐりぐりと足元のマルスを踏みつけ語り掛ける。
「あのね。 君、前任者が何の権限も無いお使いなのが気に入らないから、陛下に来いとかって言ったそうね。 ばっかじゃないの、奴隷に慈悲をかけ飼ってやっているって言うのに、調子に乗っちゃてさぁ~。 あぁ、ごめんねぇ~、馬鹿だから大地の民は奴隷なんだ」
「酷い!! どうしてそんな酷い事を言うの!!」
キャノの叫びは無視され、派手男はマルスの頭をぐりぐりと踏みつけて話を続ける。
「それでもぉ~。 お優しい皇帝は、決定権を持つ私を使いに出しました~。 これ、と~っても異例よ。 はい、拍手!!」
言えば部下達が苦笑いで拍手をしていた。
ノリノリでなくて良かった……。 なんか、気分的にだけど。
「もう少し、話が通じるとか、可愛いとかならいいんだけど。 なんか生意気だし、皇国に貢献もしないし、損失を与えるし、いる価値なし? 奴隷としてかたっぱしから売り払っちゃいましょう」
「ま、待ってくれ!! 何が悪かったんだ!!」
「ぇえ~、色々と可愛くないところ? それに陛下を馬鹿にして、仇を成すなんて最低よね? ねっ、そう思うでしょう? それにね。 その子、なんか、特別なんでしょ? なんだっけ、当主のツガイ? ツガイだってぇええええ、あはっはは、笑える」
「な、何よ!!」
「だって、陛下の愛妾として教育を受けながら、貴族達をかたっぱしから誑かしていた淫売を後生大事にツガイだって、笑うしかないでしょう!! その子が使いこんだ金を回収するのに、何人売ればいいかなぁ~」
「な、なら、そいつを連れていけ!!」
「そいつ?」
「あぁ、俺の婚約者だ!! 翼持つ者は超レアだと聞く、その血肉は命の源だと。 そいつでどうだ!! そいつなら、そいつを渡せばキャノは自由になれるだろう?!」
最悪だ……。
呆然とする私に、マルスは続けた。
「俺は運命のツガイと出会った!! 愛する俺のためにツガイの尻拭いをしろ!! 皇帝の愛人になれ!!」
「……ふぅん、まぁ、いいわ。 おいで小鳥ちゃん」
向けられる微笑みと、差し出される手。
向かう一歩は……とても軽かった。
「じゃぁ、いこっか。 あぁ、後ね……あなたが愛するツガイだけど」
派手な服の男は、ペッとハンカチに唾を吐きつけ、ぐりぐりとキャノの顔を拭けば……、今まで以上の悲鳴が響き渡った。
「あっ、あああああっ……」
化粧を落としたキャノの顔を見た者達は、彼等の女神の姿に呻いた。
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