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10.旅の日々はとても穏やかで、幸福だった
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皇都までの道のりは遠い。
何しろエイマーズ領は、人が立ち入るのに難しい広大な自然を領地としている。 そこから出るだけでも一苦労なのだ。 外部の商人は滅多に訪れなかったのも仕方がないなぁ、と18年の人生で初めて知る事実だった。 そう考えればキャノは良く商人なんて招いたなぁ……。
アレは、個人的な贅沢に分類されるから……。
請求はきっとマルスの元に行くだろう。 そう思えば、苦労する元婚約者を思いクスッと笑ってしまう。
意地悪いかな?
道中は長いけれど、ナルサスさんから聞く話は、他の誰からも聞いたことのない珍しい話ばかりで退屈することは無い。
退屈な時は、刺繍とかならっていたし。 騎士服の派手……改め華々しい模様は彼が自分でしたのだと言う。 まったくもって多才な人だ。
色々教わっている私は、代わりにエイマーズ領を囲む自然のことを良く話した。 嬉しそうに聞いてくれるのが嬉しい。
それだけで、ちょっと楽しい。
母様は、長命と言われる翼ある者だったが、その寿命は800歳を超えていて何時寿命を迎えるか分からないからと、私に生きる術を必死に叩き込み、子供だった私が欲する優しさを与えてくれることは無かった。 そして大地の民の親子愛は多分凄く深いのだろうけれど、感覚的に私には理解しがたいものがあった……。
だから、ナルサスさんとの関係は、なんだかとても不思議だった。
「ナルサスさんは、どうしてそんなに強いの?」
月夜の晩。
丁度良い感じの大きな木に登りながら聞いた。
「陛下のお陰かしら? あの方はとても寛容でお優しく……。 私が私である事を認めて下さった方なの。 そして強い方だったから」
過去形なのが気にかかるが、月を眺めるナルサスさんの瞳が少しばかり切なそうだから、聞くことができなかった。 こういう情緒的な感じ? そういうのが、大地の民と違うんだなぁと思った。
旅の日々は、私が中庸の民を知るための重要な旅だったとも言える。 私は、魔導師達から今の中庸の民の魔法を学び、私は母様から学んだ薬草学の知識を提供した。
騎士達には、エイマーズ領でとれた食材を調理し振る舞えば、騎士の人達もまたそれぞれの故郷の味を教えてくれた。 仲良くなるために精一杯の努力をした……と、思う。
でも、やっぱり一番興味深かったのはナルサスさんだった。
「皇都に行ったら、可愛い服を買いにお出かけしましょうね~」
「私、お金無いよ」
「可愛い良い子には、陛下がお小遣いをくださるわ。 それに、私だって小鳥ちゃんを可愛く飾りたいもの。 はりきっちゃうわよ~~」
「あのね。 私、キャノが服に付けていたヒラヒラがね……カワイイと思ったの……。 ヒラヒラをくるくるってして、花形にして髪飾りを作りたいな」
「あら、いいじゃない。 きっと素敵よ。 そうね。 私のリボンで良ければ試作品を作ってみましょうか? ついでに刺繍なんてどう?」
た……楽しい。
「あ~ぁ、私の乳兄弟が、マルスとマイルでなくって、ナルサスさんだったらよかったのに」
「あら嬉しい事を言ってくれるのね。 このお菓子、さっき部下が持ってきてくれたのだけど美味しいわ。 ちょっと食べてごらんなさい」
「んんんっ、美味しい!! 作り方教えて欲しい」
「誰が作ったか聞いて見るわ。 一緒に教わりましょう」
そんな感じで過ごす穏やかな日々は、親鳥に守られる雛鳥に戻ったような気すらした。 まぁ、実際に、髪に優しいヘア用品で日々お手入れされ、私の髪は皇都につくころには、キャノに負けないほど、きらっきらしていた。
旅は、本当に楽しかった。
だから余計に気になった。
ナルサスさんが、とても真剣な顔で夜を眺めている横顔が……。
エイマーズ領を抜けた先の村々と言えば、遠目でしかしらない。
「中庸の民はどんな生活をしているの?」
よってみたいなぁ~って視線を向ければ、ナルサスさんを困らせてしまった。
「見せてあげたいんだけど、私達って、ほら、数年前までいつも戦争していたでしょう? だから怖がられちゃって。 補給品も事前に打ち合わせしておいた商人から購入するだけなの。 ごめんなさいね」
「そっか……仕方ないね。 戦争は怖いから」
見た事無いけど。
それでも、きっと怖いのだろう。 こんなに優しくしてくれるナルサスさんが怖がられるくらいだから。
旅の道中分かった事が1つあった。
キャノの使った費用請求でのトラブルは、想定済みで元々ナルサスさんと彼が率いる団員の人達は、エイマーズ領にすぐにでも入れるように待機していたと言うことを。
だって、1月経ってもまだ皇都につかないのだから、急に代理の人が来るなんて無理だよね?
でも、本当にこの長い旅は、中庸の民を知るには良い機会だったと思うわけで……、いえ、楽しくて、幸福で、もっと、この旅が続かないかなぁなんて願ってしまうほどだった。 皇都に続く広く固く走りやすい道が見え始めた頃、私はそんな風に考えるようになっていた。
何しろエイマーズ領は、人が立ち入るのに難しい広大な自然を領地としている。 そこから出るだけでも一苦労なのだ。 外部の商人は滅多に訪れなかったのも仕方がないなぁ、と18年の人生で初めて知る事実だった。 そう考えればキャノは良く商人なんて招いたなぁ……。
アレは、個人的な贅沢に分類されるから……。
請求はきっとマルスの元に行くだろう。 そう思えば、苦労する元婚約者を思いクスッと笑ってしまう。
意地悪いかな?
道中は長いけれど、ナルサスさんから聞く話は、他の誰からも聞いたことのない珍しい話ばかりで退屈することは無い。
退屈な時は、刺繍とかならっていたし。 騎士服の派手……改め華々しい模様は彼が自分でしたのだと言う。 まったくもって多才な人だ。
色々教わっている私は、代わりにエイマーズ領を囲む自然のことを良く話した。 嬉しそうに聞いてくれるのが嬉しい。
それだけで、ちょっと楽しい。
母様は、長命と言われる翼ある者だったが、その寿命は800歳を超えていて何時寿命を迎えるか分からないからと、私に生きる術を必死に叩き込み、子供だった私が欲する優しさを与えてくれることは無かった。 そして大地の民の親子愛は多分凄く深いのだろうけれど、感覚的に私には理解しがたいものがあった……。
だから、ナルサスさんとの関係は、なんだかとても不思議だった。
「ナルサスさんは、どうしてそんなに強いの?」
月夜の晩。
丁度良い感じの大きな木に登りながら聞いた。
「陛下のお陰かしら? あの方はとても寛容でお優しく……。 私が私である事を認めて下さった方なの。 そして強い方だったから」
過去形なのが気にかかるが、月を眺めるナルサスさんの瞳が少しばかり切なそうだから、聞くことができなかった。 こういう情緒的な感じ? そういうのが、大地の民と違うんだなぁと思った。
旅の日々は、私が中庸の民を知るための重要な旅だったとも言える。 私は、魔導師達から今の中庸の民の魔法を学び、私は母様から学んだ薬草学の知識を提供した。
騎士達には、エイマーズ領でとれた食材を調理し振る舞えば、騎士の人達もまたそれぞれの故郷の味を教えてくれた。 仲良くなるために精一杯の努力をした……と、思う。
でも、やっぱり一番興味深かったのはナルサスさんだった。
「皇都に行ったら、可愛い服を買いにお出かけしましょうね~」
「私、お金無いよ」
「可愛い良い子には、陛下がお小遣いをくださるわ。 それに、私だって小鳥ちゃんを可愛く飾りたいもの。 はりきっちゃうわよ~~」
「あのね。 私、キャノが服に付けていたヒラヒラがね……カワイイと思ったの……。 ヒラヒラをくるくるってして、花形にして髪飾りを作りたいな」
「あら、いいじゃない。 きっと素敵よ。 そうね。 私のリボンで良ければ試作品を作ってみましょうか? ついでに刺繍なんてどう?」
た……楽しい。
「あ~ぁ、私の乳兄弟が、マルスとマイルでなくって、ナルサスさんだったらよかったのに」
「あら嬉しい事を言ってくれるのね。 このお菓子、さっき部下が持ってきてくれたのだけど美味しいわ。 ちょっと食べてごらんなさい」
「んんんっ、美味しい!! 作り方教えて欲しい」
「誰が作ったか聞いて見るわ。 一緒に教わりましょう」
そんな感じで過ごす穏やかな日々は、親鳥に守られる雛鳥に戻ったような気すらした。 まぁ、実際に、髪に優しいヘア用品で日々お手入れされ、私の髪は皇都につくころには、キャノに負けないほど、きらっきらしていた。
旅は、本当に楽しかった。
だから余計に気になった。
ナルサスさんが、とても真剣な顔で夜を眺めている横顔が……。
エイマーズ領を抜けた先の村々と言えば、遠目でしかしらない。
「中庸の民はどんな生活をしているの?」
よってみたいなぁ~って視線を向ければ、ナルサスさんを困らせてしまった。
「見せてあげたいんだけど、私達って、ほら、数年前までいつも戦争していたでしょう? だから怖がられちゃって。 補給品も事前に打ち合わせしておいた商人から購入するだけなの。 ごめんなさいね」
「そっか……仕方ないね。 戦争は怖いから」
見た事無いけど。
それでも、きっと怖いのだろう。 こんなに優しくしてくれるナルサスさんが怖がられるくらいだから。
旅の道中分かった事が1つあった。
キャノの使った費用請求でのトラブルは、想定済みで元々ナルサスさんと彼が率いる団員の人達は、エイマーズ領にすぐにでも入れるように待機していたと言うことを。
だって、1月経ってもまだ皇都につかないのだから、急に代理の人が来るなんて無理だよね?
でも、本当にこの長い旅は、中庸の民を知るには良い機会だったと思うわけで……、いえ、楽しくて、幸福で、もっと、この旅が続かないかなぁなんて願ってしまうほどだった。 皇都に続く広く固く走りやすい道が見え始めた頃、私はそんな風に考えるようになっていた。
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