【R18】婚約者がとんでもない女を運命のツガイだといいました。 そして私は運命に出会う。【完結】

迷い人

文字の大きさ
16 / 59
02

16.皇帝陛下の噂

しおりを挟む
「何処から話せばよいのでしょう……」

 そう皇妃様付き侍女の1人が言えば、もう1人の侍女がボソボソと耳打ちする。

「そう、そうね。 最近の割と知っている人は知っていると言う無難な噂からが良いかしら?」

「皇帝の一族には、代々黒い噂が絶えた事がないのだけど、現皇帝カイル・ガリウス・アドラム様の御代になって、ソレはいっそう増え……いえ、問題なのは噂の多くが事実だと言う事です」

「例えば、誘拐、殺し、そして……人食い。 特に大地の民に人権を与えたエイマーズ領、あそこは、大地の民の生命力を奪うための牧場だと聞いております」

「ぇ?」

 お病気で生命力が無くて可哀そうな方だ。 それがナルサスの話だった。

「牧場って……、大地の民が誘拐されたなんて話は聞きませんよ? 一応、住民名簿は作っていますし……。 外に出れば迫害を受けますから、領地の外に出る事はありませんし」

「でも、戦場ではどうかしら?」

「それは、戦争だもの。 人は死ぬものなのではありませんか? 嫌なら、戦争をしない事だと思います」

「そう、ソレなの。 アドラム皇国は、資源に困っている訳でも、食料に困っている訳でも、人材に困っている訳でも、文化的に劣っている訳でもありません。 なのに、なぜ、周辺国に戦を仕掛けなければいかないのか!」

「えっと……。 他国がアドラム皇国を狙うから?」

「負けなしの国を狙うかしら? 商取引を持ちかけたり、属国を願う方がマシではないかしら? 何しろ陛下は、敵殲滅は当たり前の方、従軍する兵士以外の方も殺しつくし、近隣の村や町も廃墟としていたと言う話ですわ」

「戦争は、良く分からないけど。 確かに平和的解決の方が私は好きです」

 そう言えば、皇妃様付き侍女はニコニコとし続きを語る。

「周辺国も、そう考えたの。 だから、私達は戦争をしかけません。 貴方方に服従しますと言う意志表明をしてきたのが4、5年前だったかしら?」

「5年前ですね」

 大地の民が戦争に招集されなくなったのが、それぐらいだ。

「その頃から、陛下の病は悪化……戦場で先陣を駆け、誰よりも敵を蹴散らしていた方が、人前に顔を出す事すらできなくなりましたの。 そんな陛下がいたこその強国……、皇妃様は他国に陛下の不調を知らせまいと、陛下の偽物と共に歩くようになりましたのよ」

 うん、まぁ、特に変な話でもないかな? とか思ったりする。

「そして、同時期から始まった、定期的な誘拐事件、そして誘拐された者の多くは変死体として発見されるようになりましたの。 それも、若く健康な子ばかりが」

 恐怖を煽るような語り口調に私は唾を飲めば、コラッと年配の皇妃様付き侍女が怒った。

「はいはい、定期的に起こる誘拐、殺人、何時までたっても犯人を捕らえる事ができない衛兵達。 民は、捕らえられない理由を考えるようになったのよ」

「えっと……権力を持つ方だから?って奴ですか」

「そう。 エイマーズ領に陛下の愛妾を求める告知が出たの3.4年前でしょう」

「えっと、まぁ、そんな感じ?」

 大抵の者が興味なく、ただキャノだけが食いついた告知文。 余りにも興味がなさ過ぎて、記憶に残っていないのですよね。

「この意味、わかるでしょう?」

 状況を考えるに、余計な事は言わない方がよさそうかな?

 結局、病気で生命力が必要で、発作が起きている時はイライラして怖い……の内容が……アレなら、ナルサスは決して嘘をついている訳ではないのだし。

 まぁ、真実を語っている訳ではないのだけど。

「皇妃様は、生贄となる子を哀れみ、逃げるようにと促しておいででしたの」

「もし、ソレが本当なら。 逃げたら、代わりに誰かが犠牲になるんですよね? 私が、キャノの代わりにここに連れてこられたように。 もし、それすら拒んだら……」

 拒みようはない。

 ナルサスは、大地の民を容易に制圧して見せたのだから。 そして大地の民の立場なら、定期的に生贄を捧げたとしても、安住の地を確保したいと望むだろう。

 う~ん、違うなぁ……マルスなら、きっと……他所から大地の民を集め、そっちを生贄として与えるはず。

 ……思い出せば気分が落ちた。

 もし、命が危険な生贄でも、マルスは私に行けと言ったのだろうか?

 どこまでも落ち込む私に、勘違いをした皇妃様付き侍女は励ましてくる。

「貴方が望むなら、いつだって皇妃様が力を貸してくださるわ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

処理中です...