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16.皇帝陛下の噂
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「何処から話せばよいのでしょう……」
そう皇妃様付き侍女の1人が言えば、もう1人の侍女がボソボソと耳打ちする。
「そう、そうね。 最近の割と知っている人は知っていると言う無難な噂からが良いかしら?」
「皇帝の一族には、代々黒い噂が絶えた事がないのだけど、現皇帝カイル・ガリウス・アドラム様の御代になって、ソレはいっそう増え……いえ、問題なのは噂の多くが事実だと言う事です」
「例えば、誘拐、殺し、そして……人食い。 特に大地の民に人権を与えたエイマーズ領、あそこは、大地の民の生命力を奪うための牧場だと聞いております」
「ぇ?」
お病気で生命力が無くて可哀そうな方だ。 それがナルサスの話だった。
「牧場って……、大地の民が誘拐されたなんて話は聞きませんよ? 一応、住民名簿は作っていますし……。 外に出れば迫害を受けますから、領地の外に出る事はありませんし」
「でも、戦場ではどうかしら?」
「それは、戦争だもの。 人は死ぬものなのではありませんか? 嫌なら、戦争をしない事だと思います」
「そう、ソレなの。 アドラム皇国は、資源に困っている訳でも、食料に困っている訳でも、人材に困っている訳でも、文化的に劣っている訳でもありません。 なのに、なぜ、周辺国に戦を仕掛けなければいかないのか!」
「えっと……。 他国がアドラム皇国を狙うから?」
「負けなしの国を狙うかしら? 商取引を持ちかけたり、属国を願う方がマシではないかしら? 何しろ陛下は、敵殲滅は当たり前の方、従軍する兵士以外の方も殺しつくし、近隣の村や町も廃墟としていたと言う話ですわ」
「戦争は、良く分からないけど。 確かに平和的解決の方が私は好きです」
そう言えば、皇妃様付き侍女はニコニコとし続きを語る。
「周辺国も、そう考えたの。 だから、私達は戦争をしかけません。 貴方方に服従しますと言う意志表明をしてきたのが4、5年前だったかしら?」
「5年前ですね」
大地の民が戦争に招集されなくなったのが、それぐらいだ。
「その頃から、陛下の病は悪化……戦場で先陣を駆け、誰よりも敵を蹴散らしていた方が、人前に顔を出す事すらできなくなりましたの。 そんな陛下がいたこその強国……、皇妃様は他国に陛下の不調を知らせまいと、陛下の偽物と共に歩くようになりましたのよ」
うん、まぁ、特に変な話でもないかな? とか思ったりする。
「そして、同時期から始まった、定期的な誘拐事件、そして誘拐された者の多くは変死体として発見されるようになりましたの。 それも、若く健康な子ばかりが」
恐怖を煽るような語り口調に私は唾を飲めば、コラッと年配の皇妃様付き侍女が怒った。
「はいはい、定期的に起こる誘拐、殺人、何時までたっても犯人を捕らえる事ができない衛兵達。 民は、捕らえられない理由を考えるようになったのよ」
「えっと……権力を持つ方だから?って奴ですか」
「そう。 エイマーズ領に陛下の愛妾を求める告知が出たの3.4年前でしょう」
「えっと、まぁ、そんな感じ?」
大抵の者が興味なく、ただキャノだけが食いついた告知文。 余りにも興味がなさ過ぎて、記憶に残っていないのですよね。
「この意味、わかるでしょう?」
状況を考えるに、余計な事は言わない方がよさそうかな?
結局、病気で生命力が必要で、発作が起きている時はイライラして怖い……の内容が……アレなら、ナルサスは決して嘘をついている訳ではないのだし。
まぁ、真実を語っている訳ではないのだけど。
「皇妃様は、生贄となる子を哀れみ、逃げるようにと促しておいででしたの」
「もし、ソレが本当なら。 逃げたら、代わりに誰かが犠牲になるんですよね? 私が、キャノの代わりにここに連れてこられたように。 もし、それすら拒んだら……」
拒みようはない。
ナルサスは、大地の民を容易に制圧して見せたのだから。 そして大地の民の立場なら、定期的に生贄を捧げたとしても、安住の地を確保したいと望むだろう。
う~ん、違うなぁ……マルスなら、きっと……他所から大地の民を集め、そっちを生贄として与えるはず。
……思い出せば気分が落ちた。
もし、命が危険な生贄でも、マルスは私に行けと言ったのだろうか?
どこまでも落ち込む私に、勘違いをした皇妃様付き侍女は励ましてくる。
「貴方が望むなら、いつだって皇妃様が力を貸してくださるわ」
そう皇妃様付き侍女の1人が言えば、もう1人の侍女がボソボソと耳打ちする。
「そう、そうね。 最近の割と知っている人は知っていると言う無難な噂からが良いかしら?」
「皇帝の一族には、代々黒い噂が絶えた事がないのだけど、現皇帝カイル・ガリウス・アドラム様の御代になって、ソレはいっそう増え……いえ、問題なのは噂の多くが事実だと言う事です」
「例えば、誘拐、殺し、そして……人食い。 特に大地の民に人権を与えたエイマーズ領、あそこは、大地の民の生命力を奪うための牧場だと聞いております」
「ぇ?」
お病気で生命力が無くて可哀そうな方だ。 それがナルサスの話だった。
「牧場って……、大地の民が誘拐されたなんて話は聞きませんよ? 一応、住民名簿は作っていますし……。 外に出れば迫害を受けますから、領地の外に出る事はありませんし」
「でも、戦場ではどうかしら?」
「それは、戦争だもの。 人は死ぬものなのではありませんか? 嫌なら、戦争をしない事だと思います」
「そう、ソレなの。 アドラム皇国は、資源に困っている訳でも、食料に困っている訳でも、人材に困っている訳でも、文化的に劣っている訳でもありません。 なのに、なぜ、周辺国に戦を仕掛けなければいかないのか!」
「えっと……。 他国がアドラム皇国を狙うから?」
「負けなしの国を狙うかしら? 商取引を持ちかけたり、属国を願う方がマシではないかしら? 何しろ陛下は、敵殲滅は当たり前の方、従軍する兵士以外の方も殺しつくし、近隣の村や町も廃墟としていたと言う話ですわ」
「戦争は、良く分からないけど。 確かに平和的解決の方が私は好きです」
そう言えば、皇妃様付き侍女はニコニコとし続きを語る。
「周辺国も、そう考えたの。 だから、私達は戦争をしかけません。 貴方方に服従しますと言う意志表明をしてきたのが4、5年前だったかしら?」
「5年前ですね」
大地の民が戦争に招集されなくなったのが、それぐらいだ。
「その頃から、陛下の病は悪化……戦場で先陣を駆け、誰よりも敵を蹴散らしていた方が、人前に顔を出す事すらできなくなりましたの。 そんな陛下がいたこその強国……、皇妃様は他国に陛下の不調を知らせまいと、陛下の偽物と共に歩くようになりましたのよ」
うん、まぁ、特に変な話でもないかな? とか思ったりする。
「そして、同時期から始まった、定期的な誘拐事件、そして誘拐された者の多くは変死体として発見されるようになりましたの。 それも、若く健康な子ばかりが」
恐怖を煽るような語り口調に私は唾を飲めば、コラッと年配の皇妃様付き侍女が怒った。
「はいはい、定期的に起こる誘拐、殺人、何時までたっても犯人を捕らえる事ができない衛兵達。 民は、捕らえられない理由を考えるようになったのよ」
「えっと……権力を持つ方だから?って奴ですか」
「そう。 エイマーズ領に陛下の愛妾を求める告知が出たの3.4年前でしょう」
「えっと、まぁ、そんな感じ?」
大抵の者が興味なく、ただキャノだけが食いついた告知文。 余りにも興味がなさ過ぎて、記憶に残っていないのですよね。
「この意味、わかるでしょう?」
状況を考えるに、余計な事は言わない方がよさそうかな?
結局、病気で生命力が必要で、発作が起きている時はイライラして怖い……の内容が……アレなら、ナルサスは決して嘘をついている訳ではないのだし。
まぁ、真実を語っている訳ではないのだけど。
「皇妃様は、生贄となる子を哀れみ、逃げるようにと促しておいででしたの」
「もし、ソレが本当なら。 逃げたら、代わりに誰かが犠牲になるんですよね? 私が、キャノの代わりにここに連れてこられたように。 もし、それすら拒んだら……」
拒みようはない。
ナルサスは、大地の民を容易に制圧して見せたのだから。 そして大地の民の立場なら、定期的に生贄を捧げたとしても、安住の地を確保したいと望むだろう。
う~ん、違うなぁ……マルスなら、きっと……他所から大地の民を集め、そっちを生贄として与えるはず。
……思い出せば気分が落ちた。
もし、命が危険な生贄でも、マルスは私に行けと言ったのだろうか?
どこまでも落ち込む私に、勘違いをした皇妃様付き侍女は励ましてくる。
「貴方が望むなら、いつだって皇妃様が力を貸してくださるわ」
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