23 / 59
03
23.嘆きの鳥
しおりを挟む
目を覚ますと、柔らかな肉に包まれていた。
とは言え、寝ぼけた頭では理解できないものである。
「ぴっ?」
「あら、起きましたか? お嬢様?」
そう、私を呼ぶのは侍女の1人。
お胸の大きな侍女の1人……。
周囲を見回せば状況を理解したが、理解しきれていない面もある。 なにしろ、大地の民の胸は、やわらかくない!! 胸筋によってできているから。 私は理解がおいつかなかった。
そして、この現実は受け入れがたかった……。
私が、子供と言われる理由はコレか?! ちょっと泣きたくなった……。
「ぴよっ……」
「ふっふふふ、お嬢様、もっふもふしないでください、くすぐったいです」
知るか、私はなんか切ないんだ!! なんて、感情をあらぶらせながらも、こう、ぬくくて柔らかい様子に寝そうになっていた……。
「そういえば、ナルサスは?」
「ナルサス様は、急遽入った知らせで、その……本来の業務に出向いて行きました」
「本来の業務?」
もふもふしながら、外に出ようとすれば、
「お嬢様、つ、爪が」
「ぁ、ごめんなさい」
「いえ、今外にお出ししますから」
そして外に出された私は、侍女の肩の上へと居場所を変えた。
「昨日、皇妃様付き侍女が言っていたように、皇都では最近変死体の数が増えていて、夜間の外出禁止令が出されているのですが、その……化け物が、人を襲っていると言う話がありまして……」
「それは噂話? 嘘? 本当? っぴょ」
ぴよぴよ言うのは、呼吸の隙間に時折漏れる音なので、どうにもできない。
「どうなのでしょうね? ナルサス様から伺って、私達に真実を教えてくださいませ」
なんて言われた。
ぐーーーーぎゅるぎゅるぎゅる。
「……すみません。 私のお腹の音です」
「なかなか豪快な主張ですね。 クッキーなどいかがですか?」
「ご馳走になります」
そして、私は、片足立ちになり片翼ずつをスサーーーと伸ばす。 どうだ、美しいだろう。 なんていうのではなく、準備運動のようなもの。 そして、私はパタパタと羽ばたきテーブルの上へと降り立った。
因みに、私がいる場所は、控室兼家事室で、侍女達が集まって、お茶をしたり談笑したり、ちょっとした家事も行うらしい。 一応もくもくと針仕事に勤しんでいるモイラもいる。
「……これ、クッキー違う!! クッキーかす!! 粉!」
「小さなお口なのでつい、普通のサイズで大丈夫ですか?」
「大丈夫だから!! むしろ、粉でお腹ふくれないし、お腹いっぱいにしたくないよ」
次には、クッキーの入った木箱がテーブルの上に置かれ、私は入れ物の縁に止まりクッキーに嘴をつっこんだ。 ついばむ速度、回数、クッキーの消滅度を考えてはいけない。 小鳥の私はエネルギーそのものなのだから。
侍女達が唖然とし次にクスクスと笑いだすが気にしたら負けだ。 何しろ昨日はエネルギーを散々うばわれたし……。 そういえば……血よりも羽根の方が負担は大きいのね、覚えておこう。 等と冷静になるわけ……ぁっ、
「モイラ!!」
「はい? なんでございましょう。 お嬢様」
「私、毒があるんだけど。 陛下は大丈夫だった?」
「あの方自身が毒のような方ですので、お気になさる必要はありませんよ」
そう言って私に向けられる微笑みは優しいものだが、額の部分をピキッとさせながら語る声は、ちょっと怖かった。
あと、無いと思いますよ。 とかではなく、断言なのもどうなるのだろうか? まぁ、確かに毒ぐらいありそうな体ではあったが。
「カワイイ小鳥ちゃんなんて思っていましたが、お嬢様はエネルギーが欠如されていたのですね」
そう侍女の一人が言えば、次には目の前に大量の食糧が積み上げられた。 クッキー、フルーツ、パン、何故ハム、チーズまであるのかは謎だが、侍女達が隠し食料を提供してくれたのだ。
そして、モイラが黄金色の飴を置くと同時に侍女の1人に命じた。
「食べ物を準備するように料理長に伝えてもらえますか?」
命じられた侍女は真顔でエリスを見た。
「えっと……好き嫌いとか、いえ、何が食べられますか?」
「辛すぎるもの、臭いもの以外は、多分へいき?」
カーテンが閉められていて時間が分からないが、陛下(?)にお会いしたのは夕飯のあと、少したったぐらい。
「どれぐらい時間がたってるのかな?! なんだかすごくお腹ぺこぺこだし、一緒に行くよ」
私は、料理長に食事をお願いに行くと言った侍女の頭の上に移動する。
「日付が変わったばかりです。 あと、一緒にいってもお嬢様にお出し出来るようなものは無いと思いますよ?」
モイラ言う。
「まだ、そんな時間なんだ……。 そうだ、私、自分で作ってもいいよ!!」
「それは、勘弁してください。 料理人達が泣きます」
「なんだか面倒臭いね」
「沢山の人がいるのだから、夕食の残りとか無いの?」
「お嬢様に使用人の残り物を出す訳には参りません」
尊重されるのも良い事ばかりではないらしい。
「この国の民。 陛下のものと言う意味では私も使用人みたいなものでしょう? とにかくお腹がすいているの!!」
「ですが、陛下の恩人を無下に扱うなどできません」
「その陛下のためには必要なの! 言い訳が必要なら、鳥の餌にコダワルな!!」
ふんすっ、と怒り交じりで訴えてみた。 別に空腹で死ぬとか、正気を失うとかそういうことはないけれど、私の方の栄養が不足していては陛下の栄養補充が出来ない。 それは都合の良い言い訳にならないだろうか? 人の姿を取り戻してはいたが、余剰のエネルギーをため込むまでは、いっていないのだから、時間と共に腐敗は始まるはずだ。
それを説明すれば、モイラは溜息をついた。
「では……今日だけは簡易的な食事でご容赦くださいませ」
そうして私は、色々なやり取りの結果として使用人ようの食堂で食事をすることとなった。
とは言え、寝ぼけた頭では理解できないものである。
「ぴっ?」
「あら、起きましたか? お嬢様?」
そう、私を呼ぶのは侍女の1人。
お胸の大きな侍女の1人……。
周囲を見回せば状況を理解したが、理解しきれていない面もある。 なにしろ、大地の民の胸は、やわらかくない!! 胸筋によってできているから。 私は理解がおいつかなかった。
そして、この現実は受け入れがたかった……。
私が、子供と言われる理由はコレか?! ちょっと泣きたくなった……。
「ぴよっ……」
「ふっふふふ、お嬢様、もっふもふしないでください、くすぐったいです」
知るか、私はなんか切ないんだ!! なんて、感情をあらぶらせながらも、こう、ぬくくて柔らかい様子に寝そうになっていた……。
「そういえば、ナルサスは?」
「ナルサス様は、急遽入った知らせで、その……本来の業務に出向いて行きました」
「本来の業務?」
もふもふしながら、外に出ようとすれば、
「お嬢様、つ、爪が」
「ぁ、ごめんなさい」
「いえ、今外にお出ししますから」
そして外に出された私は、侍女の肩の上へと居場所を変えた。
「昨日、皇妃様付き侍女が言っていたように、皇都では最近変死体の数が増えていて、夜間の外出禁止令が出されているのですが、その……化け物が、人を襲っていると言う話がありまして……」
「それは噂話? 嘘? 本当? っぴょ」
ぴよぴよ言うのは、呼吸の隙間に時折漏れる音なので、どうにもできない。
「どうなのでしょうね? ナルサス様から伺って、私達に真実を教えてくださいませ」
なんて言われた。
ぐーーーーぎゅるぎゅるぎゅる。
「……すみません。 私のお腹の音です」
「なかなか豪快な主張ですね。 クッキーなどいかがですか?」
「ご馳走になります」
そして、私は、片足立ちになり片翼ずつをスサーーーと伸ばす。 どうだ、美しいだろう。 なんていうのではなく、準備運動のようなもの。 そして、私はパタパタと羽ばたきテーブルの上へと降り立った。
因みに、私がいる場所は、控室兼家事室で、侍女達が集まって、お茶をしたり談笑したり、ちょっとした家事も行うらしい。 一応もくもくと針仕事に勤しんでいるモイラもいる。
「……これ、クッキー違う!! クッキーかす!! 粉!」
「小さなお口なのでつい、普通のサイズで大丈夫ですか?」
「大丈夫だから!! むしろ、粉でお腹ふくれないし、お腹いっぱいにしたくないよ」
次には、クッキーの入った木箱がテーブルの上に置かれ、私は入れ物の縁に止まりクッキーに嘴をつっこんだ。 ついばむ速度、回数、クッキーの消滅度を考えてはいけない。 小鳥の私はエネルギーそのものなのだから。
侍女達が唖然とし次にクスクスと笑いだすが気にしたら負けだ。 何しろ昨日はエネルギーを散々うばわれたし……。 そういえば……血よりも羽根の方が負担は大きいのね、覚えておこう。 等と冷静になるわけ……ぁっ、
「モイラ!!」
「はい? なんでございましょう。 お嬢様」
「私、毒があるんだけど。 陛下は大丈夫だった?」
「あの方自身が毒のような方ですので、お気になさる必要はありませんよ」
そう言って私に向けられる微笑みは優しいものだが、額の部分をピキッとさせながら語る声は、ちょっと怖かった。
あと、無いと思いますよ。 とかではなく、断言なのもどうなるのだろうか? まぁ、確かに毒ぐらいありそうな体ではあったが。
「カワイイ小鳥ちゃんなんて思っていましたが、お嬢様はエネルギーが欠如されていたのですね」
そう侍女の一人が言えば、次には目の前に大量の食糧が積み上げられた。 クッキー、フルーツ、パン、何故ハム、チーズまであるのかは謎だが、侍女達が隠し食料を提供してくれたのだ。
そして、モイラが黄金色の飴を置くと同時に侍女の1人に命じた。
「食べ物を準備するように料理長に伝えてもらえますか?」
命じられた侍女は真顔でエリスを見た。
「えっと……好き嫌いとか、いえ、何が食べられますか?」
「辛すぎるもの、臭いもの以外は、多分へいき?」
カーテンが閉められていて時間が分からないが、陛下(?)にお会いしたのは夕飯のあと、少したったぐらい。
「どれぐらい時間がたってるのかな?! なんだかすごくお腹ぺこぺこだし、一緒に行くよ」
私は、料理長に食事をお願いに行くと言った侍女の頭の上に移動する。
「日付が変わったばかりです。 あと、一緒にいってもお嬢様にお出し出来るようなものは無いと思いますよ?」
モイラ言う。
「まだ、そんな時間なんだ……。 そうだ、私、自分で作ってもいいよ!!」
「それは、勘弁してください。 料理人達が泣きます」
「なんだか面倒臭いね」
「沢山の人がいるのだから、夕食の残りとか無いの?」
「お嬢様に使用人の残り物を出す訳には参りません」
尊重されるのも良い事ばかりではないらしい。
「この国の民。 陛下のものと言う意味では私も使用人みたいなものでしょう? とにかくお腹がすいているの!!」
「ですが、陛下の恩人を無下に扱うなどできません」
「その陛下のためには必要なの! 言い訳が必要なら、鳥の餌にコダワルな!!」
ふんすっ、と怒り交じりで訴えてみた。 別に空腹で死ぬとか、正気を失うとかそういうことはないけれど、私の方の栄養が不足していては陛下の栄養補充が出来ない。 それは都合の良い言い訳にならないだろうか? 人の姿を取り戻してはいたが、余剰のエネルギーをため込むまでは、いっていないのだから、時間と共に腐敗は始まるはずだ。
それを説明すれば、モイラは溜息をついた。
「では……今日だけは簡易的な食事でご容赦くださいませ」
そうして私は、色々なやり取りの結果として使用人ようの食堂で食事をすることとなった。
1
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる