【R18】婚約者がとんでもない女を運命のツガイだといいました。 そして私は運命に出会う。【完結】

迷い人

文字の大きさ
24 / 59
03

24.心配よりも食事が欲しい

しおりを挟む
「スープとパン、そして果物をお持ちしました。 単調な味付けになりますが、短時間で作れるもの優先して作らせます。 それでもしばらくの時間は必要となりますが、ご容赦ください」

 料理の出来る侍女が、総出で料理を作ってくれるらしい。

「それで充分です。 今の私はスッゴク沢山食べると思うから、手間より量をお願いします!」

 まぁ、そんなノリで深夜に食事を始めた私は、1m×4m程のテーブルに乗せられた大量の料理を次々と食べていく。 使用人達が出来上がった料理からどんどん運んできていた。 私はテーブルを駆け巡りながら次々と食べていく。

 時折やけに美味しくて、量の少ないのがあって、

「盛り付け、綺麗で一皿の量が少ないよぉ。 鳥相手にオシャレいらないから!!」

「ソレはご容赦くださいませ。 料理人達も参加しておりますので、その彼等には彼等のプライドがございます。 そして陛下に長く使えていた者達の感謝の気持ちから、手を抜くなどできる訳などありません!!」

 キリッと言われた。

 まぁ、いいや、他に食べるものいっぱいあるし、

 軽いが早い足音が響き聞こえる。

「目を覚ましたと聞きましたが、大丈夫ですか?」

 私は、クチバシに肉を刺したまま首を傾げ、次の瞬間にゴクリと飲み込みそして聞く。

「……誰?」

「……カイル・ガリウス・アドラムです。 この国の皇帝ですよ」

 少しだけうんざりしたように告げる皇帝陛下。 失礼な皇帝陛下だ。 顔色は未だ悪いし、肉付きが良いとはいえないが、服で強引に押さえつけ隠すような腐敗はない。

「(もぐごっくん)……無事、人っぽくなった……(もぐもぐ)よふで……」

「お嬢様……」

 モイラが困ったようにいさめれば、陛下は構わないと手で示す。 侍女達も苦笑交じりにいるものの、何年かぶりにみる本来の主の姿に涙し始めた。

「本当に回復なさっていたのですね」
「再び、そのお姿をお目にかかれる日が来るとは」

 そんな言葉が次々と紡がれ、料理人達も侍女に任せる事をせず料理を自ら運んできて、陛下の様子を伺っていた。

「……いや、無理に話さなくていいですよ。 好きなだけ食べてくださ……いえ、何処にこれだけの量の食べ物がその体の中に入っているんですか? 明らかに質量がオカシイでしょう?」

「(ごくん)戦場単位で、生命エネルギーを食べていたような人に……(もぐもぐ)」

 別に見ていた訳ではなく、ただの憶測である。

「あぁ、もう……私が悪かったですよ。 ユックリと食べて下さい」

 スープを飲むついでに食べ物を流し込む。

「その姿を維持するためには、私の回復が必要なんですよ。 生命力が強いと言ってもですねぇ、ソレを生み出すための動力が必要なんです!! 邪魔しないで!!」

「わかった、わかりましたよ。 好きなだけ食べてください」

 そして私は2時間ほど食事をし続け、そしてウトウトと眠りだす。

「残ったお菓子は起きてから食べるぅう。 くぅくぅ……」

「……忙しい子ですね」

 呆れたような口調、声色とは別に、陛下の表情は笑っており。 そして皇帝としての内務的仕事を続けながらも、その存在を隠し続けられていた皇帝陛下を支え続けた使用人達は涙した。


 
 次に目を覚ました時は、日も高くなった時間で、相変わらず胸の大きな侍女の谷間で眠っていた。 これはじっくりと語り合う必要があるようです!! なんて、思っている私の思考を遮ったのは、皇妃様付きの侍女達の声だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

いなくなった伯爵令嬢の代わりとして育てられました。本物が見つかって今度は彼女の婚約者だった辺境伯様に嫁ぎます。

りつ
恋愛
~身代わり令嬢は強面辺境伯に溺愛される~ 行方不明になった伯爵家の娘によく似ていると孤児院から引き取られたマリア。孤独を抱えながら必死に伯爵夫妻の望む子どもを演じる。数年後、ようやく伯爵家での暮らしにも慣れてきた矢先、夫妻の本当の娘であるヒルデが見つかる。自分とは違う天真爛漫な性格をしたヒルデはあっという間に伯爵家に馴染み、マリアの婚約者もヒルデに惹かれてしまう……。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

誰でもイイけど、お前は無いわw

猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。 同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。 見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、 「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」 と言われてしまう。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

処理中です...