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物語
29.家族会議は国家を揺るがす? いえ、追い出されてますから!! 01
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パパさん達への報告と情報交換が頻繁に行われる。
3人は、商用の防御がしっかりとした馬車で移動。 大魔導師であるパパの手にかかれば、内部は快適空間。 1人病み上がりの王様だけが、自然の攻撃を真正面から受け止め御者役を務めているらしい。
そんな環境ではあるけれど、コチラの準備を整え、通信回数を増やした訳だが……。
『本当に……』
愕然とする義父様の嘆きがあった。
「側に置いていたのですから、そう言う事も配慮なさっていたのではありませんか?」
『はぁ……もう少し上下関係と、未熟さをその身に叩きつけておくべきだった』
そんな風にグズグズと義父様が続けている理由は、アルファの髪色が黒に戻らず、未だ淡い金色を保ち続けているのと、私の髪色もアルファの影響を受けて淡い金色になっているためだろう。
色うつりがどういう原理化と言うと。
神殿でやっている魔力の多い子供達相手に『お前達に神の奇跡を与えよう』とやっているのと同じ事。 まぁ、神殿の神官・巫女による奇跡の譲渡程度であれば、髪色にメッシュ的な感じで金色が現れる程度だから、アルファ本人が奇跡を未だ封じた状態で金髪金目になり、私にも影響を与えるのだから、大したものだろう。
とは言え、親に関係性がバレバレなんて……最悪だわ……。
『ティア』
馬車の中で実験を繰り返していた実パパが、唸りながら声をかけてきた。 ドキッとしているのが分かるアルファ。 そしてパパは能天気に言うのだ。
「なぁに、パパ」
『今度、髪と血液の採取をよろしく』
「はいはい」
他愛ない家族(?)の会話がダラダラ続くけれど、一応会話の間には、数日間は沈黙と共に情報収集に徹したほうが良いだろうと言う結論が出されていた。
「後手に回るの不味いんじゃないのか?」
『いや、どんな魔法薬を所有しているか分からない現状、慎重に事を勧めるべきだろう。 孤児院の中のモノには、(宗教めいた)家族のため、我らが尊き母のためと、命を惜しまず自爆を行う者もいると聞いているから。 くれぐれも気を付けてくれ。 それにしても……』
溜息交じりに言う義父様。
「なんでしょうか?」
『見事に、トリストの色に染まってしまって……』
実のパパ以上に私を可愛がってくれていた義父様の燻ぶりは2日経っても収まらず、ティアは誤魔化すように満面の笑みを見せつけるのだ。
「可愛くありませんか?」
『いや、カワイイ……可愛いが……そのカワイイが、そこの子ゴリラによって齎されたかと思えば腹立たしくてならん』
「『誰がゴリラだ』」
そう言ったのはアルファと、父ゴリラ改め王様だった。 鉄なべを使って薄いパンを焼いていた王様が、義父様の口の中に焼き立てのパンを突っ込んでいた。 なかなか逞しい人である。
「陛下は、その、野営の経験がおありなのですか?」
『トリストの産みの母は、随分と野生的な人だったからなぁ。 ついていくだけでも必死だったなぁ……。 まぁ、ソレは今度ユックリと聞いてもらうとして、社会問題は筋肉で8割は解決できる。 不正や甘言に乗った貴族達は、戻った暁には筋肉を鍛えるプログラムを立てよう』
「そうですねぇ……高い志を持つ集団、きっと喜んで筋肉をつけてくれる事でしょう。 応援していますね」
『いや、オマエも参加決定だ。 我らが大事な姫君を守る必要があるからな!!』
野に放たれ自由を満喫する王様は元気だ。
きっとノーザングリア国の未来は明るい……に決まっている。
【↓AIイラスト、王様、野生にかえる】
ティアは御者をしているとばかり思っていましたが、実は馬と一緒に走っている王様でした。 次に会う時はもっと立派なゴリラとなっている事でしょう。
3人は、商用の防御がしっかりとした馬車で移動。 大魔導師であるパパの手にかかれば、内部は快適空間。 1人病み上がりの王様だけが、自然の攻撃を真正面から受け止め御者役を務めているらしい。
そんな環境ではあるけれど、コチラの準備を整え、通信回数を増やした訳だが……。
『本当に……』
愕然とする義父様の嘆きがあった。
「側に置いていたのですから、そう言う事も配慮なさっていたのではありませんか?」
『はぁ……もう少し上下関係と、未熟さをその身に叩きつけておくべきだった』
そんな風にグズグズと義父様が続けている理由は、アルファの髪色が黒に戻らず、未だ淡い金色を保ち続けているのと、私の髪色もアルファの影響を受けて淡い金色になっているためだろう。
色うつりがどういう原理化と言うと。
神殿でやっている魔力の多い子供達相手に『お前達に神の奇跡を与えよう』とやっているのと同じ事。 まぁ、神殿の神官・巫女による奇跡の譲渡程度であれば、髪色にメッシュ的な感じで金色が現れる程度だから、アルファ本人が奇跡を未だ封じた状態で金髪金目になり、私にも影響を与えるのだから、大したものだろう。
とは言え、親に関係性がバレバレなんて……最悪だわ……。
『ティア』
馬車の中で実験を繰り返していた実パパが、唸りながら声をかけてきた。 ドキッとしているのが分かるアルファ。 そしてパパは能天気に言うのだ。
「なぁに、パパ」
『今度、髪と血液の採取をよろしく』
「はいはい」
他愛ない家族(?)の会話がダラダラ続くけれど、一応会話の間には、数日間は沈黙と共に情報収集に徹したほうが良いだろうと言う結論が出されていた。
「後手に回るの不味いんじゃないのか?」
『いや、どんな魔法薬を所有しているか分からない現状、慎重に事を勧めるべきだろう。 孤児院の中のモノには、(宗教めいた)家族のため、我らが尊き母のためと、命を惜しまず自爆を行う者もいると聞いているから。 くれぐれも気を付けてくれ。 それにしても……』
溜息交じりに言う義父様。
「なんでしょうか?」
『見事に、トリストの色に染まってしまって……』
実のパパ以上に私を可愛がってくれていた義父様の燻ぶりは2日経っても収まらず、ティアは誤魔化すように満面の笑みを見せつけるのだ。
「可愛くありませんか?」
『いや、カワイイ……可愛いが……そのカワイイが、そこの子ゴリラによって齎されたかと思えば腹立たしくてならん』
「『誰がゴリラだ』」
そう言ったのはアルファと、父ゴリラ改め王様だった。 鉄なべを使って薄いパンを焼いていた王様が、義父様の口の中に焼き立てのパンを突っ込んでいた。 なかなか逞しい人である。
「陛下は、その、野営の経験がおありなのですか?」
『トリストの産みの母は、随分と野生的な人だったからなぁ。 ついていくだけでも必死だったなぁ……。 まぁ、ソレは今度ユックリと聞いてもらうとして、社会問題は筋肉で8割は解決できる。 不正や甘言に乗った貴族達は、戻った暁には筋肉を鍛えるプログラムを立てよう』
「そうですねぇ……高い志を持つ集団、きっと喜んで筋肉をつけてくれる事でしょう。 応援していますね」
『いや、オマエも参加決定だ。 我らが大事な姫君を守る必要があるからな!!』
野に放たれ自由を満喫する王様は元気だ。
きっとノーザングリア国の未来は明るい……に決まっている。
【↓AIイラスト、王様、野生にかえる】
ティアは御者をしているとばかり思っていましたが、実は馬と一緒に走っている王様でした。 次に会う時はもっと立派なゴリラとなっている事でしょう。
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