【R18】婚約者は浮気を認めて欲しいそうですよ【完結】

 神聖歴625年。
 ノーザングリア国では、食糧危機に繋がる干ばつが起こった。
 それは3年に渡り続き、王国は悪魔と呼ばれる男に助力を願った。

「干ばつから民を助けて欲しい」

「助ける代わりに、私の娘を引き取り育てて欲しい」

 そうして私『ティア』は王弟であり大公爵である『ルキウス・グレシャム』の養女として8歳の時迎えられ、12の年に第二王子ジェフロアの婚約者に定められた。

 周囲は、生まれの分からぬ神の加護も精霊の加護も持たぬ私が第二王子の婚約者となる事を良しとせず、その空気は自然と若い王子にも『コイツは虐げて良い奴』と認識させたようだった。

 そして、彼は浮気相手との醜聞が広がる中、こう言って私を責めるのだ。

「全部、オマエが悪いんだ!! オマエが僕とイザベルに大人しく仕えれば、全てが丸く収まるんだ!! 王家の醜聞を広めるのを止めろ!! イザベルは聖女なんだぞ!! 毒の噂がその力を弱める事をわかっていないのか!! オマエが、僕とイザベラと共に仲良く過ごしさえすれば、世間はイザベルを偉大な聖女と認めるはずなんだ!! オマエは王家に仇を成すつもりか?」
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