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03.快楽都市『デショワ』
14.銀髪の少女 01
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「そういや、繊細な銀髪の女性と言えば、最近、凄い子が入ってきたって聞いたぞ」
「凄いと言う形容詞がつく時点で、繊細とは遠いような気がするのですが?」
興味津々と言う様子で聞いたのは、女性を必要としているらしいユベールではなく、サージュの方だった。
「確かに!!」
オヤジはカラカラと笑ってみせ、そして噂の人物を面白そうに語りだす。
「経験がないって言うから、店主が手解きしてやろうって言ったそうだ。 そうしたら、未経験には未経験の価値がある。 せっかくなら、高く売って借金の回収に使わせてくれ。 私はかなり高く売れるだろうから。 そう大見え切ったそうだ」
「それは……面白そうではありますが、随分と扱いが難しそうなお嬢さんですね。 でも、ユベールのドストライクではありませんか?」
「それは、逆に遠慮したい……」
「いい加減、繊細ぶるのやめませんか? 正直言って面倒です」
「別に繊細ぶってなど、惚れるのは1人で十分と言っているだけだ」
子供のように不貞腐れた様子でユベールが言えば、サージュはオヤジに向かって肩を竦めて見せ、オヤジは苦笑する。
「兄ちゃんところの主も、なかなか繊細で厄介そうだな。 だが、まぁ、見た目は良いって話だ。 目の保養に兄ちゃんも、見るだけ見てみりゃどうだい。 あぁ、でも、もう何人もの金持ちが名乗り出ているから、顔出しはどうなんだろうなぁ? 今もしているのかなぁ?」
「見学をするだけなら、タダですよね? 行きましょうよ」
「お前は……」
「どちらにしろ店は貸切るんですよね。 オヤジ、案内を頼むよ。 その子を見学した後、なんかよい店を紹介してくれると助かる」
そんな感じで3人は、自らの美貌を売りに客を待つ花通りと名付けられた通りに向かった。 通りに面した店先には、薄地の寝巻風ドレスに身を纏う花々が笑みを振りまいている。
サージュは軽く口笛を吹く。
「華やかですねぇ。 ところで、銀色の子は、どの店ですか? オヤジさん」
なんて聞いては見るが、一番人の多い場所を見れば自然と視線が奪われた。 愛想笑いをする花たちと比べれば不機嫌そうで態度も悪い、だが、そこにいるだけで特別な雰囲気を醸し出す銀色の髪をした少女。
それこそ、月夜に儚く咲く花のようなのに、虚ろで眠そうで、側にいる女性に身を預けうとうととしていた。
「なっ、んで……」
声をあげたのはユベールだった。
声を上げ、ギリッと歯を噛みしめる音が周囲に聞こえるようで、何より凶悪な雰囲気がその場に渦を巻きはじめれば。 眠そうな銀色の少女も紫色の瞳を大きく見開き、気配の主であるユベールへと視線を向けた。
「どうどう、落ち着きましょう。 怯えさせては、いえ、厄介な客だと思われては、交渉以前に拒否される可能性もあります。 オヤジさん、あの子を買いたいんだけど、店の主を紹介してもらえませんか?」
サージュの判断は早く、オヤジの判断も早かった。
縊り殺されてはたまらん!! こんなおっかない奴に関わるんじゃなかった。 とっとと用事を終えて……いや、ココの店主に押し付けてしまわないと!!
「凄いと言う形容詞がつく時点で、繊細とは遠いような気がするのですが?」
興味津々と言う様子で聞いたのは、女性を必要としているらしいユベールではなく、サージュの方だった。
「確かに!!」
オヤジはカラカラと笑ってみせ、そして噂の人物を面白そうに語りだす。
「経験がないって言うから、店主が手解きしてやろうって言ったそうだ。 そうしたら、未経験には未経験の価値がある。 せっかくなら、高く売って借金の回収に使わせてくれ。 私はかなり高く売れるだろうから。 そう大見え切ったそうだ」
「それは……面白そうではありますが、随分と扱いが難しそうなお嬢さんですね。 でも、ユベールのドストライクではありませんか?」
「それは、逆に遠慮したい……」
「いい加減、繊細ぶるのやめませんか? 正直言って面倒です」
「別に繊細ぶってなど、惚れるのは1人で十分と言っているだけだ」
子供のように不貞腐れた様子でユベールが言えば、サージュはオヤジに向かって肩を竦めて見せ、オヤジは苦笑する。
「兄ちゃんところの主も、なかなか繊細で厄介そうだな。 だが、まぁ、見た目は良いって話だ。 目の保養に兄ちゃんも、見るだけ見てみりゃどうだい。 あぁ、でも、もう何人もの金持ちが名乗り出ているから、顔出しはどうなんだろうなぁ? 今もしているのかなぁ?」
「見学をするだけなら、タダですよね? 行きましょうよ」
「お前は……」
「どちらにしろ店は貸切るんですよね。 オヤジ、案内を頼むよ。 その子を見学した後、なんかよい店を紹介してくれると助かる」
そんな感じで3人は、自らの美貌を売りに客を待つ花通りと名付けられた通りに向かった。 通りに面した店先には、薄地の寝巻風ドレスに身を纏う花々が笑みを振りまいている。
サージュは軽く口笛を吹く。
「華やかですねぇ。 ところで、銀色の子は、どの店ですか? オヤジさん」
なんて聞いては見るが、一番人の多い場所を見れば自然と視線が奪われた。 愛想笑いをする花たちと比べれば不機嫌そうで態度も悪い、だが、そこにいるだけで特別な雰囲気を醸し出す銀色の髪をした少女。
それこそ、月夜に儚く咲く花のようなのに、虚ろで眠そうで、側にいる女性に身を預けうとうととしていた。
「なっ、んで……」
声をあげたのはユベールだった。
声を上げ、ギリッと歯を噛みしめる音が周囲に聞こえるようで、何より凶悪な雰囲気がその場に渦を巻きはじめれば。 眠そうな銀色の少女も紫色の瞳を大きく見開き、気配の主であるユベールへと視線を向けた。
「どうどう、落ち着きましょう。 怯えさせては、いえ、厄介な客だと思われては、交渉以前に拒否される可能性もあります。 オヤジさん、あの子を買いたいんだけど、店の主を紹介してもらえませんか?」
サージュの判断は早く、オヤジの判断も早かった。
縊り殺されてはたまらん!! こんなおっかない奴に関わるんじゃなかった。 とっとと用事を終えて……いや、ココの店主に押し付けてしまわないと!!
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