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04.裏切者たちの叫び
36.お世話係 03
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「そう……それで、娼婦の方達に嫉妬を?」
身なりを整える環境の整っている娼館と、戦場では大きく違うのは納得できる。 戦果を挙げた男達の褒賞として抱かれるなら、身ぎれいでいる事も必要だろう。 だけれど、こんな旅の最中ですら身ぎれいにするだけの事が難しい。 なら戦場なら余計にそうだろう。
「思い人が娼婦相手に遊んでいるのを見て、嫉妬に打ち震える女性が居たのも事実です。 ですが、今、私が伝えたい事は違います!!」
地位ある家に生まれた女性が、戦場の特異な雰囲気に飲まれ性行為を行っては、婚姻後に問題が生じるからと、かなり厳しく管理しているとエヴラール様から聞いた事がある。
正直、面倒だなぁ……と思った。 そんな私の思いとは別に、メイリーはどんどん感情的になっていった。
「ですが!! 私達が不満に感じたのは、ソコではありません。 ラシェル様は、ウナギの処理は押し付けてきましたが!! 食事の手伝いをしてくださっています。 ですが、彼女達は旦那様の特別である事を理由に、身の回りの世話を私共に任せ、戦場で働く女性達を見下したんです」
「それは……気分の悪い思いをしましたね。 私にも覚えがありますわ……。 なぜ、何も出来ない愛人がただ贅沢を甘受し、私達が公爵家を切り盛りしなければいけないのか? 喜びと楽しみは愛人が受け、私達は労働と苦痛が背負わされました。 愛される愛人と、こき使われる令嬢……。 だからこそ愛されていると思った者達は調子に乗る」
「はい。 ラシェル様のおっしゃる通りです。 あと、ウナギの処理、スルーしましたね」
「うふふ、だってぬるぬるする長いものは苦手ですもの」
「私だって、嫌ですよ!!」
「でも、上手にさばいたじゃない」
「そりゃぁ、ずっと食事の世話もしてきましたから……」
2人は沈黙した。
そしてメイリーは口を開く。
「私達が、彼女達の身の回りの世話をいたしておりました。 戦場でありながら贅沢を好み、私達がスープと固いパンで腹を満たす。 そんな中、旦那様と情を交わした娼婦達は、同席が許され、普通の食事が許されていたのです。 戦争が終われば、世話になったからと愛人の座が与えられる。 理不尽です!! 不愉快です!! 何故!! 愛人の座を与えられるのですか?! 愛しているからと言うなら、旦那様にとって必要だから一緒にいたい。 そうおっしゃるなら納得するしかありません!! ですが、旦那様は世話になったから、怖い思いをさせたから、迷惑をかけたからって!!
「逆に、愛しているからと言うなら、私は側にいませんわ……」
ボソリとした呟きは彼女には聞こえていないようだった。
「私達の気持ちはとても複雑です。 世話を命じられていた私共は……彼女達以下の存在だったと言うのですか!! 真摯に仕えたからこそ贄として食い殺されてしまった男達の妻は、子は、どうなるのですか!!」
私は黙るしかなかった。
想像以上に根深く、なぜ自分にその身を癒す役割を与えてくれないのかと直談判するカリナにすら、同情を覚えてしまう……。
「私が、お話をしましょう。 とりあえず食事のあとに」
そんな訳で、微妙な空気の中でウナギのかば焼きは食べられ、夜は更ける。
「ユベール、食事の後にお話があるのですがよろしいかしら?」
「ぇ、あ、あぁ。 その、彼女との関係に勘違いはしていないよな? 俺が愛しているのは、ラシェル、お前だけだ」
物凄く焦っているが……今の私は複雑な思いに身をモヤモヤしているのだ。 ぴしゃりと近寄るなと手で訴え、
「せっかくの食事、美味しく召し上がってくださいませ」
愛想笑い100%で応じれば、すごすごとユベールは食事を再開した。 そして、余りよろしくない空気の中でも、ウナギは美味しくいただけて、そしてお茶を飲みながら私はカリナへと言葉を向ける。
「お話は、メイリーから伺いました。 貴方に対して同情の余地はありますが、だからと言って、私が貴方に侮辱される言われはございません。 娼婦達への対応、娼婦達の貴方方への対応が気に入らなかった。 そこも理解はできますが、もし、それ以前に貴方が彼から愛されていたなら、彼は娼婦を懐に入れる必要はなかったのですから……そこは勘違いなさらないように、で……ユベール」
「はい……」
私は、メイリーからの話を、不満をそのまま伝えた。
いつの間にか、ユベールは地面の上に正座をしていた。
「対応、間違っていますよね? もし、身体を重ねた方々を愛しているなら」
「愛していた訳じゃない!! 特別な感情がなければ対価に至らなかっただけだ!! だから少しばかり優遇したに過ぎない。 戦後の処理も、そうするべきだと言われたからだ!! 俺が特別なのはラシェルだけだ。 俺は女性の扱いなど知らぬ!!」
子供のように声を荒げた。
だだっこ?
サージュへと視線を向ければ、苦笑いがなされた。
「女性に対する対応が不慣れなのは確か……要求すれば、そういうものかと割と何でも聞いてしまうのですから、無知をこじらせ、付け込まれたのも確かです。 主が愛人として認めた方々の多くは、別に主を持つ女性達ですから」
「えっと……スパイ的な?」
「そう、スパイ的なもので、彼女達を愛妾として迎えるようにと言ったのも、彼女達の背後にいる者達です。 其方は、ラシェル様の件と共に順次処理をしていく予定です」
まだ18のユーグだとこの時知っていれば、仕方がないと思えたのでしょうが……この時の私は、1人の男性としてユベールを見ていたため……。
冷ややかな視線で、圧をかけた。
「では、優遇すべきは彼女達ではございませんよね? 貴方の相手をした方達は、戦場にありながら、彼女達の生まれでは受ける事が出来ない贅沢を受けたのです。 むしろ、対価など必要ない。 いいえ、サージュの言っている事が必要なら、彼女達に必要なのは? わかりますわね?」
「は、はい……」
「とにかく!! 特別な感情があると言うなら別ですが!!」
「……愛情はありません……身体の関係を持つと言う事を特別と考えていた部分は、確かにありますが……ずっと愛していたのはラシェルだけです……」
なぜか敬語になっていた。
「では、サージュも余り甘やかさず、自分の後始末は自分でさせなさい!! 私は情けない男は嫌いです!!」
「……はい……」
「なるべく早く通達したほうがよろしいですわ。 で、なければ、前公爵と同じだと、ちょろい、御しやすい男だと付け込まれますよ!!」
「……ラシェルは……ラシェルも、そう思っているのか?」
「これから次第かしら? だって、私はあくまでも情報として聞いているだけで、現場を見た訳ではありませから。 ただ、私の目の前で、マロリーと同じ事を貴方にしている女性がいれば……不愉快なので……何をするか分かりませんけど?」
そうニッコリと笑った。
「ぁ……その、ラシェルが一番好きだから……勇ましいラシェルも好きだよ?」
思わず、しゃもじを投げつけた。
唖然とした表情で黙るカリナと、頬を紅葉させラシェルを見つめるメイリーがいるのだった。
この時を切っ掛けに、自らの居場所を確立させるようになるのだから、運命とは不思議なものである。
身なりを整える環境の整っている娼館と、戦場では大きく違うのは納得できる。 戦果を挙げた男達の褒賞として抱かれるなら、身ぎれいでいる事も必要だろう。 だけれど、こんな旅の最中ですら身ぎれいにするだけの事が難しい。 なら戦場なら余計にそうだろう。
「思い人が娼婦相手に遊んでいるのを見て、嫉妬に打ち震える女性が居たのも事実です。 ですが、今、私が伝えたい事は違います!!」
地位ある家に生まれた女性が、戦場の特異な雰囲気に飲まれ性行為を行っては、婚姻後に問題が生じるからと、かなり厳しく管理しているとエヴラール様から聞いた事がある。
正直、面倒だなぁ……と思った。 そんな私の思いとは別に、メイリーはどんどん感情的になっていった。
「ですが!! 私達が不満に感じたのは、ソコではありません。 ラシェル様は、ウナギの処理は押し付けてきましたが!! 食事の手伝いをしてくださっています。 ですが、彼女達は旦那様の特別である事を理由に、身の回りの世話を私共に任せ、戦場で働く女性達を見下したんです」
「それは……気分の悪い思いをしましたね。 私にも覚えがありますわ……。 なぜ、何も出来ない愛人がただ贅沢を甘受し、私達が公爵家を切り盛りしなければいけないのか? 喜びと楽しみは愛人が受け、私達は労働と苦痛が背負わされました。 愛される愛人と、こき使われる令嬢……。 だからこそ愛されていると思った者達は調子に乗る」
「はい。 ラシェル様のおっしゃる通りです。 あと、ウナギの処理、スルーしましたね」
「うふふ、だってぬるぬるする長いものは苦手ですもの」
「私だって、嫌ですよ!!」
「でも、上手にさばいたじゃない」
「そりゃぁ、ずっと食事の世話もしてきましたから……」
2人は沈黙した。
そしてメイリーは口を開く。
「私達が、彼女達の身の回りの世話をいたしておりました。 戦場でありながら贅沢を好み、私達がスープと固いパンで腹を満たす。 そんな中、旦那様と情を交わした娼婦達は、同席が許され、普通の食事が許されていたのです。 戦争が終われば、世話になったからと愛人の座が与えられる。 理不尽です!! 不愉快です!! 何故!! 愛人の座を与えられるのですか?! 愛しているからと言うなら、旦那様にとって必要だから一緒にいたい。 そうおっしゃるなら納得するしかありません!! ですが、旦那様は世話になったから、怖い思いをさせたから、迷惑をかけたからって!!
「逆に、愛しているからと言うなら、私は側にいませんわ……」
ボソリとした呟きは彼女には聞こえていないようだった。
「私達の気持ちはとても複雑です。 世話を命じられていた私共は……彼女達以下の存在だったと言うのですか!! 真摯に仕えたからこそ贄として食い殺されてしまった男達の妻は、子は、どうなるのですか!!」
私は黙るしかなかった。
想像以上に根深く、なぜ自分にその身を癒す役割を与えてくれないのかと直談判するカリナにすら、同情を覚えてしまう……。
「私が、お話をしましょう。 とりあえず食事のあとに」
そんな訳で、微妙な空気の中でウナギのかば焼きは食べられ、夜は更ける。
「ユベール、食事の後にお話があるのですがよろしいかしら?」
「ぇ、あ、あぁ。 その、彼女との関係に勘違いはしていないよな? 俺が愛しているのは、ラシェル、お前だけだ」
物凄く焦っているが……今の私は複雑な思いに身をモヤモヤしているのだ。 ぴしゃりと近寄るなと手で訴え、
「せっかくの食事、美味しく召し上がってくださいませ」
愛想笑い100%で応じれば、すごすごとユベールは食事を再開した。 そして、余りよろしくない空気の中でも、ウナギは美味しくいただけて、そしてお茶を飲みながら私はカリナへと言葉を向ける。
「お話は、メイリーから伺いました。 貴方に対して同情の余地はありますが、だからと言って、私が貴方に侮辱される言われはございません。 娼婦達への対応、娼婦達の貴方方への対応が気に入らなかった。 そこも理解はできますが、もし、それ以前に貴方が彼から愛されていたなら、彼は娼婦を懐に入れる必要はなかったのですから……そこは勘違いなさらないように、で……ユベール」
「はい……」
私は、メイリーからの話を、不満をそのまま伝えた。
いつの間にか、ユベールは地面の上に正座をしていた。
「対応、間違っていますよね? もし、身体を重ねた方々を愛しているなら」
「愛していた訳じゃない!! 特別な感情がなければ対価に至らなかっただけだ!! だから少しばかり優遇したに過ぎない。 戦後の処理も、そうするべきだと言われたからだ!! 俺が特別なのはラシェルだけだ。 俺は女性の扱いなど知らぬ!!」
子供のように声を荒げた。
だだっこ?
サージュへと視線を向ければ、苦笑いがなされた。
「女性に対する対応が不慣れなのは確か……要求すれば、そういうものかと割と何でも聞いてしまうのですから、無知をこじらせ、付け込まれたのも確かです。 主が愛人として認めた方々の多くは、別に主を持つ女性達ですから」
「えっと……スパイ的な?」
「そう、スパイ的なもので、彼女達を愛妾として迎えるようにと言ったのも、彼女達の背後にいる者達です。 其方は、ラシェル様の件と共に順次処理をしていく予定です」
まだ18のユーグだとこの時知っていれば、仕方がないと思えたのでしょうが……この時の私は、1人の男性としてユベールを見ていたため……。
冷ややかな視線で、圧をかけた。
「では、優遇すべきは彼女達ではございませんよね? 貴方の相手をした方達は、戦場にありながら、彼女達の生まれでは受ける事が出来ない贅沢を受けたのです。 むしろ、対価など必要ない。 いいえ、サージュの言っている事が必要なら、彼女達に必要なのは? わかりますわね?」
「は、はい……」
「とにかく!! 特別な感情があると言うなら別ですが!!」
「……愛情はありません……身体の関係を持つと言う事を特別と考えていた部分は、確かにありますが……ずっと愛していたのはラシェルだけです……」
なぜか敬語になっていた。
「では、サージュも余り甘やかさず、自分の後始末は自分でさせなさい!! 私は情けない男は嫌いです!!」
「……はい……」
「なるべく早く通達したほうがよろしいですわ。 で、なければ、前公爵と同じだと、ちょろい、御しやすい男だと付け込まれますよ!!」
「……ラシェルは……ラシェルも、そう思っているのか?」
「これから次第かしら? だって、私はあくまでも情報として聞いているだけで、現場を見た訳ではありませから。 ただ、私の目の前で、マロリーと同じ事を貴方にしている女性がいれば……不愉快なので……何をするか分かりませんけど?」
そうニッコリと笑った。
「ぁ……その、ラシェルが一番好きだから……勇ましいラシェルも好きだよ?」
思わず、しゃもじを投げつけた。
唖然とした表情で黙るカリナと、頬を紅葉させラシェルを見つめるメイリーがいるのだった。
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