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後編

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 ガクッと倒れるように力が抜けおちた身体は、抱きすくめて来る腕に任せられた。

「愛しています」

 甘く切ない熱のこもったティスの声が、耳元に囁かれる。
 その声が余りにも……切なくて、苦しそうで……泣いているかのように聞こえて……。

「私も……」

 荒い呼吸と甘い吐息に混ざる囁く声。
 それは掠れて消えていく。



 私も……なんだろう?



 この気持ちの名は知らない。

 それでも

 尊敬していた。
 感謝していた。
 綺麗だと思った。
 その強さに憧れた。

 それは、彼と知り合ってシバラクした頃から。



 なら、私を狂わせるこの思いは?



 思考に囚われそうになれば、許さないとばかりに微かな……甘い痛みが首筋に与えられる。

「んっ……」

「今は、私の事だけを考えて下さい」

 切ない願い。

 強く背中から抱きしめられ、回された手は……私の両手を拘束していたネクタイを解いた。 もう、逃げない……そう考えたからか? それとも……私を試しているのか? 逃げだす事を望んでいるのか?

 理由等わからないし、ティスが何を考えているのかも意味がない。 今はただ抱きしめられる温もり、それが泣きそうになるほど心地よかったから。

 だけど、拘束を解かれると共に……するりと……力の入らない身体が解放された。

 ぺしゃっ。

 柔らかな布団が重なり山を作っている中に、力の入らない身体は顔面から倒れ込む。 

「えっ?」

 振り返ろうとすれば、頭が撫でられた。

「な、に? ぇ? なぁに?」

 ぐりぐりと撫でられ、それでも強引に振り向こうとすれば、何時ものように笑うティス様の顔があり……何時ものように笑みを返してしまう。

 終わったのか……と……複雑な気持ちと……まだ熱が収まらぬ身体を抱きしめ……自分の手ですら甘い疼きを覚え……切なさに戸惑った。

「ティスさま……」

 熱を帯び甘く疼き続ける身体をどうすれば良いのかと見上げれば、チュッと軽い口づけが落とされる。



 そして抱きしめられた。



 伝わる熱の感触が、少し前よりもっとずっと艶めかしくも温かくて……。 顔を埋める胸元は薄いが綺麗な筋肉に覆われていた。

 治療師として仕事をしている以上、男性の裸を見たのが初めてという事はない。 それに、学生の頃のマーティンは、夏の暑さに耐えきれず良く私とアンジェの前で上着を脱いでいた。

 いたずらにアンジェと共に触れたマーティンの身体はもっと硬く、筋肉も厚かった気がするけれど……私はティス様の方が好きだ……心地よい肌触りに頬を摺り寄せ……そして……衝動のままに口づける。

 逞しく……頼りがいのある腕の中、ティス様がしていたように……私も彼の身体を指先で辿り……彼と言う存在を確かめ確認する。 それは、想像した以上に……愛おしさを覚えて……口づけた。

 頭上で苦笑いの音。

 見上げようとすれば、抱きしめられ、髪や背が撫でられた。

「あなたって人は……」

 溜息交じりの声に、上向かせてもらえないままに私は問いかける。

「なに?」

「……あなたの隙の多さには、本当に不安になります」

「なんですか、それは」

 背を撫でる指の腹が背を引っかくように撫でてきて、くすぐったいような言いようのない感触に身体を反らせジェシカは甘い音色が混じる声で笑っていた。

「ティスさま、くすぐったいです」

「では、もっと気持ちのいい事をしましょうか」

 問いかけではなく、それは確定。
 どこまでも艶やかで甘い声。

「ぇ?」

 問い返せば、唇の側に唇を寄せ囁かれる。

「愛していますよ」

 分からないままに、気を引く事だけはやめたかった。

「……お慕いしております」

 それが、ジェシカが出した嘘のない言葉。

 チュッと軽い口づけから徐々に深く喰らうように口づけあい、口腔内を舌が入り込み、舌同士が絡みあい、舐め合う。 肌の体温を確かめ合うように、回される手……。 それはとても心地よく、気持ちよく、ウットリと身を任せ、抱きしめ抱き上げられた身体は、ティスの膝をまたぐように座らせられながら抱きしめ合う。

「だめ……」

 溢れ出る蜜でズボンを濡らしてしまう……。

 だからと言ってズボンも脱いでくれと言うのは違うし……混乱するジェシカを他所に、ジェシカの背を撫でる手は徐々に下におり、腰を撫で、お尻を撫でられ……太腿の間がむずむずと疼き熱くなり、とろりと濃い蜜が溢れぬれ泣きだしそうな表情のままジェシカがティスを見上げれば、軽く抱き上げられ、ベッドの上に横にされ……安堵した。

 その安堵もつかの間のもの。

 太腿が撫でられ、徐々に上にあがってくる。

「そこは……」

「ここは?」

 焦らすように太腿の付け根が撫でられた。

 快楽への期待と不安で、お腹の奥が熱くなる。 初めてイッた時の快楽を想像してしまい、肉の花弁から蜜が溢れ出る。

 蜜を絡めとりながら、蜜口……そして敏感な蕾が濡れた指で撫でられた。

「ぁっ」

 ジェシカは快楽を必死に飲み込み耐えるが、蜜を十分に絡めとった指が花弁の奥に分け入り、淫靡な音をならし指が奥へと進められる。

「あぁぁああ!!」

 甘い圧迫感、うずきは、奥まで響き淫らに腰をくねらせ悶えれば、敏感な蕾を同時に弄られ、溢れる蜜が潤滑剤となり指を奥まで受け入れた。

 柔らかな肉が、引っ掻かれ抉られ、刺激され、水音を立てる。

 甘いすすり泣くような喘ぎが零れ落ちた。

「あぁ、可愛いよ……」

「ぁあっ!!」

 中が激しくかき混ぜられ、熱い何かが押し寄せるような……そんな解放を前に、指が引き抜かれた。

「ああっ……」

 圧迫感が失われ……お腹の奥の熱だけが残され……切ない……。

「ティスさまぁ……」

 甘い呼び声は、懇願。

「もっと良くしてあげるから……」

 甘い甘美な囁き……と共に、ティスの顔が太腿の間に埋められた。

 羞恥に、逃げ出そうとしたのも一瞬だけ。
 直ぐにジェシカは甘い快楽に見悶える。

「やっ、そんな、だめぇぁっ、あぁ……んっあああっ!!」

 敏感な肉の花びらが指で広げられ、蜜を啜るように舐められ……そして舌は敏感な蕾に唾液と愛液を絡めながら舐められ、蜜を吐き続ける蜜口には増やされた指が差し入れられあふれ滴る蜜を掻き混ぜ、掻きだすように、柔らかく熱に腫れた肉を抉り、そして前後させる。

「あぁっ!!」

 押し寄せる波は、幾度も無く訪れ、ジェシカは蕩けるような快楽に身を委ねながら、よがり泣きながら甘く喘ぎ続けていた。

『ジェシカはそんな事しらなくていいのよ!!』

 過保護なほどにアンジェによって性的な知識から遠ざけられていたジェシカが、自分のおかれている状況を正確に理解していれば恥ずかしさに逃げ出したかもしれないが、実際には抵抗できない快楽にどこまでも身を落とされるだけ……。

 がっしりとした指は柔らかな肉壁を擦り上げ、幾度となくジェシカの絶頂を促した。

「柔らかくて、熱い……気持ちいいですか?」

 興奮した艶のあるティスの声がジェシカの耳を擽り、きゅっとお腹の奥が切なくなりジェシカは甘い吐息を吐く。

「あぁ、返事をしてくれない代わりに……ココが教えてくれていますよ」

 ジェシカが出来る事は、もう身も心も与えられる快楽に溺れていくだけだった。
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