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02.失いたくないモノ
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昔はもっと優しかったのに……。
幼い頃は良かった。
婚約してしばらくの間。
領地に居る時期。
ジェフリー様は領地まで月に1度会いに来てくれていた。 領地同士が離れていた事もあり1度訪れれば1週間から2週間ハーノイス家の屋敷に留まり、庭で植物の世話をし、勉強をし、領地巡りをして歩いた。
語るのは幸せな未来。
領民達は、私達を微笑ましく見守ってくれた。
王都にいる時期。
それはブラン侯爵夫婦に招待されたもの。 娘のように夫人と共に彼女自慢の庭を手入れし、季節の花々を眺め、果実を収穫し、自家製のジャムを一緒につくり振る舞われる菓子を楽しんだ。 流行りのデザイナーを呼びよせ、ジェフリー様とお揃いの衣装を仕立てて貰って子供も参加できるお茶会に出向く。
厳しい両親が与えてくれない、甘い生活。
お似合いだねと言われ、私とジェフリー様は照れながら手を繋ぎ、そして微笑みあった。
やがて時は進み、
魔導師の一族である私の修行は厳しくなり、
次期侯爵であるジェフリー様も勉学に励む事が増えた。
私達は手紙を交わした。
伝聞鳥と言う魔道具を使い言葉を交わした。
「大変だね」
「お互い頑張ろう」
励ましあっていたはずだった。
それが……月に2.3度の手紙に減った。
寂しがる私に、侯爵家の妻としてより魔導師としての成功を求めた両親は冷ややかに言った。
『今までが多すぎただけだ。 彼は未来の侯爵だ。 学園に入学すれば人付き合いが増えるのは当然、婚約者であるお前よりも次期侯爵として過ごす事の方が多くなる。 お前も魔導師の家系として生まれたからには、自分が学ぶべき事を理解しなさい』
落ち込む私にお母様は慰めるように言った。
『貴方が立派な魔導師となれば、彼も喜んで下さるわ』
『そんな事でどうする!! 魔術の目的を色事で貶すな!!』
厳しい父だったからこそ、
母にもその厳しさを求めたからこそ、
私は……ブラウン侯爵夫婦を慕い……同時にジェフリー様を慕った。
ジェフリー様が王立学園に入学した頃には、ジェフリー様の手紙は報告書のように味気ないものとなったが、反面ブラウン夫人からの手紙や贈物は増えていた。 それでも魔術修行の邪魔はしてはいけないからとお茶会への招待はなく、領地まで顔を見に来てくださる事は無かった。
両親を事故で失くした。
伯爵家から追放され、爵位も領地も関係ないただの魔導師となった。 それでも祖父が居場所を残してくれたから……はるか昔に魔導師の城と呼ばれた場所で、ヒッソリと身を置き、魔術師の修行を続けた。
『うちに来てはどうですか? ずっと昔から貴方は私の娘と同然なのですから』
そう言ってもらえる事望んだのだけど……。
望みは叶わず、私は薄暗い城で1人住み、魔術修行に励んでいる。
一緒に暮らしましょうとは言ってもらえなくても、ブラウン侯爵家からのお茶会の招待は続いていた。 伯爵家から追放され庶民……ただの魔導師となった私を今もジェフリー様の婚約者としてくれることを感謝しなければいけない……のだろうと思う。
けど、寂しい。
ジェフリー様は学業に忙しいからと何時もお茶会には居ないから。
侯爵も、お茶会に顔を見せなくなっていたから。
ジェフリー様と会う事は無く、聞くのはただ『あの子は忙しいから』と言う言葉ばかり……だから、お手紙を渡してもらった。
『お忙しいのは分かっています。 ですが、せめて、お手紙の交換をもっと増やしてはいただけないでしょうか?』
『貴方の手紙は、面白みも無ければ、僕の役に立つ内容でもありません。 そんなものに返事を書く程、僕は暇ではないので控えていただきませんか?』
両親を亡くし、屋敷を失くし、領地も失くし……。
寂しくて、不安で……それでも、嫌われたくないから我慢するしかできなかった。
幼い頃は良かった。
婚約してしばらくの間。
領地に居る時期。
ジェフリー様は領地まで月に1度会いに来てくれていた。 領地同士が離れていた事もあり1度訪れれば1週間から2週間ハーノイス家の屋敷に留まり、庭で植物の世話をし、勉強をし、領地巡りをして歩いた。
語るのは幸せな未来。
領民達は、私達を微笑ましく見守ってくれた。
王都にいる時期。
それはブラン侯爵夫婦に招待されたもの。 娘のように夫人と共に彼女自慢の庭を手入れし、季節の花々を眺め、果実を収穫し、自家製のジャムを一緒につくり振る舞われる菓子を楽しんだ。 流行りのデザイナーを呼びよせ、ジェフリー様とお揃いの衣装を仕立てて貰って子供も参加できるお茶会に出向く。
厳しい両親が与えてくれない、甘い生活。
お似合いだねと言われ、私とジェフリー様は照れながら手を繋ぎ、そして微笑みあった。
やがて時は進み、
魔導師の一族である私の修行は厳しくなり、
次期侯爵であるジェフリー様も勉学に励む事が増えた。
私達は手紙を交わした。
伝聞鳥と言う魔道具を使い言葉を交わした。
「大変だね」
「お互い頑張ろう」
励ましあっていたはずだった。
それが……月に2.3度の手紙に減った。
寂しがる私に、侯爵家の妻としてより魔導師としての成功を求めた両親は冷ややかに言った。
『今までが多すぎただけだ。 彼は未来の侯爵だ。 学園に入学すれば人付き合いが増えるのは当然、婚約者であるお前よりも次期侯爵として過ごす事の方が多くなる。 お前も魔導師の家系として生まれたからには、自分が学ぶべき事を理解しなさい』
落ち込む私にお母様は慰めるように言った。
『貴方が立派な魔導師となれば、彼も喜んで下さるわ』
『そんな事でどうする!! 魔術の目的を色事で貶すな!!』
厳しい父だったからこそ、
母にもその厳しさを求めたからこそ、
私は……ブラウン侯爵夫婦を慕い……同時にジェフリー様を慕った。
ジェフリー様が王立学園に入学した頃には、ジェフリー様の手紙は報告書のように味気ないものとなったが、反面ブラウン夫人からの手紙や贈物は増えていた。 それでも魔術修行の邪魔はしてはいけないからとお茶会への招待はなく、領地まで顔を見に来てくださる事は無かった。
両親を事故で失くした。
伯爵家から追放され、爵位も領地も関係ないただの魔導師となった。 それでも祖父が居場所を残してくれたから……はるか昔に魔導師の城と呼ばれた場所で、ヒッソリと身を置き、魔術師の修行を続けた。
『うちに来てはどうですか? ずっと昔から貴方は私の娘と同然なのですから』
そう言ってもらえる事望んだのだけど……。
望みは叶わず、私は薄暗い城で1人住み、魔術修行に励んでいる。
一緒に暮らしましょうとは言ってもらえなくても、ブラウン侯爵家からのお茶会の招待は続いていた。 伯爵家から追放され庶民……ただの魔導師となった私を今もジェフリー様の婚約者としてくれることを感謝しなければいけない……のだろうと思う。
けど、寂しい。
ジェフリー様は学業に忙しいからと何時もお茶会には居ないから。
侯爵も、お茶会に顔を見せなくなっていたから。
ジェフリー様と会う事は無く、聞くのはただ『あの子は忙しいから』と言う言葉ばかり……だから、お手紙を渡してもらった。
『お忙しいのは分かっています。 ですが、せめて、お手紙の交換をもっと増やしてはいただけないでしょうか?』
『貴方の手紙は、面白みも無ければ、僕の役に立つ内容でもありません。 そんなものに返事を書く程、僕は暇ではないので控えていただきませんか?』
両親を亡くし、屋敷を失くし、領地も失くし……。
寂しくて、不安で……それでも、嫌われたくないから我慢するしかできなかった。
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