婚約者は私から全てを奪った従姉妹との愛を正当化するくせに婚約破棄はしてくれません

迷い人

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04.彼が語る正しさ

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 難しい問題では無かった。

 何時もなら問題を流し読むと同時に問題を解いていたでしょう。 でも、今日は無理……上手く文字を追えない、理解がし難い、私は……本来問題を解くために必要な時間の数倍の時間を必要とし、動揺に手元が震えた。

 書き終えたナンシーの課題を、寄越すようにとジェフリー様が手を差し出すから、その手の上に課題を乗せた。

「優美さに欠ける文字ですね。 それで侯爵家の書状などを書く事ができるとお思いですか、もっと上手に書けるようになってもらわないと困ります」

 そう言いながらジェフリー様はナンシーへと手渡す。

 内容の確認をしている様子は……なかった……。



 そして2人は王都へ戻ると立ち上がる。

 足元が悪いからと、ナンシーの手を取るジェフリー様。 身体能力の高いナンシーが転ぶなどあり得ないでしょうに……。 私は2人の後をついて歩いた。

 もう……嫌。
 こんなの見て居たくない。

 どうして、ジェフリー様は婚約破棄を言い出してくれないの?! そんな思いで頭の中がグルグルとした。

 ナンシーが馬車に乗り、ジェフリー様が私を振り返る。

 微笑みと共に告げられるのは何処までも彼の都合だけの身勝手なもの。

「僕がないないからと言って気にする必要はありません。 情報の書き出しが終わり次第屋敷の方に届けておいてください」

「一つ、お伺いしてよろしいでしょうか?」

「馬鹿げた事でなければ」

「ジェフリー様とナンシーは……ツガイなのでしょうか?」



 ジェフリー様は無言のまま私を見て、深い溜息をつき馬車にかけた足を下ろし扉を閉め、私の側に近寄り、控えた声でおっしゃったのだ。

「何を言っているのですか? 彼女は、ナンシーは獣の本能が強い方。 幼い子供のようなものですよ。 猫が無邪気に懐いてくる様に貴方はやきもちをやいているのですか? そんな事はありませんよね。 貴方は淑女だ。 そうそう……さっきのアレ……似合わないから止めた方が良いですよ。 貴方らしい貴方、それが侯爵家に相応しい姿なのですから」

 そう言いながら、ジェフリー様は笑い自分の口元を拭って見せられ、私は……恥ずかしくなってうつむいてしまった。

 はぁ……と呆れたような溜息を1度ついて、ジェフリー様は言葉を続ける。

「僕の力になってくれることを期待していますよ」
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