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12.お風呂で…… 01

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 広い風呂の中。

「そう言うのは……嫌いよ」

「そう言うのとは?」

 不思議そうに返されたけれど、ラナはその思いを声にし言葉にし伝える事は出来ずに黙り込む。

 折角、諦めて、前向きに考えるようになったのに……。 どこか、閉じこもる事が出来るような場所はないかしら? 少し……ほんの少し、本当に嫌なのだと理解されたならソレで済むはず。 だって……ブラッドリーは、私の嫌がる事はしないはずだから。

 椅子から降りて逃げ出そうとすれば、慌て過ぎて転がり落ちそうになれば、容易く身体が受け止められ、椅子の上へと戻された。

「どうしても……?」

「化粧をしたまま、髪も乱れたまま、埃っぽい身体のままお休みになるつもりですか?」

「自分で!!」

「身体に力が入ってない今の状態では、ただ、身体を洗い、湯につかるだけでも危険です」

「それは……」

 そして、私は、化粧を落とされ、過剰なほどにまで整えられていた髪が手入れされ……私の切なさと虚しさが増していくのだった。

「……」

 無言で、無表情……私は……湯の上を泳ぐ花を静かに眺めていた。

「お嬢様? どこか不都合でもございましたか?」

 微笑みもなく淡々と作業として処理されていき、私は小さく溜息を吐いた。 自分の馬鹿さ加減に……。

「いえ……」

 他に何か言える言葉等あるでしょうか?

「では……」

 ブラッドリーは足元に平伏し、大きな掌の上にラナの足を手に取った。 顔や髪は平気だったが、足に触れられると言うのは……少々奇妙な気分だった。 いやらしい場所とは言えない……それでも、触れられればざわりとした奇妙な感じに身を捩ることとなる。

「どうか……なさいましたか?」

 私の意思とは別に反応する身体に気づかぬかのようにブラッドリーは石鹸を泡立てた掌で、足の甲、足の裏は当然のこと、指の間までじっくりと確認するように触れられ洗われていた。

「どうもしません」

 ふくらはぎへと手が滑りあがり、慣れないヒール姿に疲れ切った足がマッサージされはじめ、指先が強弱をつけふくらはぎが揉み解されていく。

 感覚が鋭敏となっている身体には、ブラッドリーの指先がふくらはぎに沈み、撫であげ、撫でおろされれば、その指はとてもくすぐったく、そして……痛みに電気を走るかのような強い感覚に……逃げようと身をくねらせてしまうのだ。

「くっ……」

 痛みゆえに漏れる声に、上目遣いに赤い瞳が向けられ……私は不満そうに自分の身体に起こっている状況を伝えた。

「感覚が鋭敏になっていると」

「えぇ……だから……わざわざアナタにチェックしてもらわなくても身体に影響がないのは確かなの!! アナタに触れられたふくらはぎが痛かった以外の痛みはないもの」

「そう、ですか……。 では、力を加減いたしましょう」

「はいはい」

 とは言ったものの、徐々にあがってくる手がどこまで触れるのか、やわやわと触れる掌が無自覚に快楽を刺激してくると思えば腹立たしかった。

「もう、自分で洗うから」

 太腿の半分でねをあげれば……、私が纏っていたローブをはぎ取られた。 慌てて両足を上げ抱え込むように身体を丸めて身体を隠し、あっちにいけと手をブンブンと振って見せれば、その手が取られ……そして指を撫でられるように重ねられ、撫でられ、付け根を指の腹でひっかかれる。

 ユックリと指同士が絡まり、撫でられ、それは……くすぐったいけれど……とても性的で、甘い疼きを与えてくる。

 声が漏れ出そうになるのを、飲み込みながら、重ねられる手を引こうとすれば逃がさないとばかりに捕まれ……甘い吐息を漏らしてしまい……シマッタとばかりにブラッドリーの表情を覗き見たが気づいていないようで、左手が重なり絡められたまま、腕が泡立つ右手で洗われる。

 ツーと洗う手が上り、腋へと触れれば、狭い椅子の上で私は端へと逃げていく……のだけど……だから、こそ……腕は伸ばされ、洗いやすく白く細い腕が晒される。

 指先が白く柔らかな腕を撫でられ、そのくすぐったさに、私は椅子の上から落ちそうになり、手を握る指に力が籠められ引き寄せられ、抱きしめられた。

「危ないですよ。 今は感覚が鋭敏なのでしょう?」

「ぇ、あ……その、ごめんなさい」

 裸体のままでその腕に抱きしめられ、泡立つ手が背中を撫でてビクッと身体が震えた。

「ぁ、やだ……」

「なにが、御嫌なのですか?」

 問われる声が、甘く熱を帯びているかのように感じるのは、抱きしめられ、その声が近いから……ここがお風呂だから……くぐもって聞こえる声が脳に響き、抱きしめる手が身体に触れ熱を持つ。

「危ないです。 何度言えば理解できますか?」

「ごめんなさい。 アナタまで濡れる必要はないのに……」

「構いません。 後で、私も風呂に入りますから」

 そう言って私の身体を抱えあげ、私を膝の上に乗せ椅子に座った。

「ぇえええええ、な、なんで……」

「大人しく出来ないようですから、ケガをさせないためには仕方がありませんよね?」

 そう言いながら、身体を固定するように指を絡めた左手が重ね合うように握られ、そのままで私の身体は抱きしめられた。 自分の手で……自分の身体を愛撫するかのように……身体が撫でられる。

「んっ……」

「どうか、なさいましたか?」

「何も」

「そう、ですか? お嬢様は、自分の身体を慰めた事はございますか?」

「なっ、にを、急に!!」

「いいえ……急に浅ましく男をお求めになられたので、余程、身体が疼かれているのかとご心配しただけでございます」

「なっ!! ばかな事を言わないでよ!!」

「そうですか?」

 淡々とした声と共に、泡立てられた指が太腿を撫でてきて……私は両足を閉ざす。

「それでは、洗う事が出来ません。 それに……アナタの力では私の手を避ける事などできないでしょう?」

 自分の手を重ねたまま胸が包み込まれ、その先端が指先で摘ままれ擦られる。 泡立った指先は優しくこすりつけ、摘ままれ引っ張られれば……足に力がはいる訳等なく……右手はアッサリと両太腿の間を侵入し、撫で洗われる。

「ひっ!! ぁっ」

 往復する泡立った掌、そして柔らかな肉の花弁を分けながら、蜜口を指先がくすぐるように撫で……敏感な蕾が指にかかる。

「んっ」

 身を捩れば、その身体は固定され、執拗に指が前後を行き来する。

「ぁ、ダメ……」

 静止の声は聞き入れられず、胸が洗われ……まるで、愛撫を教え込むように……包み込まれた胸が、柔らかく揉まれ、先端を弄られ……両足の間が泡立てられる。

「ひっ、ダメ、そんなところばかり……ほ、他にも洗うところがあるでしょう!!」

 叫ぶように言えば冷静な声で返された。

「それも、そうですね……まずは、全体を洗い清めましょう」

 まずは??
 まずはって?? どういう……。

 その疑問を声に出来るはずもなく……今の私の身体は一度熱が注がれれば全体が性感帯のように敏感になっていて……私は必死に耐える事になるのだ。
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